こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■季節と場所で変わる日の出の時刻
 本日は、体調不良で 2日延期させて頂いたこぼれ話です。
 11/29 号の皆様からのお便り紹介コーナーで紹介しましたmhさんの疑問を
 本日は採り上げてみます。
 もう一度mhさんのメールを引用させて頂きます(抜粋)。

 --------------- mhさんのメール ----------------
 日の出の時刻が、各地で異なるのは経度のせいですか、それとも緯度のせい
 ですか?
 どちらから考えても納得できません。

 たとえば今日(28日)の日の出の時刻はつぎのように記されています。
  札幌 (11/28)  日出  6時42分
  仙台 (11/28)  日出  6時30分 
  東京 (11/28)  日出  6時29分 
  大阪 (11/28)  日出  6時43分 
  福岡 (11/28)  日出  7時 1分
  那覇 (11/28)  日出  6時57分

 次が私の疑問です。
 1.札幌と仙台は経度ではほぼ同じ、緯度では札幌がはるかに高緯度にある。
   札幌の日の出が12分遅いのは緯度が高いためか?
 2.仙台と東京は経度も緯度もかなり異なるのに、日の出の時刻は 1分差し
   かない。これはなぜか?
 3.福岡と那覇は緯度はものすごく異なり、経度では福岡がかなり東にある。
   それなのに日の出の時刻は福岡が 4分も遅い。これはなぜか?

 地図を見ながら首をひねっています。納得の行くご回答をお願いいたします。
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 さて、ここで地球儀を思い浮かべて下さい
 地球儀にある方向から光を当てたとします。この時の光源は太陽の代わりで
 す。地球儀には明るい半球と暗い半球が出来ます。昼の半球と夜の半球です。
 昼と夜を分ける境界線(以後に昼夜境界線と呼びます)は光源が十分に遠け
 れば、地球を一周する大きな円を描きます。

◇昼夜境界線の位置の季節変化
 光源を地球儀の赤道の真上(地球儀の中心と赤道を結んだ延長線上)に置い
 たとすれば、昼夜境界線は南極点と北極点を通る円となります。これは現実
 の地球での春分・秋分の状態を表しています。
 春分・秋分の状態の昼夜境界線は地球儀の経度の線に沿うように出来ます。

 次に光源を北上させ北緯23.4度に持ってきたとします。夏至の状態です。
 この時、北極付近には影となる部分は無く、常に陽が当「白夜」の状態にな
 っているのが解るはずです。赤道では、昼夜境界線は経度に対して23.4度の
 角度で交差することになります。

 逆に光源を南下させ、南緯23.4度の位置に持ってくると冬至の状態。
 夏至には白夜になった北極は今度はずっと闇の中となります。赤道での昼夜
 境界線と経度線は夏至とは逆向きの傾きで交差することになります。

 この状態で地球儀を北極の側から見て反時計回りに回してみましょう(地球
 の自転を表します)。
 昼夜境界線が経度線に沿っている春分、秋分の状態では、どの緯度でも経度
 が東であればあるほど日の出は早くなりますが、春分や秋分以外の場合(夏
 至や冬至ももちろん含まれます)、この経度線に対する昼夜境界線の傾きが
 ありますから緯度が異なる場所、例えば東京と仙台などでは経度が東にある
 からと云うだけで日の出が早くなるというわけではありません。

 「地図を見ながら」考えるなら、経度線と昼夜境界線の傾きを考慮して地図
 を斜めにして考えると、きっと納得出来ると思います。
 参考として、夏至・春分・冬至の日の地球上の昼夜境界線のイメージを図に
 しましたので、ご覧下さい。

   ⇒ http://koyomi8.com/cgi/magu/img/2010/hinodezu.png
 夏至・春分・冬至の昼夜境界線

◇特定の場所・特定の日の傾きは?
 ある特定の場所と日で、地図をどれくらい傾ければいいかというと、これは
 季節とそして緯度によって変わるのでなかなか一筋縄ではいきません。

 季節によって傾きが変わる理由は、太陽の位置、地球上では太陽が真上に見
 える場所の経緯度と言い換えられます、が夏至〜冬至の間で既に書いたよう
 に北緯23.4度〜南緯23.4度まで変化するためです(北回帰線、南回帰線とい
 う線が地球儀に入っていることがありますが、これは太陽が真上に見える場
 所の北限と南限を表した線です)。地球全体から見た昼夜境界線の傾きが変
 わるのです。

  「なんだ太陽の北緯、南緯の分の角度だけ地図を傾ければいいのか」

 と思ってしまった方もいらっしゃると思いますが、残念ながらそう単純に考
 えられるのは、赤道上に住んでいる場合だけ。
 ある緯度での経度線と昼夜境界線の傾きがどれだけかは、太陽赤緯β、その
 地の緯度φ、昼夜境界線と経度線の傾き角xとすると

  sin(x) = -sin(β)/cos(φ)

 なります。この関係から北緯50〜20度の冬至と御質問のあった11/28 の昼夜
 境界線と経度線の傾きxを計算すると次のようになります(おまけで東京の
 緯度の値)。

  北緯50度 38.2度(34.8度) ※最初の角度は冬至、()は11/28 の角度
   〃40度 31.2度(28.6度)
   〃30度 27.3度(25.0度)
   〃20度 25.0度(23.0度)
   東京  29.3度(26.8度)

 この角度を参考に、地図をちょっと傾けて昼夜境界線と日本各地の位置関係
 を考えてみてください。ただし地図はその図法などによって角度が正しく表
 わしていない場合があるので、その点は注意が必要です。

 面倒だな・・・と思う方のために11/28 の東京付近での角度を用いて地図を
 傾けてみた画像を次のアドレスにのせておきましたので、興味のある方はご
 覧下さい。

 11/28 の地図 ⇒ http://koyomi8.com/cgi/magu/img/2010/hinode1128.png
 11/28の日本付近の昼夜境界線

◇最後に
 言葉で説明しようとしたのですが、これは結構大変。
 図表を使ってきちんと説明しないとわかり難い話でした。
 今回の記事をベースにWeb こよみのページに解説記事を書くことを考えない
 といけませんね。

 mhさん、お待たせした上に解りにくい解説ですみませんでした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2010/12/02 号

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