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■アナレンマ(analemma)
 今年も間もなく、冬至。
 普段はあってあたりまえで、どの辺にあろうがあまり話題にされることなど
 ない太陽。しかしそんな太陽も冬至とか夏至、春分、秋分といった特別な時
 期になると話の種にされることがあります。

  今日は冬至、一年で一番日が短く、太陽が低い位置に見える日です。

 こんな具合です。
 そんな、太陽の位置が話題になる時期に合わせて、私も太陽の位置の変化に
 ついて一つ話題として採り上げてみることにしました。
 それが「アナレンマ」の話です。

◇アナレンマ(analemma)とは?
 『1年を通して、毎日、同じ時刻に空にある太陽の位置を記録するとできる
  8字形のこと。この太陽位置の変化は、地球の自転軸が、太陽を回る地球
  の公転面に対して垂直でなく、かつ地球の軌道が円形よりやや楕円に近い
  ためである。』
   《地人書館刊 「天文小辞典」 より》

 この説明では、ピンと来ない方はインターネットで「アナレンマ」というキ
 ーワードで検索すればこの8の字の画像を見ることが出来と思います。例え
 ば次のようなサイトで。

  インターネット百科事典 ウィキペディア
  http://ja.wikipedia.org/wiki/アナレンマ

  惑星テラ見聞録・今日の宇宙画像
  http://the-cosmos.org/2005/01/2005-01-23.html

 こうした写真は、毎日あるいは数日毎に同じ時刻に写真を撮り続けないとい
 けない。そして完成させるまで 1年かかる・・・。大変根気がいります。
 また、曇りや雨では太陽が写りませんから、根気以外に晴天率のいい地域で
 ある必要もあります。晴天率の点で考えると日本はやや不利ですね。

◇アナレンマの形
 アナレンマの8の字の形は、

  1.太陽が一年をかけて南北に移動すること
  2.均時差(きんじさ)があること

 によって出来ます。
 南北の動きというのは夏至の頃は太陽が頭上近くまで昇るのに、冬至の時期
 には、地平線からあまり高く昇らないことでわかると思います。この南北の
 太陽の動きの角度がアナレンマの8の字の縦の長さとなります。

 地球の地軸は地球の公転面に対して垂直ではなく垂直から約23.4°傾いてい
 て、このため太陽は夏至には天の赤道より23.4°北側に、冬至には天の赤道
 より23.4°南側に移動しますから、アナレンマの縦の長さは

  23.4° × 2 = 46.8°

 となります。
 次に横の長さですが、こちらは均時差と呼ばれるものです。私たちは常識と
 して

  「太陽は正午に南中するものだ」

 と考えがちです。もちろん経度の違いによってその分正午ちょうどとならず
 ずれてしまうのは判りますが、日本の標準子午線である東経 135°の線上な
 ら昼の12時には太陽は南中するはずと考えがちです。ところが実際はさにあ
 らず。東経 135°の場所であっても太陽が南中する時刻は最大で正午から16
 分程もずれることがあります。

 最大で16分ずれると言うことは、太陽は 1日で天空を一周( 360°)、 1分
 では0.25°動くので、

  16分 × 0.25°× 2 = 8°

 の幅となって現れます。
 アナレンマの8の字は大きさはおよそ

  縦 47° × 横 8°

 となります。8の字といいながら、大分細長い8の字です。私はアナレンマ
 の画像などを見るといつも、細長いヒョウタンを思い出します。

 ちなみにこの8の字、下の「○」の方が上の「○」よりやや大きい。見た目
 からすると落ち着きがいい感じです(南半球で見ると逆になりますが)。
 8の字の天辺は夏至の日(6/21頃)、下辺は冬至の日(12/22 頃)となりま
 す。8の字の真ん中で線が交差する場所は、4/15頃及び 9/1頃になります。

◇アナレンマは現代が生み出した映像?
 アナレンマの8の字の横の動きは「均時差のため」生まれることを既に説明
 しました。この均時差とは

  平均太陽時 - 真太陽時 = 均時差

 です。私たちは、太陽が南中した時を正午で、正午と次の正午の間の長さを
  1日であるとずっと考えてきました。この 1日は真の太陽基準の 1日という
 ことで真太陽日(または、視太陽日)と謂い、これに基づいた時刻を真太陽
 時(または、視太陽時)と謂います。しかし正確な時計で計るとこの正午と
 正午の間隔で測る 1日の長さは季節によって変化するのです。

 これでは不便ですので、現在はこの正午と正午の間隔の 1日の長さを全て平
 均した「平均の 1日」を 1日とするようになりました。これが平均太陽日で
 あり、これに基づいた時刻が平均太陽時で、私たちが現在使用している時刻
 です。

 冒頭で紹介した辞典のアナレンマの説明に「毎日、同じ時刻に空にある太陽
 の位置を記録する」と書きましたが、この時の「同じ時刻」とは現在私たち
 が使っている平均太陽時によって測られた時刻です。

 この平均太陽時の使用の歴史は案外浅くて、日本の場合は明治21年(1888年)
 から。それ以前の真太陽時使用の時代であれば同じ時刻に太陽の位置を記録
 しても、夏至と冬至の間の太陽の南北の動きしか認められませんから、アナ
 レンマは8の字ではなくて「1の字」、つまり直線になってしまうのでした。

 こう考えるとアナレンマの8の字曲線は、平均太陽時の使用のたまもの。そ
 の平均太陽時を利用するようになった現代が生み出した映像とも言えます。

 さあ、明後日は冬至。アナレンマの8の字の下辺に太陽が来る時期です。
 ちょうどいいタイミングですから、皆さんこれからの 1年、根気よく太陽の
 写真を撮し続けてご自分の「アナレンマの曲線写真」を作ってみませんか?
 私は、根性が足りないのでどなたかの写した映像あるいは、計算で作った画
 像で満足するつもりです。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2009/12/20 号

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