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■誕生日と星座
 「へー、9月生まれですか。
  9月生まれということは、乙女座生まれですね?」

 年代によって多い少ないは有るでしょうけれど、だれしも何度かはこんな話
 をしたことがあるのではないでしょうか。
 誕生星座占いは現在、血液占いとともに手軽な占いの双璧。占い好きの人た
 ちの間で採り上げられることの多いものでしょう。

 誕生星座占いはかなりポピュラー占い。「9月生まれ」というだけで、「乙
 女座」という言葉が出てくるくらいです。
 ただ手軽な誕生星座占いではありますが、月の後半に誕生日をお持ちの方だ
 と、ちょっと迷うことが有ります。

  わたしは、乙女座? それとも天秤座?

 という具合です。誕生星座の区切りの日付近くに誕生日が有る方は、どっち
 だろうなと調べてみたことが有るのでは?
 そんな方から、先日 Web こよみのページに

  2012年1月20日  18時生まれは
  「山羊座」でしょうか「水瓶座」でしょうか

 という質問をいただきました(※日時等の設定は少々変えています)。
 さて、この答は?

◇誕生星座と太陽
 元々誕生星座は、人の生まれた日時に太陽がどの星座にあったかを示すもの
 でした。太陽は四季の変化を生み出す大きな力を持った天体(昔の人からす
 れば神)で、その太陽が「誕生」というその人にとっての最も特別な日にど
 の位置にあったかは、きっとその人の人生に大きな影響を与えるものに違い
 ない。そんな素朴な考えから、誕生星座による占いが生まれたのです。
 例えば

  獅子座は雄々しく力に満ちあふれた百獣の王、獅子を象った星座であるか
  ら、生まれた日時に太陽が「獅子座」にあった人は、その人も力に満ちあ
  ふれ、帝王のごとくに人の上に立つ運命にある・・・

 なんていう具合の発想です。
 このようなわけですので、誕生星座がいつかなと疑問に思ったら、自分の生
 まれた日時の太陽の位置(誕生星座の場合は、太陽の通り道である「黄道」
 のどこにあったかを示す、黄経という値)を調べればよいことになります。
 では、質問の日時の太陽の位置を調べてみましょう。

 Web こよみのページには、指定した日時の太陽や月の位置を計算するページ
 があります。かなり、ひっそりとですが次のページです。

  太陽と月の黄経・黄緯の計算
  http://koyomi8.com/sub/sunmoon_long.htm

 そのページを使って調べてみましょう。

  答: 2012/1/20 18h0m 視黄経=299.695° 

 誕生星座と云いますが、一般的には星座そのものではなくて黄経によって
 0〜30°は牡羊座、30〜60°は牡牛座、・・・、270〜300°は山羊座、300
 〜330°は水瓶座、330〜360(0)°は魚座と角度で区切られます。

 御質問の日時の太陽の黄経は 299.695°ですから、この区切りで考えると
 山羊座と云うことになります。
 以上、問題解決!

◇星占いの星宮と空の星座
 お気軽な「誕生星座占い」では、太陽黄経270〜300°は「山羊座」と書かれ
 ていることが多いです。または「やぎ座」と。しかし、ちょっと格式(?)
 ある占星術の本では、

  磨羯宮 (まかつきゅう)

 と書かれています。同じように、牡羊座は白羊宮、牡牛座は金牛宮・・・。
 占星術では誕生星座ではなく、誕生星宮と云うべきところを、誕生星座占い
 ではなじみやすい星座という言葉に読み替えているのです。

 この中で山羊座が磨羯宮というのは多分一番わかりにくい組み合わせです。
 他は、巨蟹宮が蟹座だったり、処女宮が乙女座だったり、文字をみれば

  「ははぁ〜」

 と意味がわかるものばかりです。

 現在の占星術の源流は古代のバビロニアにあると云われています。それが洋
 の東西に伝搬してそれぞれに発展しました。現在の日本に蔓延している誕生
 星座占いは、バビロニアに生まれた占いがエジプト〜ギリシャ・ローマに伝
 わって形作られた西洋占星術の一種と考えることが出来ます(集大成は、西
 暦 2世紀頃に活躍した大天文学者、プトレマイオス)。

 プトレマイオスの時代は、天球を黄道の経度の黄経で30°ずつ区分した白羊
 宮や金牛宮と空の星座である牡羊座や牡牛座はほぼその位置が一致していま
 した。しかし、プトレマイオスの時代からおよそ2000年。黄経で30°づつ区
 分した占星術の星宮と実際の空の星座の位置は天文学で歳差と呼ばれる現象
 のためにほぼ30°、つまり星宮ほぼ一つ分ずれてしまっています。

 ということなので、今回いただいた質問のメールの答の星宮は「磨羯宮」な
 のですが、その位置にある本当の空の星座というと、星座占いが書く「山羊
 座」ではなくて、一つとなりの「いて座」と云うことになります。

 最初に書いた「9月生まれは乙女座生まれ」も、そのときに太陽がある星座
 はというと乙女座ではなくて、しし座ということになります。
 9月生まれは、乙女の淑やかな性格ではなくて、しし座の示す雄々しい性格
 だったのか?

 誕生日と星座占いの星座、さて何をどう信じたらよいのやら?
 私自身は誕生星座占いなんて全然信じませんので困りはしないのですが、メ
 ールを下さったような方はどう考えるのでしょうね。

※現在、星座の名前は天文学で用いる場合は「おとめ座」「しし座」といった
 具合に書くのが一般的ですが、この解説では星宮との対比がわかりやすいよ
 うに、「乙女座」「獅子座」などの漢字表記も使いました。漢字だったり平
 仮名だったりして読みにくい部分があったと思いますが、少々意識して使い
 分けさせて頂きました。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2013/08/18 号

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