こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■新月雑話
 本日は、新月。旧暦では秋の初めの七月が始まりました。
 その新月の日(正確にはその前日)に、Web こよみのページの連絡用メール
 アドレス宛に私からすると衝撃的な質問メールを頂きました。
 なぜ衝撃を受けたか、それを知って頂くために書かれていた内容を簡単に示
 せば次のようになります。

 > 先日、皆既日食の事で友人と話してる時に新月て知ってる?
 > と聞かれましたが、残念ながら新月と言う言葉も知りませんでした。
 > ネットで「新月」を調べるといろいろ出てきました。
 > その中には8/20 19:02に新月が始まると書いてありましたが、新月の方向
 > がわかりませんので、お教えて下さい。
 > どの方向に手を合わせたらよいのでしょうか?
 > また、19:02 ちょうどで無ければいけないのでしょうか?

◇「新月」って特別な言葉なの?
 普段、自分があたりまえに使っている言葉だと、それは一般にもよく知られ
 ている言葉だと錯覚してしまうことがあります。
 こよみのページなんていうサイトを作っている私なので、「新月」は話の中
 にしょっちゅう登場しますから、この言葉を「知らない」と書いてあったこ
 とにまずビックリしてしまいました。

 ですが・・・、はやり冷静に考えてみても新月は特別な言葉では無いように
 思うのですが。月について付けられる呼び名としては満月の次くらいによく
 知られているように思えますがどうでしょう?
 この辺りについては多分暦や天文に関しての知識では「標準的」ではない私
 には何とも言えないのですが、皆さん及び皆さんの周囲に「新月」という言
 葉を知らない方ってどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
 皆様からの、お便りに期待します。

◇新月が始まる?
 現在新聞などに発表されている新月や満月は天文学的な新月・満月ですので、
 それぞれ太陽と月がある位置関係(黄道座標という座標系で表した視黄経と
 いう角度で太陽と月の差が 0°となれば新月、 180°となれば満月)となる
 瞬間、一瞬だけを指す言葉なので、そう言う意味で言うと「新月が始まる」
 という表現はおかしい。

 まあ、「今夜は満月」という言い方をした場合、この天文学的な満月の瞬間
 だけを指すとは思えませんから新月とか満月という言葉は一般にはある幅を
 もって(大体は1日単位)使われるものだと思いますが、その場合でも

  新月が始まる
  満月が始まる

 という表現はしない気がします。
 「今日は新月の日」くらいが、よく使われる表現ではないでしょうか?
 言葉尻を捉えているみたいで申し訳ないですが、どうもこの言葉尻から考え
 て、新月・満月という現象自体に誤解がある気がしました。

◇「新しい月が始まる」なら
 今日は新月の日で、今日から旧暦の七月が始まります。
 旧暦は太陰太陽暦ですから、その月の区切りは新月となる日。新月の日には
 新しい暦の月が始まります。

 既に「新月が始まる」という表現は何か変だぞと書きましたが、これがもし
 「新しい月(暦月)が始まる」というのであれば、おかしな表現にはなりま
 せんね。ただ、その場合は「8/20 19:02に始まる」という表現は間違いとな
 りますけれど。

  天体の「月」と暦の「月」

 どっちも「月」なのでこの辺が混乱の元なのかな?

◇月齢と新月・満月の関係
 「明日の月齢は 3.2です」
 新聞などでよく見かける表現です。
 さて、この月齢ですがどんなものかご存知ですか?
 おおよそ、どんなものかは知っているけれど正確には・・・という方が多い
 のでは?

  月齢 = 新月の瞬間からの経過時間を「日」を単位にして示した数値

 なんと、単にこれだけのものです。新聞の月齢が例えば、ある日が 3.2なら
 翌日は 4.2、翌々日は 5.2と小数点以下は変化しないで 1ずつ増えていくの
 は「日を単位」として数えているからなのです。

 新聞などに示された月齢は毎日同じ時間に対するものなので「 1ずつ増える」
 のが月齢だと思われがちですがそんなことはありません。例えば、ある日の
 正午の月齢が 3.2だとしたらその日の午後 5時の月齢は

  3.2 + (5時間 / 24時間)≒ 3.4

 となります。なにせ月齢は新月の瞬間からの「経過時間」ですから、刻々と
 数値が変わります。ですから、「明日の月齢は××です」という表現は実は
 正しくなくて、正確を期せば

  明日の○○時における月齢は××です

 が正しいことになります。
 普通、そんなに厳密な月齢を必要とする用途は無いでしょうから一般にはこ
 うした表現ではなく「明日の月齢」のように言い表し、その日を代表するあ
 る時刻での月齢を示しているわけです。

 「その日を代表する時刻」が何時であるかは特に決まっていませんので、月
 齢を発表する機関や発表された媒体によって数値が異なることがあります。
 きちんとした媒体では何処かに「値は○○時のものです」のような記載があ
 るはずですので、それを見れば数値の違いの意味はすぐに解るのですが。

 ちなみにこよみのページの場合、「その日の月齢」というような場合は正午
 の値を、「現在の月齢」等という場合は、その瞬間の時刻における月齢を示
 すようにしています。

 ちなみに、新月瞬間の月齢は必ず「 0」です(月齢の起点ですから当然です
 ね)。ただし新月の日の月齢という場合は、正午の月齢ですので 0とはなり
 ません。
 例えばこの日刊☆こよみのページの「お日様とお月様の予定」を見ると新月
 の日であるはずの本日の月齢は

  8/20 月齢 29.0

 となっているのもその例。
 今日は新月ですが、新月の瞬間は 19:02ですから正午の段階ではまだ新月を
 迎えていないので、一つ前の新月からの経過日数として29.0となるわけです。


 「新月」に関して頂いたメールから始まった新月雑話、「雑話」というとお
 り雑多な内容となってしまいましたが、いくらかは

  え、そうだったの

 と言う内容もあったのでは?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/08/20 号

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