こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■夏より貴重な冬の満月?
 冬は満月が頭上高く昇り、冴え冴えとした青白い光を投げかけてくる季節で
 す。満月の光に照らされた地上を白い霜が覆うような夜がやって来るのもも
 うすぐでしょう。

 さて、前回の満月は 10/23でした。もう20日あまりが経過していますが、次
 の満月はいつだったか・・・(次の満月は 11/22です)。

 まだまだ先ですね。ああ、待ち遠しい。
 なんだか満月と満月の間が離れていると思ったら、そうか、冬だからなんで
 すね!?

◇満ち欠けの周期
 月の満ち欠けの周期を朔望周期、あるいは朔望月といいます。

 この朔望周期は普通は朔(新月)から次の朔までの間隔として考えますが、
 これは何も朔から朔でなくて望(満月)から望までの間隔と考えてもかまい
 ません。

 新月とは、太陽と月の黄経(主に太陽系内の天体の位置を示すために使用さ
 れる黄道座標と呼ばれる座標の経度方向の角度)の差が 0°の瞬間です。
 これに対して満月はといえば、この黄経差が 180°となる瞬間です。
  0°と 180°の違いはあっても、どちらかを基準にして再び同じ位置関係に
 戻るまでに要する時間が 朔望月ですから、違いは無いのです。

 つまり満月と満月の間隔は 1朔望月の日数と云うことが出来ます。
 朔望月の長さは何日くらいかなと調べてみると

  朔望月 29.530589日 (理科年表より)

 と出てきます。なるほど、29.530589日か。
 但しこれは沢山の朔望月の長さを平均した「平均朔望月」というものの値で
 一つ一つの朔望月の長さは、この長さより少しだけ長かったり短かったりし
 ます。

 地球から見た月の動きは細かに見てゆくとかなり複雑で、一つ一つの朔望の
 間隔は毎回変化するのですが、今日の話は一つずつの個別の長さの話ではな
 くて、平均化した「ある傾向」についての話しです。

◇満月と満月の間隔は夏より冬の方が長い?
 個々の朔望月の長さが異なる理由の多くは月の軌道が複雑なことがその主な
 原因ではあるのですが、月ばかりではなく、太陽の動きも関係します。

 新月や満月は、「月と太陽の黄経差」で定義されるわけですから、月の動き
 だけでなく、太陽の動きも影響するのは当然です。太陽が一年かけて天球を
 移動してゆく道筋を「黄道」と呼びますが、この黄道上を太陽の動く速さは
 季節によってわずかですが変化します。

 この原因は、太陽の側から見れば太陽の周りを巡る地球の軌道が楕円で、地
 球が軌道上を太陽に近い距離にある時期には「速く」動き、太陽から遠い距
 離にある時期には「遅く」動くことによります。

 地球からみた月と太陽の動く方向は同じで、速さという点では月の方が太陽
 よりおよそ13倍速い動きをします。アナログ時計の短針の動きを太陽の、長
 針の動きを月の動きと考えると解りやすいと思います。

  0時(12時)には短針と長針は同じ位置に重なって見えます。月と太陽で云
 えばこれは朔(新月)の状態です。 1時間経過して長針の月はまた同じ12の
 文字の場所に戻ってきますが、短針の太陽はこの時には少し進んで 1の文字
 の場所まで移動しているので、この短針に長針が追いついて重なり、朔の状
 態になるのは、最初の朔の状態から約 1時間 6分後となります。

 時計の例では、太陽役の短針も月役の長針も同じ速さで動きますから、朔か
 ら朔(あるいは望から望)の状態となる間隔は一定ですが、実際の太陽や月
 では、一定ではありません。

 太陽の動きは、地球が太陽に近い距離にあるときに速く、遠い距離にあると
 きに遅く動くと書きました。地球が一番太陽に近づく時期は、 1月の上旬で
 一番遠ざかる時期は 7月上旬です。これをアナログ時計の例に当てはめて考
 えると、文字盤の数字を暦月の数字だと考えれば解りやすいく、文字盤の 1
 の辺りでは短針は速く動き、文字盤の 7の辺りでは遅く動くのです。

 もしこの状態の時計で長針の動きが一定の速さだとしたら、文字盤 1の辺り
 では、長針が短針に追いつくのに要する時間は 1時間 6分よりちょっと長め
 になり、文字盤の 7の辺りではちょっと短めになります。

◇冬の満月は貴重だ!
 ここまで、考えやすさからアナログ時計の針の重なる朔の状態で説明しまし
 たがこの関係は、望(満月)であっても同じ。
 つまり、例の時計の文字盤の 1に近い時期、実際の季節で云えば冬の時期の
 満月から満月までの間隔は、平均して夏のそれより長くなります。

 冬の時期には満月と満月の間隔が開くわけですから、冬に満月を見るチャン
 スはは夏に満月を眺めるチャンスより少ないことになります。
 つまり、「冬の満月は夏の満月より貴重」と云うことになります。

 最後に、実際の満月と満月の間の間隔を1900〜2099の間の 200年分について
 計算して見ました(2460回の満月がありました。但し世界時で計算した結果
 ・・・手抜きです)。

 冬の時期を立冬から立春の前日までとし、その間の望(満月)を 590回を抜
 き出し冬の期間の朔望月の長さの平均を求めてみると

  冬の期間の平均朔望月は 29.60608日

 となりました。
 ああ、全ての朔望月の長さの平均が 29.530589日ですから、確かに冬の朔望
 月は長い。つまり、冬の満月は貴重なんです。

 どれくらい貴重かというと、全ての季節の平均に比べて、約0.26%も(?)、
 満月となる回数が少ないのです。って、皆さん「貴重」だと思ってください
 ますか?

 こんな計算をして「 0.26%も少ない」なんて書くような人間は貴重(いや、
 単に珍しいだけか)だと思いますけど・・・。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/11/13 号

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