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■釜蓋朔日(かまぶた ついたち)
 「七月朔日には、地獄の釜の蓋が開く」
 ということで、この日を釜蓋朔日といいます。
 七月はお盆の月(暦月)。釜蓋朔日はそのお盆の月の始まりです。

 さて、ここでいう七月は、この釜蓋朔日という言葉が生まれた時代使われて
 いた暦、現在のいわゆる旧暦でしたので、現在の新暦の暦日とは大体一月ほ
 ど時期がずれます。お盆の行事は、東京などの一部地域で新暦で行われる例
 はありますが、現在のところ多くの地域では旧暦時代に行われていた時期に
 近い時期に行われています。

 どうやってそうするかというと、旧暦の日付に合致する新暦の日付を調べて
 実施するか、あるいは旧暦の日付の暦月に「+1」した新暦の月の同じ日付に
 実施するかです。きちんと調べたわけではないのですが、身の回りの状況を
 見回すと、ほとんどが簡便な後者の方式をとっているようです。

 旧暦時代、七月十五日に行っていた盂蘭盆を八月十五日に行うといった方式
 が後者の方式で、一般にこうした方式で日取りを決めたものを「月遅れ」と
 言い表しています。盂蘭盆の例では

  八月十五日は、月遅れの盂蘭盆です

 といった具合です。

◇今日は月遅れの釜蓋朔日
 さてようやく本題の話です。
 本来の釜蓋朔日の日付は七月朔日ですが、これを月遅れ方式で表せば、本日
  8/1が釜蓋朔日となります。

 既に書いたとおり釜蓋朔日はお盆の月の始まりの日という意味のある日なの
 で、お盆行事が月遅れで行われることが多いなら、この釜蓋朔日も月遅れで
 考えた方が現状には合いそうです。

◇地獄の釜の蓋が開くとどうなる?
 釜蓋朔日は地獄の釜の蓋が開く日といわれますが、では地獄の釜の蓋が開い
 たらどうなるかというと、地獄に閉じこめられている精霊がこのあいた釜の
 口から出てきます。
 こうして地獄から出てきた精霊たちがどこへ向かうかといえば、それは子孫
 の待つ家なのです。

 ご先祖様方はこの日「あの世」を旅立ってお盆のためにかつての我が家に帰
 省してくる訳です。ちょっと早すぎないかと思いますが、あの世は遠いので
 これくらい前から出発しないとお盆にこちらの世界まで到達出来ないのだそ
 うです。片道半月の旅行ということになります。

 片道半月もかかる長い旅で、ご先祖様はよく道を間違えないなと思いますが、
 毎年通う道なので大丈夫なようですが、まだ霊に成り立てのご先祖様の場合
 は、やはり少々不安。そのために新盆(亡くなって最初に迎えるお盆)の家
 にあっては霊が道に迷わないように家の在処を示すために遠くからでも見え
 る高灯籠を釜蓋朔日の日に建てて、これを盆の月一杯掲げ続けます。
 霊になっても道に迷うことがあるとは、霊になっても万能というわけではな
 いのですね。

 今頃、ご先祖様の霊はあの世からの長い旅を始めたでしょうか?
 今年も道に迷わず、無事にお盆に帰ってきてくださいね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2011/08/01 号

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