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■「成人の日」の日付
 本日は、成人の日。祝日です。
 祝日としての「成人の日」の意味とは、

  『おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いは
   げます。』 

 と国民の祝日に関する法律には書いてあります。
 現状が、果たしてこの条文のとおりなのかなということに関しては、読者の
 方それぞれの判断にお任せします。

 さてこの祝日としての成人の日は、ハッピーマンデー法の対象となってしま
 って2000(平成12)年以降は、 1月の第 2月曜日という日付が移動する祝日
 の一つとなってしまいましたが、それ以前は1/15に固定された祝日でした。

◇「成人の日」という祝日の日付
 祝日の日付には、その祝日に関係の深い行事等の日付が選ばれることが多い
 のですが、そうした中にあって成人の日はその日付にどんな意味があるのか、
 はっきりしない祝日です。
 ハッピーマンデー法によって移動祝日となってしまったため、ますます分か
 らなくなってしまいましたが、それ以前の1/15も、その日付の理由がよく分
 かりません。

 おそらく、古くからの成人の儀式(元服等)が正月の期間に行われていたこ
 と(公家は 1/4まで、武家は1/11までに行った)を考慮して 1月中に行うこ
 とにしたのでしょう。

 15日という日付に関しては1/15は小正月で「ハレの日」ですから、目出度い
 行事を行うには適した日付だと考えられたようです。
 元日からしばらくの間は「ハレの日」が続きますので、15日でなくてもよい
 わけですが、この期間は他の諸行事が立て込んでいるので、避けられたもの
 と推測されます。

 ただし、国民の祝日に関する法律が作られる過程ではじめて「成人の日」と
 いう祝日の名前が登場したとき(衆参両院の祝日原案の参議院案)には成人
 の日の日付は、1/15ではなくて、 11/23とされていました。なぜ?

◇成人の日の発祥は?
 現在は日本各地で市町村などの行政機関が中心となって新成人を集め成人式
 なるものを開きますが、この始まりは戦後間もない1946(昭和21)年 11/22
 〜24にかけて埼玉県の蕨市で行われた第一回青年祭の中の「成年式」がその
 最初のものだとされています。
 (成人式のルーツを探ったのに、出てきたものの名称は「成人式」ではなく
 て、「成年式」でした。)

 戦争によって荒廃した日本の復興の担い手としての青年達にその自覚を促す
 と共に、彼らを励ますために行われたものだったそうです。

 この蕨市で行われた行事の主旨と意義が高く評価されて、「成人の日」が祝
 日となりました。
 注目すべきは、この第一回青年祭の行われた日付です。1946/11/22〜24。
 参議院案の日付、11/23 はここから来たようです。

 11/23 といえば、新嘗祭の行われる日。
 この日は現在、成人の日ではありませんが、他の祝日となっています。お分
 かりですね、勤労感謝の日です。

 古来から行われてきた新嘗祭は、秋の収穫を祝う祭事ですから、その収穫を
 生み出す労働に感謝する勤労感謝の日には相応しい日付ということで11/23 
 は勤労感謝の日となり、成人の日は勤労感謝の日に11/23 という日付を譲る
 ことになったのでしょう。

 成人の日にまつわる行事の始まりは11/23 ですが、成人の日がこの日でなけ
 ればいけないという理由としてはいささか弱い。かといって、他に「これだ」
 という日付も見つからないので、既に書いたとおり昔の元服やハレの日など
 を考慮して1/15と言う日になったと考えます。

◇「成人の日」の受難
 成人の日はその生まれの段階から既に、他の祝日に席を奪われるようにして
 原案から日付が変わった祝日です。それもこれもその行事と日付との結びつ
 きが弱いため。

 そして、この日付との結びつきの弱さが祟ってか、2000(平成12)年に国民
 の祝日に関する法律に俗にハッピーマンデー法と呼ばれる修正が加えられた
 際にいの一番にその対象となる憂き目を見たのだと考えられます。

 昨今では、日付だけでなく「荒れる成人式」に代表されるように成人の日の
 意味もそれが生まれた頃の理念からかけ離れたものになりつつあるようです。
 成人の日の受難は、さて何処まで続くのやら。

◇蕨市は今でも「成年式」
 最後にちょっと余談ですが、成人の日の発祥の地とも云える蕨市では今でも
 成人の日の式典は「成人式」ではなくて、1946年当時と同じく「成年式」と
 呼んでいるそうです。日付に関しては、現在の成人の日に合わせているよう
 ですが。

 蕨市の「成年式」
 http://www.city.warabi.saitama.jp/hp/menu000004600/hpg000004590.htm

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/01/11 号

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