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■太陽は「暦の上では恒星じゃない」?
 暦について話をしているとき

  天球の星々のほとんどはその位置を変えません。
  このように位置を変えない星座を形作る星を恒星といいます。
  星のほとんどを占める恒星に対して、太陽と月、それと水星・金星・火星
  ・木星・土星はその位置を変える星であったことから、特別な星と見なさ
  れ、やがて神格化されました

 という説明をしました。
 暦の何について話していたかは、もうわかりましたよね?
 曜日の話です。
 この説明をした後に、

  え、太陽も恒星ですよね?

 と問われて、はたと気が付きました。
 確かにそうですね。

◇恒星(こうせい)
 太陽と同じように自ら熱と光を放って輝いているもの。
 その位置は変わらないと思われてその名が付けられたが、実際にはごくわ
 ずかずつ動いている(→固有運動)。また、明るさも変わらないとされて
 いたが、大きく変わるものがある(→変光星)。
   以下省略
  《天文観測辞典・第二版》 ・・・ 古くてごめん

 恒星という言葉の最初の説明に「太陽と同じように」とあるわけですから、
 太陽はもちろん恒星。それも恒星の代表格という扱いですね。
 件の質問、

  え、太陽も恒星ですよね?

 は全くそのとおりです。
 普通には。

◇暦の上の太陽はやっぱり恒星・・・じゃない
 暦と天文学の関係は一緒に生まれた双子といってもいいかも知れません。
 大きくなってからは、ちょっとずつ生き方は変わってきたようですが。

 暦が生まれた頃の天文学といえば、星の動きを調べ、記録することがほとん
 どでした。現代の天文学でいえば「位置天文学」と呼ばれる分野(天文学と
 しては、うーんと地味な分野)の天文学です。

 位置天文学というくらいですから、太陽が核融合反応でエネルギーを生み出
 し、自ら光っている・・・なんていう話は全く関係ない。問題は、その位置
 が動くか動かないのか。
 で、天文観測辞典の次の説明にたどり着きます。

  「その位置は変わらないと思われてその名が付けられた」

 そう、星がどうやって光っていたか何てわかろうはずもない時代には、位置
 を変えるか否かが、恒星かそうでないかの決め手だったのです。
 星座の星々が位置を変えない「恒星」だとすると、太陽はその恒星の間を一
 年かけて一回りします(この道筋を、「黄道」といいます)。

 つまり暦の上での太陽の位置づけは、動かない恒星の仲間では無かったので
 す。よって、暦の話の中でなら太陽は恒星とは別物として扱っても問題はあ
 りません。

 もっとも、現在の天文学では花形の天体物理からすれば、太陽は明らかに恒
 星ですから、「太陽は恒星じゃない」なんて云う場合は、やはり多少の説明
 を付け加えるのが親切というもののようですが。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2013/08/10 号

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