こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■太陰暦の日付と月の呼び名
 月の満ち欠けを利用して日を数える暦を太陰暦といいます。
 日本が明治 5年まで使っていた暦(旧暦)もこの太陰暦の流れを汲む暦でし
 た。この暦は正確には太陰太陽暦と呼ばれるもので、一年の平均の長さを太
 陽の一回りの周期に一致させるための仕組みを組み込んだ太陰暦でした。

 太陰暦にせよ、日本の旧暦のような太陰太陽暦にせよ、暦月の区切り自体は
 月の満ち欠けにあわせていましたから、一月の間の日数などを見る限りでは
 どちらにも差は無いと考えることが出来ます。
 今日の話は、この一月の日並みと月の呼び名の関係についての話なので、太
 陰太陽暦も太陰暦と一括りにして呼ぶことにします。

◇三日月、十五夜・・・太陰暦の日並みと月の呼び名
 日本を始め、中国に源を発する東洋の太陰暦は朔(新月のこと。暦の話では
 新月を朔と呼び、朔となる瞬間を含む日を「朔日」と書きます)の日を一月
 の最初の日として数え始めます。
 つまり

   朔日 = 一日

 となります。このため「朔日」も「一日」もどちらも同じ読み「ついたち」
 と読むようになりました。この朔日を最初として、あとは順に二日、三日、
 四日と数えてゆきます。
 さてこんな風に太陰暦ではその日並みは新月の日を基準に数えるわけですか
 ら暦の日並みと月の形とは密接に関係することがわかります。そのためいつ
 しか暦の日並みによって月の形を表す言葉が生まれました。

  三日月、十三夜月、十五夜月、二十三夜月、二十六夜月

 といった具合です(一般には「十五夜月」等と言わず「十五夜」だけで済み
 ます)。三日月といえば太陰暦の三日の夕べに見える細い月のことです。

◇日付が変わっても「十五夜」?
 「太陰暦の三日の夕べに見える月は三日月」というのはとってもわかりやす
 いのですが、では十五夜の月は?

  太陰暦の十五日の月に決まっているじゃないですか

 では太陰暦十五日の月を考えてみましょう。この頃の月はほぼ満月で、夕方
 に東の空から昇ってきます。今日(2009/08/26)からいちばん近い太陰暦十五
 日は 9/3(旧暦7/15)となります。この日の月の出を調べると 17:29でした。
 確かに夕方に昇ってくることがわかります(計算地は、京都としました)。

 まあ、月の出は確かに太陰暦15日でしたから十五夜でいいのでしょうけれど、
 ではこの日の24時を回ってしまって日付が16日に変わったら? 十五夜の月
 が十六夜の月と名を変えるでしょうか。おそらくそんな使い方はせず、日付
 が変わっても十五日の晩に昇った月は、その月が沈むまで十五夜の月と呼ば
 れるはずです。

 ちなみに例とした「十五夜月」が沈む日時は昇った日の翌日 9/4日の4:52と
 なります。よくある誤解に「太陰暦の時代の一日の始まりは夜明けだった」
 というものがあります。こう考えれば、十五夜の月が翌日の明け方に沈んで
 も「十五日の月」と言えるのですがこれは間違いです。

 暦の上での日付の変更は平安の昔からずっと「正子」、つまり現在の時刻で
 言えば午前 0時で、時刻の決定方法の細かな違いを考えなければ、現在と変
 わるものではありません。
 こう考えると、「十五夜月」とは「十五日に昇った月」と考えるべきなので
 しょう。

◇二十六夜月は?
 十五夜月は太陰暦の十五日に昇った月と考えれば、何となく納得出来るので
 すが、二十六夜月などを考えるとさらに問題が発生します。
 二十六夜の月というと、明け方の東の空に昇る細い月。明け方に昇る三日月
 といった感じの月です。

 現在はこんな時刻にわざわざ月を見ようという人は少ないでしょうが、昔は
 この二十六夜の月の出をわざわざ待って、拝するという行事があり、二十六
 夜待ちとか、二十六夜講などと呼ばれました。
 では、この二十六夜の月はいつの月でしょうか。
 十五夜月を考えたように

  太陰暦の二十六日に昇る月に決まっていいるじゃないか

 次の太陰暦二十六日というと、9/14となります。
 この日の月の出を調べると0:02がその月となります。
 ちょうど日付が変わったところでの際どいタイミングでしたが、まあ太陰暦
 の26日の月の出ですから、これが二十六夜月の出・・・?

 何か変ですね。何が変かというとそれは・・・。
 話が少々長くなったので、この続きはまた明日ということにして今日は、謎
 を残して終わることにしましょう。
 何が変なのか、皆さんも明日まで考えてみてください。ではまた明日。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/08/26 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック