こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■月齢、月相、十五夜、満月って何?
 中秋の名月が一昨日(2013/ 9/19)でした。昨日も一昨日の夜と同じように
 綺麗なお月様が出ておりましたが、やはり中秋の名月とその翌日とでは、注
 目度は格段にちがうことでしょう。お月様の見た目には、さほどの差は無い
 のですが・・・。

 さて、昨日の月に比べて、格段に注目されただろう一昨日の中秋の名月の日
 には、月にまつわる質問メールがいくつか届きました。中に

  何となく似ている、この質問

 というものがいくつかありました。それが満月と月齢、あるいは月相との関
 係というものでしたので、今回はこれを採り上げて見ました。
 まずはいただいた御質問(三通)から

※Ken さんからのメール
 > いくつかの報道によると、
 > 「年によっては必ずしも満月になりません」
 > と旧暦8月15日の中秋の名月に対しての意見が掲載されています。
 > 15夜=満月と思っていましたが、逆に満月とは?
 > 月齢14.5から15.49までを満月というのでしょうか?
 > いや、公転周期29点何がしの半分プラスマイナスアルファをいうのでし
 > ょうか?
 > あるいは175度から184度の月が見える状態を言うのでしょうか?
 >(ぴったり180度が見える瞬間はあるでしょうが、時事刻々変化しています)

※Shibata さんからのメール
 > いつもお世話になっています.
 > 本日9月19日は中秋の名月にあたるようですが,満月の月齢は13.8〜15.8
 > で月相は14なんだそうで,この月齢と月相の違いとは何なんでしょうか.
 > お教え願えないでしょうか.

※Toshiaki さんからのメール
 > 今日は中秋の名月 8/15 十五夜ということで
 > 正確には午後8時過ぎに100%の月が見えるということで、中秋の名月が満
 > 月になるのは何年かに一度で、次は東京オリピックに後の2021年だそうで
 > す今日の正午月齢は13.6 明日でも14.6です 月齢と月の満ち欠けはどう
 > 連動してるんでしょうか

 ではお三方の質問の答えが得られるように、満月、十五夜、月齢、月相につ
 いてかんがえて行きましょう。

◇満月とは?
 まず、現在の「満月」の定義ですが、太陽と月の黄経(天球上の太陽の通道
 である黄道と春分点とを基準として作られる黄道座標の経度方向の角度)の
 差が 180度となる瞬間を現在は満月としています(天文学的な満月)。

 Ken さんがメールの中でお書きの通り、太陽と月の黄経差が 180度になると
 いうこの天文学的な満月はある一瞬の出来事。その日ずっと満月というわけ
 ではありません。
 ただ、現在「明日は満月です」と使う場合は、明日という日のどこかでこの
 天文学的な満月の瞬間がある、満月の瞬間を含む日という意味で用いていま
 す。

◇月齢とは?
 まず月齢からです。
 「月齢」は既にこのコーナーでも何度も採り上げている言葉で、日刊☆こよ
 みのページの「各地の日出没」に正午の月齢を掲載しています。ちなみに本
 日の正午の月齢は15.6です。

 この「正午の月齢が15.6」とはなにかというと、今日の正午が直前の新月の
 瞬間から何日経過しているかを表しています。
 ちなみに、今日の正午の直前の新月の瞬間は 9/5の20:36 でした。ですから
 今日の正午はこの瞬間の

   15日と15時間24分後 = 15.6417 ≒ 15.6 (←正午月齢の数値)

 となります。小数点付の数字で、何か難しい計算の結果かと思いきや、なん
 のことは無い数字でした。
 また、月齢は単に、新月からの経過日数に過ぎないので、月の満ち欠けの目
 安にはなりますが、正確に満ち欠けを表せるものではありません。

 月齢が 0の場合だけはこの瞬間が「新月」とはいえますが、満月の場合、月
 齢は、だいたい15前後であるとはいえるのですが、いつも同じ数字になると
 云うことは出来ません。これは、月の軌道が楕円(それも太陽の影響で、刻
 々と形の変わる楕円)であって、新月から満月までの日数が1〜2日程度、変
 動してしまうためです。

◇月相とは?
 月齢の次は月相の話です。
 月相は月の位相、月の満ち欠けの様子を表す言葉です。

 Shibata さん(お二人目)のメールに「満月の月相は14」とあったのですが
 これにはちょっとびっくり。月相は月の見た目を表すものですが、それを数
 字で表すことがあるとは。

 私も月の満ち欠けの様子を示す画像などを作る場合に月の輝いている部分が
 月の中心から見て何度の方向にあるかを計算しているので、確かに数値で表
 すことは可能なのですが、「満月は14」て?
 ウィキペディアで「月相」をひいてみると

 > 月相は本質的には角度であるが、月齢との比較を容易にするため、1周を
 > 360°のかわりに28に換算した値で表す。
   《ウィキペディア(日本) 2013.9.21版》

 とありました。なるほど。そう考えれば簡単。
 360(度)/28 ≒ 12.857(度)を単位として月と太陽の黄経差を0〜27で表すと
 考えれば、

  新月は 0, 上弦半月は 7, 満月は 14, 下弦半月は21

 とわかりやすい数値で表せる。またこの数字なら、慣れ親しんだ月齢とも近
 い数字となるので便利(?)といえば便利かも。
 この方式は、太陽と月の黄経差を元にしたものなので、同じ黄経差を用いる
 天文学的な満月とはよく一致することになります。

 ただし、この「月相」の定義がどこからでてきたものか? 天文学などで、
 こうした使い方をすることはないと思います。少なくとも私ははじめて知っ
 たことでした(私が不勉強なだけかも知れませんけれど)。

◇十五夜とは?
 東洋で長らく使われていた暦は新月を含む日を暦月のはじめの日とする太陰
 太陽暦が使われてきました。日本でも明治五年まで使われた暦はこれ。現在
 「旧暦」と呼ばれる暦がこれです。

 月の満ち欠けの周期は平均するとおよそ29.5日。このため太陰太陽暦の暦月
 の日数は、29日か30日の何れかになります。こうした暦で考えると暦月の真
 ん中の日あたりに満月が来ることが多く、そのため、暦月の折り返しの日、
 15日の日の月を満月と考えるようになりました。
 15日の夜に見える月ですから、この月を「十五夜の月」と呼びました。

 旧暦の日付で考えても現在の天文学的定義の満月の日付はいつも15日になる
 わけではありません。その理由の大部分は月齢のところで説明したとおり、
 新月から満月までの日数が変動するためです。

 天文学的な満月が、一番輝く部分の大きな月となるのは確かなのですが、こ
 の時期であれば、1日くらいちがっていても見た目には月が欠けているとは
 まずわかりませんので、昔の人は

  十五夜の月 ≒ 満月

 と近似的に考えて、気にしていなかったのでしょう。見てもわからないくら
 いの細かな違いさえ気にしなければ、暦で15日の日が満月だと考えるといろ
 いろと便利。
 明るい月が出ている夜になにかのお祭りをしようと云うような場合、暦の15
 日という日だけを覚えておけばよいのですから。

 本当は「十五夜の月」は近似的な満月に過ぎないのですが、ずっと「十五夜
 の月 ≒ 満月」と考え続けているうちに、いつしか

  十五夜の月 = 満月

 となって、「十五夜の月」は満月そのものを表す言葉と考えられるようにな
 ったのでしょう。

 中秋の名月が旧暦の八月十五日に固定されているのも、その日が本当に天文
 学的な意味の満月か否かなどということが問題なのではなくて、村中、町中
 の人が同じ日に、一年の収穫をお月様に感謝するという行事を行うことに意
 味があったのです。

◇中秋の名月と天文学的な満月
 中秋の名月の日付が天文学的な満月と一致する年より一致しない年の方が、
 実は少しだけ多いのです。
 この辺の話は

  中秋の名月はいつ? (旧暦の十五夜は満月か?)
  http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0710.htm

 をお読み下さい。
 今日は、質問に答えているうちに、予定より大分長くなってしまった暦のこ
 ぼれ話。
 皆さん、長い記事にお付き合い頂きまして有り難うございました。
 おつかれさまでした(ふー、疲れた)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2013/09/21 号

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