こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■割り切れない一年
◇時計に見る時・分・秒の関係
 「時計には短針と長針と秒針がついています。」と書きながら自分の部屋に
 ある時計を見てみると、一つも針のついた時計がありませんでした。
 仕方がないので、冒頭の文章の時計は「アナログ時計」と読み替えて下さい。

 さて、このアナログ時計の針たちですが、この針たちは秒針が一回転すると
 長針は一周の1/60動き、これが 1分となります。この 1分が60回繰り返され
 ると、その間に短針は一周の1/12を動き(12時間計の場合です)、これが 1
 時間となります。この 1時間が12回繰り返されて短針が一周して元の場所に
 ゆっくり戻った瞬間、短針の動きとは無関係のようにその下でせわしなく動
 いていた長針も秒針も、きちんと短針のある位置に並びます。

 短針が一周する間に、長針は12回、秒針は 720回時計の盤面を巡って、三針
 とも元の位置に戻ったわけです。一見バラバラに見えていますが、お互いの
 動きはきちんと割り切れる関係にあるため、何回か回る間には、三針がピッ
 タリ並ぶ瞬間が訪れるわけです。

◇暦に見る年・月・日
 暦にも時計の短針、長針、秒針が表す時・分・秒によく似た関係の三つの時
 間の長さの単位があります。年・月・日です。

  一日一日と日を重ねると、一月になり、月を12回重ねると一年になる

 秒針、長針、短針の関係と何となく似ています。
 私たちが使う暦での時間の最小単位は、天体暦などの特殊な物以外は、
 「日」となります。

 時間の長さにしても、重さや長さにしても私たちの生活に登場する物を測る
 単位は、短いものを測るためのものと長いものを測るものとがある場合、そ
 の関係は時計の時分秒のように「割り切れる」のが当たり前です。

  1mmの10倍は1cmで、1cmの100倍は1m。
  ということは、1mは = 10×100 = 1000mm

 とより上位の単位は下位の単位の整数倍で表されるのが当たり前。下位の単
 位の区切りが上位の単位の区切りをまたぐようなことはありません。

  1mは、100cmだけど、mmで表すと 1000.2345mm です。

 なんてことになったらきっといろんなところで「混乱」が起こってしまうで
 しょう。

 暦の中に登場する年月日の関係もこの「下位の単位の区切りが上位の単位の
 区切りをまたぐことはない」ように出来ています。
 まあ、月の日数は31,30,29,28 日と 4種類もありますけれど、それでも、

   2月 1日は、一年の初めから数えると 32.0596日にあたります。

 なんてことにはなりません。日の区切りは上位の月の区切りをまたがないの
 です。この関係は年についても同じです。

◇本当は割り切れない関係?
 「日が昇って沈み、また昇る。このサイクルを1日としよう。」
 「春が来て夏が来て、秋が訪れ、冬が過ぎて再び春になる。このサイクルを
  一年としよう。」

 一日や一年といった暦の上の時の長さを表す単位は、日常生活で気付くこん
 な単純な変化から生まれました。どちらの変化も太陽の動きと密接に関係す
 ることから、時代が進むと、日や年のサイクルは、その太陽の動きを正確に
 観測することによって求めるようになりました。そこで初めて困ったことに
 気がついてしまいました。

  一年のサイクルは、一日のサイクルでは割り切れない

 現在の一年の長さは、太陽が春分点を通過した瞬間から次に再び春分点を通
 過するまでの平均の長さです。これを「日」で表すと

   1年 = 365.2422日 (実際には 365.24219・・・と続きます)

 割り切れません。
 そうか、一年は 365日じゃないんだ。

  じゃあ、来年は今年の元日の365.2422日後に始まるわけだな。

 ・・・そんな馬鹿な。
 いくら、正確に測ったら一年は365.2422日だなんて云っても、年の区切りと
 日の区切りが一致しないようになっては、今日は「2/10、それとも2/11」な
 んてことになりかねません。こんなことが起こらないように考え出されたの
 が閏日。

  一年の日の単位以下の端数は毎年直すのじゃ無くて時々まとめて直す

 こうすれば、年と日の区切りが一致しない問題も生じませんし、一年の長さ
 が実際と大きくずれることもない。閏日を挿入する巧い方法を思いつけば一
 年日数の平均は近似的に実際の一年の日数に一致するように出来るのです。

◇閏日は400年に97回
 一年の日数の端数を見ると0.2422日。これを 4倍したら

  0.2422 × 4 = 0.9688(日)≒ 1日

 ということで、大体 4年に一度閏日を入れればかなりいい線行きます。
 それなので、閏年は 4年に一度巡って来るのです。
 ただこれでは、 100年単位で見ると約 1日の差が生まれてしまうので、現在
 はもう少し長い目で見て

  0.2422 × 400 = 96.88(日)≒ 97日

 として、 400年間に97日の閏日を挿入するようになりました。
  400年に97回と云うと面倒な感じですが、 4年に 1回閏日を入れることにし
 てこの 100回の閏日から 3日だけ省略すると考えると案外簡単。現在、

  西暦年が100で割り切れて、400で割り切れない年は閏年でない

 のは、この 3回の省略をするための規則です。

  ああ、神様が一年の長さを一日の長さで割り切れるように
  作っていてくれたら・・・

 きっとカレンダーを作りながら、古来多くの人々がそんなことをつぶやいた
 ことでしょうね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2012/02/29 号

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