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■葭始めて生づ
 七十二候の一つ、二十四節気「穀雨」の初候は

  葭始めて生づ (あし はじめてしょうづ)

 です。今年(2009)は4/20がこの候の始めとなっています。

 葭は、葦とも蘆とも書く水辺の多年草です。
 辞書の説明を借りれば、

 【葦・蘆・葭】(あし)
  イネ科の多年草。各地の水辺に自生。世界で最も分布の広い植物の一。
  地中に扁平な長い根茎を走らせ大群落を作る。高さ約 2メートル。
  茎に節を具え葉は笹の葉形。秋、多数の細かい帯紫色の小花から成る穂を
  出す。茎で簾(すだれ)を作る。よし。
  菟玖波集「難波(なにわ)の葦は伊勢の浜荻」
   《広辞苑・第五版》

 さらに漢和辞典を引くと「葭」という文字の意味は、穂の出ていない葦とか。
 春になり、雪解けの水で水量が増え、水をかぶる川岸には、鋭い円錐形の葦
 の芽が川岸を覆った水面から顔をのぞかせます。

 葦の芽ですから、当然まだ穂は出ていませんので、漢和辞典の説明通りであ
 れば、「葭」というべきでしょうか。
 この水面から顔を出した葦の若芽は、

   葦牙(あしかび)

 とも呼ばれます。その鋭い円錐形の姿を牙と見立てた言葉で春の季語ともな
 っています。また牙でなく、「角(つの)」と見て、葦角(あしづの)とも
 呼ばれます。
 冷たい水を葦の牙が切り裂いた後には、新しい季節が訪れるのでしょうか。

◇「あし」と「よし」
 ちなみに、【葦・蘆・葭】は「あし」と読む一方で「よし」とも呼びます。
 これは、

   あし = 悪し

 に通じるとして、この悪い連想を忌んで「よし = 善し」と言い換えるよ
 うになったものだと言われます。
 同じ感じで、正反対の意味の読みとは紛らわしい。縁起担ぎの言い換えも

   よしあし (善し悪し ? 葦葦)

 といったところでしょうか?
 何はともあれ、川岸に葭が生じ成長を始めるころには、川の水も温む季節と
 なります。

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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/04/21 号

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