こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■満月の日と十五夜の月の日
 日刊☆こよみのページの姉妹メールマガジン(?)に

  お月様のお知らせメール
  ⇒ http://archive.mag2.com/0001281490/index.html

 というものがあります。
 このメールマガジンは、新月・三日月・上弦の半月・満月・十五夜の月・下
 弦の半月・二十六夜月の月の日(下弦の半月と二十六夜月は前日)に発行さ
 れるメールマガジンです。

  満月を眺めようと思っていたのに、うっかりしていて見逃しちゃった

 といった自分自身の体験から、特徴のあるお月様の日に、忘れないようにと
 メールで知らせるサービスがあったらと考えて、作ったメールマガジン。
 思いつきで作ったメールマガジンですが、意外に使ってもらえているようで
 す(2012/08/02 発行「満月&十五夜の月のお知らせメール」の配信数は、
 1501部でした)。
 さて、このメールマガジンの満月と十五夜の月の説明の中に

  『新月から数えて15日目の十五夜の月と満月は同じものと考えられがち
   ですが、十五夜と満月が同じ日になる確率は50%以下。
   案外はずれています。』

 という一文があります。
 この一文に対して、お月様のお知らせメールを購読者の方からこんなメール
 を頂きました。一寸長いですが、引用させて頂きますと、

 --------------------- T.K さんからのメール(抜粋) -----------------
 満月=十五夜になる確率は1年で半分以下と仰りながら、
 6月・7月・8月は連続して三か月、
 満月=十五夜でしたね。

 「案外外れている」どころか、3か月も連続しているではありませんか。
 全然外れないではありませんか。
 これは一体どういう事でしょう。来月当たり外れるんでしょうか。
 何だか非常に矛盾しているように感じられてなりません。

 こんなこともあるんですね。
 あまりにも連続しているので、
 「案外外れている」というお言葉に説得力が全く感じられません。
 「どこが?」って感じです。
 逆に「いつになったら外れるの?」って感じですね(笑)
 ----------------- T.K さんからのメール(抜粋)ここまで -------------

 > 「案外外れている」というお言葉に説得力が全く感じられません。
 困ったな・・・。

◇十五夜と現在の満月
 満月のことを昔は望月(もちづき)といい、また十五夜の月ともいいました。
 望月ということばを辞書で引くと、

 【望月】(もちづき)
 1.陰暦十五夜の満月。俳諧では特に陰暦八月十五夜の名月。秋の季語。
 2.満ち足りたさま、賞美すべきさまの形容。
   《広辞苑・第五版》

 のような説明があります。
 ここにも陰暦十五夜の満月とあるとおり、日本でかつて使われていた太陰太
 陽暦では、十五夜の月といえば満月と相場が決まっていました。
 十五夜の月といえば、旧暦の十五日の夜に昇る月ということ。いつまでかと
 いえば、素直に考えて十六日の明け方に月が沈むまで、丸一晩は十五夜の月
 と呼んでよいと考えられます。

 これが、十五夜の月が伝統的(古典的?)な満月の考え方と思われます。
 では、現在の満月とは?

 現在の満月は、太陽・地球・月の順に一直線に並んだ状態を指す天文学的な
 定義の満月を指します。この状況は地球から見た太陽と月の成す角が 180°
 になった瞬間と言い表すことが出来ます。
 ここで「 180°となった瞬間」と書いたとおり、この現在の満月は定義上、
 一瞬だけなのです。

  今夜は満月です

 という場合、この天文学的な一瞬の満月の瞬間を含んだ日の夜の月という意
 味です。満月の瞬間がその日の0時0分でも23時59分でもその日が満月の日と
 なるので、違和感を覚える場合もあります。

 (※注意 この説明での「23時59分」は「23時59分59.999・・・秒」を省略
  したものとお考えください)

 0時0分が満月の瞬間だったら、「夜」という点で考えると、前日の夕方から
 始まる夜が、満月を含んだ夜なので、満月の日の夜は夜としては一つずれて
 しまいますから。なかなか難しいところです。

◇満月と十五夜は同じ日にならない?
 満月も十五夜も、もともとは同じ月を指す言葉だったはずですが、現在
の使
 い方からすると、両者の示す月の現れる日付が異なる場合が出現します。
 出現するなんて申しましたが、率としては「一致しない」という方が「一致
 する」より高いのでした。日付のずれは最大で二日になります。

 ずれてしまう原因の一つは、新月の瞬間から満月の瞬間までの経過日数が、
 平均 14.76日であることにあります。これは、

  満月の瞬間の月齢の平均は 14.76

 と言い換えることも出来ます。
 これに対して十五夜の月(旧暦十五日の月)の月齢はというと、

  13.0〜15.0 、平均 14.0

 です。十五夜の月の月齢に幅があるのは、新月の日も満月の日と同様に、新
 月の瞬間がその日の中に含まれていればよいことと、月齢は新月の瞬間から
 の経過日数にしか過ぎないからです。
 次のA,B の二つのパターンを考えてください。

 A.新月が新月の日の23時59分であったときの十五夜の日の 0時 0分の月齢
 B.新月が新月の日の 0時 0分であったときの十五夜の日の23時59分の月齢

 A の月齢は、13.0、B の月齢は15.0です。このため十五夜の日の月齢の
数
 値は13.0〜15.0と幅を持ったものとなり、平均は14.0となります。

 現在の満月(天文学的な満月)の月齢の平均が 14.76で十五夜の日の月の月
 齢の平均が14.0ですからその差は、0.76。
 現在の満月の瞬間の月齢の平均の方が0.76大きいので、天文学的な満月の日
 は、十五夜の日より平均して0.76日遅れることになります(月の軌道は単純
 でないので、この数値はあくまでも「平均」の話です)。

◇実際の満月の日と十五夜の月の日の日付
 満月の日が十五夜の日とどれくらい一致するか、実際の暦で確かめて見まし
 ょう。2000〜2019年の20年間にある 247回の満月についてそれが旧暦の何日
 なのか調べた結果は次の通りでした。

  旧暦十四日   3回 ( 1.2%)
  〃 十五日  90回 (36.4%)
  〃 十六日 116回 (47.0%)
  〃 十七日  38回 (15.4%)

 十五夜の日を基準にすると、満月の日が十五夜の日からどれだけずれている
 かの平均は、上記の 247回の例では、0.77日。先の説明の0.76を裏付ける値
 となっています。

 この結果を見ると、満月の日と十五夜の月の日が一致するのは全体の約 1/3
 程度、つまり 2/3近くは一致しないわけですから、お月様のお知らせメール
 の「案外外れている」は、おかしくはないですよね?

 ちなみに、お月様のお知らせメールの満月のお知らせは、

  2012/06/04 満月の日と十五夜の月の日が一致
  2012/07/04   〃
  2012/08/02   〃

 と 3回連続して満月の日と十五夜の月の日でしたので、「案外外れる」が説
 得力なく思われたようですが、次の満月の日、2012/08/31は、旧暦の日付で
 は十四日。十五夜の月の日は翌日の2012/09/01となり、一致しません。
 T.K さんには、納得してもらえるかな?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2012/08/04 号

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