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■晦日の月と進朔をめぐる疑問(1)
 11/30 に「晦日の月と進朔」をかいたところ、この晦日の月と進朔について
 の疑問についてのメールをいただきました(妖怪逆さ蛍さんと、アンドロメ
 ダさんから)。

 折角なのでこの疑問メール(?)に沿って、もう少し晦日の月と進朔をめぐ
 る話をしてみようと思います。
 本日は妖怪逆さ蛍さんから頂いたメールを採り上げてみます。

 ◇妖怪逆さ蛍さんからのメールからの抜粋◇
 > Q1. 進朔をおこなうということは、本来二日となるべき日を一日として
 > しまうということですよね。
 > それによって、ひと月の日数に影響をおよぼす、つまり、大の月が31日
 > になったり、小の月が28日になったりすることはなかったのでしょうか。
 > もし、そんなことが起きたら、進朔をおこなった前後の月の一日も1日
 > ずらしたのでしょうか。
 >
 > Q2. それから、こちらのほうがより深刻なのですが、進朔をおこなって
 > 本来一日であるべき日が晦日になった場合と、日蝕がかさなったらどう
 > したのでしょうか。
 > 「日蝕は朔のときにしか起きない」 というのも常識だったはずです。
 > その日が冬ならば18時ごろはもうマッ暗で、日蝕が起きても天下の人
 > 民どもにはバレずにすむかもしれませんが、夏ならばまだ太陽はバッチ
 > リ出ています。

◇Q1. 進朔を行うと、28日の小の月、31日の大の月が生まれないのか?
 まずは、Q1から考えてみます。
 云われてみれば確かに、そんなことが起きちゃうのでは?
 では、日数が足りなくなる場合と多すぎる場合の二つのケースに分けて考え
 てみましょう。

 進朔と月の日数を考えるためには、並んだ二つの月の朔の状態を考える必要
 があるので、仮にこの問題が一月と二月の間に起こったと考えて説明をして
 みることにします。
 また、進朔が行われる条件として、宣明暦の条件である、朔が一日の 3/4を
 経過した後に起こった場合と考えて説明します。

 ・ケース1 日数が足りなくなる(28日の月が出来る)場合
 このケースが起きる場合の条件を考えてみましょう。
 日数が少なくなる場合の条件はと考えると、

  一月:進朔が行われる (本来の二日が一日になる)
  二月:進朔が行われない

 となるケースです。もし本来の一月が小の月で29日しかない月なら、進朔で
 さらに1日が減っているので、28日が出来てしまうかも?
 こんなことがおこるためには、一月は進朔が起こり、二月は進朔が起きない
 ことと、本来の一月(進朔を考慮しない場合の一月)が小の月であることで
 す。月の朔望月は29.27〜29.83日ですからケース1が起こる最良の条件は、

 (1)一月の朔が進朔限の 3/4日(0.75日)ピッタリに起きること
 (2)一月の月の朔望月が最短の 29.27日であること

 です。(1)の条件を満たした場合、暦の上の一日(進朔が行われた後の)
 の始まりの月齢は、0.25です。一日のはじめの月齢は

  1日:0.25, 2日:1.25, ・・・ ,30日:29.25, 31日:30.25

 となります。朔望月が最も短い(2)の条件であったとしても、この条件が
 満たされるのは、この暦の30日になってから。この日が朔ですから、この日
 は一月三十日ではなく、二月一日になります。一月はこの前日までですから
 最後の日付は一月二十九日。

 ということで、心配したケース1(日数が足りなくて28日の月が出来る)は
 そうなりそうな最良の条件を考えても実現しないことが判ります。

 ・ケース2 日数が多くなる(31日の月が出来る)場合
 こちらのケースが起きるのは一月が進朔の起こらない月で、二月が進朔の起
 きる月であり、かつ本来の一月(進朔を考慮しない場合の一月)が大の月で
 ある場合です。このようなことが起こる可能性のある最良の条件は

 (3)一月の朔が進朔限の 3/4日(0.75日)直前にあって、進朔が起こらない
 (4)その月の朔望月が最長の 29.83日であること

 です。進朔が起こらないということで、朔は一月一日が始まってから0.75日
 以内に起こることになります。とすると、一月一日の進朔限の時刻の月例は
 0.75〜0.00であり、一月二日以降の進朔限の時刻の月齢の最小値を考えると

  2日:1.00, 3日:2.00, ・・・ ,30日:29.00, 31日:30.00

 これで見ると、(4)を満たす場合でも二月の朔は一月の31日目の進朔限よ
 り前にあるので進朔して一月の32日目が二月の朔となるようなことは起こり
 ません。よって一月三十一日という日付は生まれません。(3)(4)の最
 良の条件がそろっても31日という、太陰暦からすれば有り得ない日付は、や
 はり現れません。

 ということで、Q1については、特別の処理をしなくとも28日の小の月や、31
 日の大の月が生まれる気遣いは無いようです。ホッとしましたね。

 と、ホッとしてしまったところですが、ここまででも記事が長くなりすぎま
 したので、妖怪逆さ蛍さんのQ2と、アンドロメダさんからの別の疑問につい
 ては、また次回以降に持ち越しとさせて頂きます。
 ごめんなさい(計画性が無い奴だな本当に・・・)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2013/12/03 号

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