こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■「乃東枯る」の季節
 昨日は夏至。一年で昼が一番長い日でした。
 私の住んでいるところではその夏至の日は五月晴れ(←本来の意味での)。
 一年で一番強い陽射しが降り注いで、気温も一気に上がりました。

 さて、その夏至ですが、これはご存知の通り二十四節気の一つです。
 そしてその二十四節気をさらに細分化したものに七十二候というものがあり
 ます。七十二候は、日常目にする動植物の様子を採り上げたものが多くあり
 ます。動植物の育つ様子や行動によって季節の変化を示しているのです。
 夏至の日の七十二候は何かと見ると、

  乃東枯る(だいとう かるる)

 とあります。
 「日常目にする動植物の様子によって」と書いたばかりの七十二候の説明で
 したが、この「乃東」っていったいなんでしょう?

◇乃東枯る(だいとう かるる)
 七十二候の中には、読んでもパッと意味がわからないものがあります。多分
 この「乃東枯る」もそんなパッと意味がわからないものの一つでしょう。
 以前、

 > 一寸前になりますが、七十二候の中で、二十八候「乃東枯る」の意味を
 > めぐって諸説紛々です。意味を教えてください。

 というメールを頂いたことがあります。
 やはり「乃東」じゃ、何のことかわからないですね。
 乃東とは枯るということから、どうやら植物らしいことは見当がつきますが
 さてどんな植物?

◇乃東 = ウツボグサ(靫草)
 さて、この謎の乃東ですが、その正体はウツボグサ(靫草)です。
 ウツボグサは別名「夏枯草(カコソウ)」といいます。この別名をみれば、
 なるほど夏には枯れる草です。

 そう言われても名前だけではピンと来ない方は、写真を掲載して下さってい
 るサイトが沢山ありますのでご覧下さい。紫色のきれいな花です。
 →http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/utubogusa.html

 みればなるほど。
 田舎で生まれ育った私は子供の頃から、日当たりのいい田んぼの畦や草地で
 この花を毎年見ていましたので、確かになじみのある植物。ただし子供の頃
 にこの植物が「乃東(だいとう)」なんて呼ばれることは知りませんでした
 けれど。

 この花の花期は 6-8月頃。それを過ぎると花は枯れ、黒色化しした花穂は夏
 枯草(かこそう)と呼ばれるようになります。夏の盛りで周囲の植物が青々
 と茂る中に花を終えて枯れてしまうように見えるため、この植物は夏枯草と
 呼ばれるようになったのでしょう。

 また、こんな風に他の植物とは違った季節変化をすることから物珍しく、七
 十二候に取り入れられたものと考えます。

 私の感覚からすると今はまだウツボグサが枯るにはちょっと早過ぎる時期の
 ようにも思いますが、気の早いウツボグサはもう枯れているのかな?
 田んぼの畦道や、草地を散歩する贅沢が出来る方は、その足元にこの乃東が
 咲いている、あるいは枯れているかもしれません。
 注意してこの花を探してみてください。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2011/06/23 号

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