こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■今日は「春節」
 今日は、旧暦の元日。
 日本においては旧正月と呼ばれて、ところによっては正月行事を行うことが
 あります。ただ、昨今は大分少なくなっているようです。

 年中行事については、「旧暦の方がよく合う」という意見もありますが、年
 中行事の中でも最大の正月に関しては旧暦派より新暦派が圧倒的。
 一部には

  新暦の正月では年賀状には迎春と書きながら実際の季節は真冬じゃないか

 といった批判とも言えない批判が無いことは無いですが、正月という自然と
 云うより人間社会の約束事としての性格の強い行事は、やはり実際に社会生
 活で使われる暦に則って行われるのが順当だということでしょうか。

 比較的狭い地域のみで行われる閉じた行事としては、旧正月はまだ生き残っ
 て行くかも知れませんが、日本全体としては、旧正月の行事はやがて消えて
 しまうように思われます(私はそれが自然だと思っています)。

◇中国では「春節」
 日本で旧暦と呼ばれるものは中国では「農暦」と呼ばれます。
 農暦は日本の旧暦と同様で、正式な暦としては使用されていませんが、その
 農暦の元日だけは、中国の正式な暦の上でも「春節(しゅんせつ)」という
 祝日になっています。

 このため、中国の計算した旧暦(農暦)と日本の旧暦を比較するような場合、
 中国の春節の日付を見て、大きな間違いが無いかをザッと知ることが出来ま
 す。何せ、春節は中国の政府公認の旧暦の元日なわけですから(計算は、日
 本の国立天文台的な存在である、紫金山天文台が担当しています)。

 ただし、気をつけないといけないのが、日本と中国の時差の問題。日本標準
 時と中国の標準時(北京)の間には 1時間の時差が有ります。旧暦、農暦は
 太陰太陽暦ですから、暦月の区切りは新月(朔)となる日を含む日から始ま
 りますので、新月の瞬間が日本時で午前0〜1時の間に起こる場合、中国の日
 付は、日本の日付の 1日前の日付のまま新月となることになります。
 すると、日本の旧暦と、中国の農暦の間に 1日のずれが生じることになりま
 す。今日の場合、新月(朔)の瞬間は

  日本時 2月14日 11時51分 / 北京時 2月14日 10時51分

 となります。今回は時差があっても、日付が変わるようなことは有りません
 でしたが、確率から云えば24年に一度は日付が違うことが有るはずです。
 近年では、1997,2027,2028年が日本の旧暦元日と中国の春節の日付が異なる
 (あるいは、異なるはず)年です。参考までその時の新月(朔)は

  1997年:日本時 2月 8日 00時06分 / 北京時 2月 7日 23時06分
  2027年:日本時 2月 7日 00時56分 / 北京時 2月 6日 23時56分
  2028年:日本時 1月27日 00時12分 / 北京時 1月26日 23時12分

 となります。
 既に書いたとおり今年は日本の旧暦元日と中国の春節は同じ日、今日2/14。
 日本と違って、中国では「春節」が公的祝日になっているほどですから旧正
 月の風習は社会全体にも強く残っており、今日からほぼ一週間が正月の行事
 が続きます。うっかり普通の日のつもりで旅行などすると、大変かも。
 (これを狙って行く分には全然問題が無いですが)

◇「農暦」について、ちょっと一言
 中国では日本のいわゆる旧暦にあたる太陽暦移行前の暦を「農暦」と呼んで
 いると書きましたが、時折この名前から

  「太陰太陽暦が農業に適した暦であることから、古来から農暦と呼ばれ
   ていたのでした」

 といった有らぬ誤解をなさっている方がいらっしゃるようですが、農暦とい
 う呼び名はあくまでも中国の暦が現在世界で広く使われる太陽暦(グレゴリ
 オ暦)に移行して以後に生まれたもので、

  田舎(農村・・・)で、使われている昔ながらの暦

 といった意味の言葉です。農暦の「農」は本来の農業ではなくて、田舎の代
 名詞的に使われているものです。日本でも旧暦が地域の伝統行事が根強く残
 る傾向にある田舎で都市部よりも長く生き残っているのと同じことです。
 また、農業に適した暦だから農暦と呼ばれたというわけでもありません。

 どうも、「農暦」という言葉から勝手に有らぬ妄想(?)を抱いて、おかし
 な説明をしてしまう方がいらっしゃるようですが、皆さんはそんな恥ずかし
 い誤解をなさらないように。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/02/14 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック