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■おかしなチェーンメール
 昨日で10月が終わってしまいましたが、その10月の終わりの日に、今年の10
 月についてかかれた「おかしなチェーンメール」の情報を読者の M.Mさんか
 らいただきました。
 暦のこぼれ話の種に困っている私としては、利用しない手はないと、早速本
 日使わせていただきます。

◇M.M さんからいただいたメール(抜粋)
 以下のようなメールが届きました。
 823年に一度って、今のこよみを使っている上において、
 なのだと思うのですが、計算上、本当ですか?
  
 くだらないとは思いましたが、気になったものですから。
 お忙しいところをすみません。
  
  > 「☆彡すごいですよ☆彡
  > 2010年10月は
  > 5回の金曜日 5回の土曜日 5回の日曜日
  > すべて1ヶ月の中にあります。
  > これは823年ぶりの事だといいます。
  
  > 8名の大切な人に、
  > この内容を教えてあげるとお金が入ってくるそうです。
  > 中国の風水を基礎に言い伝えられている事です
  > 大切な貴方に送らせて頂きます
  > 豊かに!幸福になって下さい
  > 幸せの手紙とは、違います♪

◇大切な皆さんへ・・・
 省略しましたが「8 名以上」に送ってもよいとも書いてありましたので、日
 刊☆こよみのページの読者の方、4000名弱に送った私はきっと大金持ちにな
 ることでしょう。それにしても、

 「5回の金曜日 5回の土曜日 5回の日曜日がすべて1ヶ月の中にあります。
  これは 823年ぶりの事だといいます。」

 には恐れ入りました。
 日刊☆こよみのページの読者の皆さんなら既におわかりの通り、でたらめも
 いいところです。
 この条件は、ちょっと考えれば、月の日数が31日の大の月で、その月の 1日
 目が金曜である月と同じ意味だとわかります。

 月の初めの日が何曜日になるか、曜日が 7通りしかないのでその確率はほぼ
 1/7 。現在の暦で大の月になるのは1,3,5,7,8,10,12 月。つまり 1年に 7回
 ありますから、単純に考えて、問題となった条件を満たす月は 1年に平均 1
 回は登場します(実際は各月の日数の並びから、多い年と少ない年が出来る
 ので短期的には、出現頻度に偏りがあります)。ひいき目に考えても 823年
 ぶりは大げさすぎますね。

 お手元に今年、2010年の 1年分の曜日の書かれたカレンダーがあればそれを、
 無ければ、こよみのページの「万年カレンダー」をご覧いただきたい。
 今年、問題の条件を満たす月は10月ですが、よく見ると 1月も同じじゃない
 ですか。これで、あっさり「 823年ぶり」は嘘だとわかります。

◇グレゴリオ暦の日付と曜日の関係
 現在使われているグレゴリオ暦では、 1年は平年は365日、閏年は366日です。
 この数字を 7で割ったときのあまりは、1及び2。
 つまり、平年なら翌年の 1/1の曜日は今年の 1/1の次の曜日。閏年なら、次
 の次の曜日になります。これが積み重なって、曜日のズレが 7の倍数となる
 と、 1/1の曜日は元に戻ります。

 そして 1年の各月の日数は、平年か閏年かで変化する 2月をのぞいて年ごと
 に変化することがありませんから、平年同士、閏年同士であれば、 1/1の曜
 日が同じ年は 1年を通して日付と曜日の関係も同じになります。

 一度冒頭で紹介したチェーンメールのような曜日の配列の月を見つけたら、
 次に同じ曜日の並びの年を見つけるのは案外簡単。 1/1の曜日のズレの数を
 数えればいいのです(平年か、閏年かには注意して)。

 1900, 2100年などのやや特殊な年を除けばグレゴリオ暦では 4年に一度閏年
 が入ります。ですから、 4の倍数だけ年数が離れた年は、平年なら平年、閏
 年なら閏年になります。
 次に 1/1の曜日のズレの量は平年なら 1、閏年なら 2ですから、ある期間内
 に平年も閏年も 7の倍数となるような年を探せればその年は基準とした年と
 同じ日付と曜日の組み合わせになります。

 この二つの条件を満たす年は、先に書いた1900年などの特殊な年を挟まない
 期間であれば、28年ごとにやってきます。28年は 4の倍数の年で、その間に
 平年は21回、閏年は 7回と 7の倍数となるからです。
 よって、メールのような組み合わせは普通は、28年ごとには普通に起こるの
 です(平年と閏年の並びに気をつければ、もっと短い間隔も見つかりますの
 で、興味のある方は探してみてください)。

 さらに、グレゴリオ暦では年の配置と曜日の並びは 400年ごとに完全に同じ
 になります(今年2010年の日付、曜日の並びは、1610,2410,2810・・・と同
 じ)ので、一度起こった曜日と日付のどんな組み合わせも 400年ごとには起
 こるので、この周期を超えた「 823年ぶり」なんて云う話があれば、これは
 でたらめに決まっています。

◇最後に
 話の発端となったメール、転送してくださった M.Mさん自身も「おかしい」
 とお気づきになっていたのですが、それこそ今年のカレンダーをよく見れば
 嘘だとわかるようなこんなデマでも、信じてしまう人はいるのでしょうね。
 皆さんも、こんなメールを受け取った時には、ちょっと考えてそしてゴミ箱
 に捨ててしまいましょう。

 最後の最後に、メールにあった状態になる月を2000〜2019年の間で拾い出し
 てみると、次のようになります。20年間に18回。 823年ぶりってことはあり
 ませんでしたね。

  2000/12,2002/03,2003/08,2004/10,2005/07,2006/12,2008/08,2009/05
  2010/01,2010/10,2011/07,2013/03,2014/08,2015/05,2016/01,2016/07
  2017/12,2019/03


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/11/01 号

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