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■「晦日」と「朔日」
 お月様の満ち欠けとは、縁の切れた現在の暦ですが、暦がお月様の影響下に
 あったた長い歴史があったため、暦の上の上の言葉にはまだまだお月様と暦
 が関係した時代の言葉が残っています。
 本日はその中から「晦日(みそか・つごもり)」と「朔日(さくじつ・つい
 たち)を採り上げてみましょう。

◇晦日は三十日、晦日は月籠り
 さて、まず登場するのは晦日。月の最後の日を表す言葉です。
 では晦日は晦日でも、「みそか」と呼ぶ場合について最初に考えてみましょ
 う。

 ・みそかは「三十日」。
 十日(とおか)、二十日(はつか)、三十日(みそか)という読み方です。
 太陰暦の場合、暦月の日付は小の月が29日。大の月が30日となるのが基本で
 す。

 太陰太陽暦であった旧暦もこの基本とおりで、暦月の29日か30日で、この 2
 通りしかありません(新暦では、暦月の日付は 4通りですね)から、三十日
 は自動的に月末であることが判ります。もちろん小の月の月末は二十九日で
 すけれど、二十九日は乃ち月末の日付とは云えません。大の月の場合があり
 ますから。

 となると、三十日が来れば何も考えずに月末と判る「三十日(みそか)」が
 月末を現す言葉となったのでしょう(それに、「にじゅうくにち」じゃ呼び
 にくいし)。

 ・つごもりは「月籠り」
 月末の日を意味する晦日は「つごもり」とも読みます。
 晦日だけ「つごもり」と読むことは少なくなったかも知れませんが、大晦日
 を「おおつごもり」と読むことはまだ、あるのでは?

 この「つごもり」は、「つきこもり」が転じたものです。
 「つきこもり」は「月籠り」あるいは「月隠り」の意味。月が姿を見せない
 ことを現しています。
 太陰暦(太陰太陽暦も同じ)の場合、月末の日は新月の前日ですから、多く
 の場合月は見えない(少なくとも夜は)。このことから、月末は月が見えな
 い「つごもり」の日となりました。

 ちなみに晦日の「晦」は、これ一文字でも「みそか」とも読みます。また、
 「くらます」とも読む文字で、暗いという意味があります。晦日は夜に月が
 姿を見せない暗い夜というわけですね。

◇朔日は一日、朔日は月立

 ・ついたちは「月立ち」
 晦日の次は、朔日の話です。
 旧暦の暦月は新月(朔)の日に始まりますから暦月の一日は必ず「朔の日」
 です。ですから「朔日=一日」という考えが定着したわけです。

 では、その読み方はというと、「さくじつ」はそのままなので説明の必要も
 ありませんが、「ついたち」は?

  新月→上弦→満月→下弦→新月・・・

 と繰り返す月の満ち欠けのサイクルを考えると、新月(朔)はそのサイクル
 の最初(少なくとも暦月との関係からすれば)です。月は満ち欠けを繰り返
 しながら、星々の間を旅して行くわけですが、朔はその旅の始まり、旅立ち
 の日。よって、「月立つ日」→「ついたち」です。

 ・朔は遡る?
 暦の話には度々登場する「朔」という文字ですが、ふつうの生活にはなかな
 かこの文字は登場しません。でも似たような造りを持つ文字がありますね。
 例えば、「逆」や「遡る」などがそれ。

 本来行くべき方向を反対の方向、あるいは反対の方向に向かうことを表す言
 葉です。ではこの反対の方向に向かうことを表す逆や遡と朔の間にどんな関
 係あるかというと、

  朔の日は三日月から遡って求められた

 からですね。
 朔の日の月は新月ですから、日食でも起こらないかぎり月は見えませんので
 直接観測してこの日を求めることが出来ません(少なくとも、観測手段が肉
 眼しかなかった大昔は)。ではどうやってその日を知ったのかというと、月
 が最初に見えた日から、遡って知ったのです。

 肉眼での月の初見は概ね三日月(条件次第では二日月も見えますが)。
 月の初見が三日月、朔日から3日目の月、ということは、月が見えた日から
 二日を遡ればその日が乃ち朔の日。

 暦が整備されて、朔の日が計算で求められ、月の実見による必要が無くなっ
 てもその昔、実見によって月を見て、その日から遡って朔の日を求めていた
 時代の名残が「朔」という文字なのですね。

◇ついでに「みかづき」
 ついでながら、「朏」という文字で「みかづき」と読みますが、これは三日
 月がその暦月になって始めて出た月だからです。
 昔はこの、「朏」が新月を意味しました。この場合の新月は現在の新月の意
 味ではなくて、新しい月の満ち欠けのサイクルの最初の月といういみでの、
 新月。朏が目に見える月の満ち欠けの最初であったからでした。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2013/12/07 号

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