こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■恵方巻き
 今日は節分。

  節分の夜に恵方に向かい太巻きを食べると幸せになる

 という関西の恵方巻きの慣習がコンビニエンスストアやスーパーなどの商業
 ベースでの展開のおかげで、近頃は全国区の行事になりつつあるようです。
 このメールマガジンをお読みの方の中にも、「今日の夕食は太巻き」とおっ
 しゃる方がいらっしゃるのでは?

 関西在住(2013年現在)の私の夕食はというと、やはり太巻きとなりそうで
 す。

◇恵方(えほう)と恵方巻き
 江戸時代には、自分の住んでいる場所の恵方に当たる方角にある寺社に詣で
 る恵方詣(えほうもうで)が盛んだったそうです。娯楽の少なかった時代に
 は恵方詣にかこつけて、物見遊山なんてところだったと思われます。

 恵方といえば、現在は近頃盛んになってきた節分行事の「恵方巻き」があり
 ます。この行事の発祥の地は大阪の船場あたりといわれています。歴史とし
 てはせいぜい 100年程度の比較的歴史の浅い風習のようです。

  節分の日には恵方に向かって太巻きを丸かじりする
  (しかも、食べ終わるまで無言で・・・)

 知らないで見たら、とっても不思議な光景です。
 知っていても、やはり不思議(変?)な光景ですけど。

 節分の日は「のり巻きの日」として海苔業者団体が記念日を制定したことで
 もわかるとおり、近年では海苔の消費拡大を狙った商業ベースのPRが行われ
 たためか、この風習も徐々に全国区の風習になりつつあるようです。

◇恵方ってなに?
 現在の恵方は、方角による吉凶判断から生まれたものです。
 元々は正月に年神が来臨する方角ということでしたが、九星術という方角占
 いが流行してそこに登場する歳徳神という吉神のおわす方角とされるように
 なりました。

 九星術の方角占いには沢山の神様(もちろん架空の)が登場します。
 どうしたわけかこの沢山の神様の多くは悪神で、その神様がいる方角に向か
 って何かすると良くないことがあるというのがこの占いの基本的なパターン。
 「引っ越ししようとしたけど、方角がよくないので来年まで待てと言われた」
 なんて云う話を今でもたまに耳にしますが、こうした話の元ですね。

 悪い方角は「塞ぎ(ふさぎ)」とか「塞がり」などと呼ばれます。
 「いやー、八方塞がりでどうしようもないんだよ」なんていう慣用的表現も
 この方角による吉凶判断から生まれた言葉です。八方(全方向)が悪い方角
 になってしまっては、どうにも動きがとれないというわけです。

 現在の恵方は歳徳神という女神様のおわす方角ということになっています。
 この歳徳神は力のある吉神で、この神様がいらっしゃる方角であれば、その
 方角は他の悪神がいてもその悪い影響を免れます。
 この方角を「恵方(えほう)」とか「明の方(あけのかた)」と云います。
 塞がっていないから明の方というわけですかね。

◇恵方はどうのように決められているのか?
 歳徳神は、年毎にその居場所を変える神様です。歳徳神のいらっしゃる方角
 が恵方ですから、歳徳神が年毎に居場所を変えるので恵方も年毎に変わりま
 す。ある年の歳徳神はどちらにいらっしゃるのかというと、これは案外簡単
 な規則で決まっています。それは次の通り。

  甲・己の年 甲の方角(寅卯の間) ≒ 東北東
  乙・庚の年 庚の方角(申酉の間) ≒ 西南西
  丙・辛の年 丙の方角(巳午の間) ≒ 南南東
  丁・壬の年 壬の方角(亥子の間) ≒ 北北西
  戊・癸の年 丙の方角(巳午の間) ≒ 南南東


 5方向かと一瞬思いますが、「丙の方角」が 2度登場しているので、実は4方
 向だけ。案外大したことはなさそうです。

 「甲・己の年」とあるように、年の十干によって決まっているのです。
 十干なので、10年毎に巡回しますから、年の十干と西暦の対応をどこかで確
 認すれば、あとは西暦の年数さえわかれば恵方はわかることになります。
 年の十干と西暦の下一桁の対応はどうなっているかというと、

  甲(4) 乙(5) 丙(6)丁(7) 戊(8) 己(9) 庚(0) 辛(1) 壬(2) 癸(3)

 のようになっています。これと先に書いた年の十干と恵方の関係を整理する
 と、

  西暦年の末尾1桁が、
  0,5なら西南西、1,3,6,8なら南南東、2,7なら北北西、4,9なら東北東

 となるわけです。
 今年の西暦は末尾が 3ですから、恵方は南南東(丙の方角)となります。

 さて、今年の恵方もわかったことですし、夕食には太巻きを用意して南南東
 を向いて家族みんなで無言で「もぐもぐ」とこれを食しましょうか?


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2013/02/03 号

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