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■「水沢腹堅」の日付から見た暦の話
 最近、Web こよみのページの利用者の方で、以前中国の西安に住んでいらっ
 しゃったという方から次のような内容のメールを頂きました。

  西安では季節の到来は正に24節気のとおりでした。
  季節も生命も一体であることが実感されます。
  (※内容紹介なので、大分省略させて頂きました。 byかわうそ)

 やはり二十四節気の生まれ故郷、中国の中原部は違いますね。
 二十四節気がいかにして出来たかを現代でも実感出来るわけです。

◇七十二候
 二十四節気の節気を更に細かく三分割したものを七十二候と云います。
 七十二候の一候の期間はほぼ 5日。
 ここまで細分すると、生まれ故郷の中国と日本とでは時期の差が目立ってし
 まうため、七十二候の方は二十四節気と違って昔から「日本風の七十二候」
 へ改訂を試みる方が幾人もいて、そうした方々の作ったものが本朝七十二候
 (日本の風土にあわせた七十二候)と呼ばれています。

 二十四節気は「暦」との結びつきが強かったためか、こうした日本風の改訂
 がなされることはありませんでしたので、今もって本場中国のままの姿です。
 (文字が異なるものがありますが)

◇水沢腹堅
 七十二候に「水沢腹堅」というものがあります。
 「すいたく ふっけん」とか「さわみず あつくかたし」などと読みます。

 本場中国の七十二候と本朝七十二候の両方にある言葉ではありますが時期は
 微妙に異なっており、中国のものは二十四節気の大寒の末候(1/30〜 2/3頃)
 本朝七十二候では大寒の次候(1/25〜1/29頃)となっています(日付は、太
 陽の位置から求める定気法で考えた数値)。

 時期は微妙に異なりますが、中国のものも日本のものも大寒の頃の寒さで沢
 の氷が厚く張りつめる頃という意味は同じです。

 氷の厚みが増、硬さが増してその極みとなれば、あとは氷は今よりは薄くな
 り、硬さを減じるばかり。
 これからは少しずつ寒さが緩むのだなと予感させてくれる嬉しい言葉とも感
 じられます。
 さぁ、さぁ、早く暖かくなれとは、ちょっと気の早い言動でしょうか?

◇水沢腹堅の日付
 水沢腹堅の時期は、新暦の1/25〜1/29頃です。
 日付についてはここは日本ですので、日本の七十二候の日付で話を進めるこ
 とにします。
 「旧暦万歳派」(←私が勝手に命名した言葉です)はいろいろなところで、

  旧暦は日本の季節をよく表した暦である。その証拠は旧暦の時代に使わ
  れた二十四節気や、七十二候が季節の移り変わりをよく表していること
  を見ても解る。
  新暦を使うようになってから暦の日付と季節との間にずれが起こってし
  まい、季節感に乱れが生じてしまった。

 というようなことをおっしゃいます。
 おそらく旧暦などに興味があって旧暦を冠した本や解説の文章をお読みにな
 った方なら一度はこの手の説明を読んだことがあると思います。

 ですが「水沢腹堅の時期は、新暦の1/25〜1/29頃です」とこの文章の少し前の
 部分で私が書いたように、この日本の季節をよく表した七十二候の時期を書
 き表すのには新暦の方がずっと便利です。

 日刊☆こよみのページの読者の皆さんには「今更なにを」というあたりまえ
 のことですが、最近このメールマガジンを読み始めたばかりの方のことを考
 えて「水沢腹堅」の日付を、新暦と旧暦で書き表してみましょう。そうすれ
 ば、なぜ「新暦の1/25〜1/29頃です」と新暦で書いた理由がよく解ります。

  水沢腹堅の時期(2009〜2012)を旧暦の日付で表す
   2009年 *12/30〜  1/ 4
   2010年 *12/11〜*12/15
   2011年 *12/22〜*12/26
   2012年   1/ 3〜  1/ 7 ( *印は表記の年の前年年末の12月を表す)

 旧暦の日付は書いてありますが、新暦の日付は書いていません。なぜかと云
 えば2009〜2012年の何処をとっても、水沢腹堅の時期は新暦1/25〜1/29だか
 ら書くまでもなかったのでした。

◇二十四節気、七十二候が季節をよく表すというのなら
 旧暦万歳派の皆さんが、二十四節気や七十二候が日本の季節をよく表す言葉
 だと肯定してくれるのなら、それはすなわち「新暦って日本の季節によくあ
 った暦です」と肯定してくれていることになります。
 本人達はそんなつもりは毛頭無いのでしょうが、言っていることからすると

  新暦万歳派

 になってしまっています。
 と本日は、寒さの極みを表した七十二候の「水沢腹堅」という言葉とその日
 付から見た旧暦と新暦の話でした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/01/26 号

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