こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■真昼の月
 いきなりですが、私の愛読している漫画、海街diary(吉田秋生作 小学館
 刊行)の 2巻、「真昼の月」から登場人物の会話の一部を引用致させて頂き
 ます。

 (風太)何あれ・・・まさか・・・月?
 (将志)ばーか、こんなまっ昼間に月なんか出てるわけねーぺや
 (風太)だってさ! ほら見ろよあれ!
 (将志)えっ!?あっほんとだ! うっそマジでぇー!? ありえねーっ
 (すず)ン? あーホントだ
 (風太)って お、おまえ驚かねーの!?
 (すず)なんで? だって月って昼間も出てんじゃん
 (風太・将志) え〜〜〜っ?!
 (すず)時間とか位置とか大きさなんかで見えないこともあるけど
     月はちゃんと昼間だって出てるんだよ!

 登場人物、風太(♂)・将志(♂)・すず(♀)の三人はともに中学生。
 サッカークラブ「湘南オクトパス」のチームメイトという設定です。

◇真昼の月
 漫画の中の会話ではありますが、現実にもこれと似た会話をしたり、されて
 いるのを耳にしたことは無いでしょうか?
 こよみのページに寄せられる質問メールにも

  「昨日、日中だというのに月が見えました。
   いままで、日中に月が見えたことなどありませんでした。
   なぜ突然、日中に月が見えたのでしょうか。
   なにか、特殊な現象がおこったのでしょうか?」

 といった驚きのメールをいただいたことがあります。
 メールをくださった方にとっては「驚きのメール」だったわけですが、頂い
 た私にとっても別の意味で「驚きのメール」です。

 引用した海街diary の会話の中で、すずがいったとおり、時間や位置や大き
 さ(欠け具合)によって見えないこともありますが、月は昼間でもちゃんと
 出ているのです。そして、時間や位置や大きさの条件がそろえば、日中の青
 空の中に浮かぶ月が見えます。

 条件がそろえばと書きましたが、何も特別難しい条件ではなくて、空がよく
 晴れていることと上弦の半月〜下弦の半月の間くらいのお月であることくら
 いの緩い条件です。
 あとは見える位置と時間帯に気をつけさえすれば、案外簡単に見えるのです。

 見える位置と時間帯ということでいうと、

 ・上弦の半月〜満月の間なら、
    時間帯  :見える時間帯は午後(月出時刻から日没時刻までの間)
    見える位置:東〜南の方向

 ・満月〜下弦の半月の間なら、
    時間帯  :見える時間帯は午前(日出時刻から月没時刻までの間)
    見える位置:南〜西の方向

 満月近くだと月出時刻と日没時刻が、日出時刻と月没時刻が近いので見える
 のは夕方と朝方のの短い時間帯だけとなりますので、ちょっと「真昼の月」
 とは言いにくいですね。

 夕方と朝方の短時間を「真昼」から除くとすると、見える頃合いの月の具合
 は、月齢で言えば

   7〜11 , 19〜23くらい

 というのが大体の目安でしょう。

◇上弦の半月前、下弦の半月後の月はなぜ見えない?
 これはもっぱら月の明るさの問題です。
 月の輝いている部分に限って考えるならその明るさは、三日月でも満月でも
 同じように思いがちですが、実際にはとても大きな違いがあります。

 月の輝く部分の同じ面積を切り出して比較したとすると、満月が近づくとそ
 の明るさは急激に増します。
 月食の時など、その欠け具合によっては満月が三日月に近い形に欠ける瞬間
 がありますが、それでもこの月食で出来た三日月みたいな月は、実際の三日
 月の何倍も明るい月なのです。

 このように満月に比べるととっても暗い三日月でも夜であれば、周囲の空が
 暗いので明るく輝いて見えるのですが、太陽が空にあって空が明るいと、空
 の明るさに埋もれて見えなくなってしまいます。さらに、三日月の頃は月が
 太陽に近い一層明るいところにあるので、ますます見えにくくなります。

 半月より太った月の頃になると、月の輝く部分の明るさは大分増してきて、
 さらに太陽からも離れた位置に見えますから、このころになると、周辺の昼
 の空の明るさに打ち勝って月が見えるようになってくるのです。

◇「真昼の月」が見えない理由は思いこみ?
 既に書いた案外と緩い条件がそろえば、真昼の月は見えるはずですが、真昼
 の月を見たことがないとおっしゃる方が結構いらっしゃる。その最大の理由
 は「月は夜しか見えない」という思いこみではないかと思います。

 昼間の月は、青空の中で控え目に浮かんでいますから、その淡い月を目にし
 ても昼間に月が見えるはずがないと思いこんでいる人の目にはそれが月だと
 分からない(雲か何かだと思いこんでしまう?)のではないでしょうか。

 引用した海街diary のすずのように、昼間でも月が見えることを知っている
 者なら昼間に月が見えることはちっとも不思議なことではないのです。

 今日(2011/11/13)の月齢は17.3。既に書いた真昼の月が見える条件に照らす
 と、あと2〜3日すると、午前中に南〜西の空に真昼の月が見つかる時期に入
 ります。

 月は夜だけのもの、そんな思いこみを捨てて、皆さんも真昼の月を探して見
 てはいかがでしょう。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2011/11/13 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック