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■新発明、「マイ新月」?
 【発明】
  1.物事の正しい道理を知り、明らかにすること。
  2.新たに物事を考え出すこと。
   《広辞苑・第六版より抜粋》

 「マイ新月を調べようと思うのですが、
  どこに書かれているのか解りません。
  教えて下さい。」

 Web こよみのページに、こんな質問が届きました。
 この質問に接してわたしが最初に示した反応は

 「マイ新月ってなにか、教えて下さい」

 という逆質問。質問者に尋ねる前に「マイ新月」でネットで検索して見ると
 いくつかヒットしました。その一番最初が、Yahoo!知恵袋。その回答の中で
 こよみのページが紹介されていたので、どうやら質問者はこのリンクをたど
 ってこよみのページにたどり着いたらしいです。

◇マイ新月?
 さて、ネット検索の結果からいくつか情報を集めてみるとマイ新月とは、

 > 新月の願いという考え方は知っていますか?
 > 新月の日に願いごとをするといつの間にかかなっている、でしたっけね?
 > マイ新月というのは、同じ新月でも
 > 自分の誕生日が新月から数えて何日目の月だったか、を計算でだし、
 > その何日目の月に日を自分の新月とすること、らしい?
 >
 > 生まれた日の前の新月の日付が必要です。その日を1としてカウントし、
 > 自分の誕生日が何日目の月かを数えるのです。
 (blog カサブランカローズ より抜粋
 http://blog.goo.ne.jp/pfgg7fge/e/59ed80416b1634389a076ec0291f514a )

 なるほど。そういえば「新月の願い」とか「新月の月光浴」・・・新月の日
 に月光浴が出来るのだろうかは、悩まないことにしよう・・・といった話は
 時々耳にしていましたが「マイ新月」とは、その一ひねりバージョンみたい
 です。
 さらにいくつか調べてみると、占星術な日々・・・なんてところにたどり着
 きました。ああ、やはり占いのための発明品のようです。
 マイ新月という名前は、「my 新月」 ということなんでしょうね。

◇「みんな一緒」より「自分だけのもの」がいい?
 新月の瞬間というのは、世界中の人に等しく同じタイミングでめぐってくる
 ので、これではつまらない。「一人一人の特別な何か」を付け加えることで
 みんな同じじゃない、自分だけのものという付加価値がつくように感じる。
 そう考えて、どこかのかたが発明したもののようです。

 暦の世界では占いに用いられる暦注やそれに類するものが沢山あります。な
 じみのあるところでは、六曜。大安や仏滅というあれです。
 この六曜は旧暦の月日で決まるものです。暦のデータを見ると今日は

  大安

 目出度いですね。でも「今日は大安」というのは私もあなたもみんな同じ。

  私は大安だけど、かわうその奴は仏滅だ。様を見ろ

 ということにはなりません。みんな同じだから大安の日は結婚式場が大にぎ
 わいになってしまうわけですね。
 いくら目出度いと云われても、あなたも私も街行く人もみんな目出度い日と
 いわれると、目出度さも半減。なんだか有り難み少ない気がしませんか?

 「みんな一緒」の六曜はこよみのページにとっては、人それぞれに計算しな
 くて済むわけですから楽ちんですが、日の吉凶を使って商売をしようと考え
 た場合には、あまり望ましくない。例えば占いをすると考えてみましょう。

 占いA:今日は大変よい日です。みんなによい日の大安ですから!
 占いB:○年△月×日生まれですね。調べて見ましょう。
     おお、あなたにとって今日は大変よい日です!

 さて占いAとBと、どっちが有り難いでしょうか?
 多分占いBの方が、商売繁盛しそうな気がします。この辺は私だけの特殊な
 感覚ではないようです。ちまたに溢れる誕生日占いや姓名判断、血液型占い
 の類の数がそれを証明しています。
 他の人と違うものと云うことで、誕生日や名前、血液型が重宝されるわけで
 すね。

 「新月よりもマイ新月」なんていう考えも、この方式による発明じゃないか
 なというのが私の予想。
 冒頭に書いた「発明」の語釈 2、「新たに物事を考え出すこと」ということ
 では確かに発明といってよいでしょう。
 語釈 1の「物事の正しい道理を知り、明らかにすること」に該当するかどう
 かは解りませんが。

◇「マイ新月」って、もしかすると・・・
 さてこのマイ新月、新発明のようですが、よく見てみると、新発明というよ
 り「再発明」といった方がよいかもしれませんね。
 先に引用したマイ新月の仕組みを説明していたブログの記事をもう一度読み
 返してみましょう。

 > 生まれた日の前の新月の日付が必要です。その日を1としてカウントし、
 > 自分の誕生日が何日目の月かを数えるのです。

 とあります。生まれた日の前の新月を1として、自分の生まれた日が何番目
 かを数えるそれが「マイ新月」であるということは?
 日刊☆こよみのページの読者の方ならもうお気づきですね。

  「マイ新月」とは「旧暦での月誕生日」である。

 どうでしょう。
 「月誕生日」なんて云う言葉はないでしょうけれど、「月命日」という言葉
 がありますので便宜的に使わせてもらえば、こんな説明になりますね。
 自分の誕生日の旧暦の日付を調べれば、あとはその日と同じ旧暦の毎月の日
 が自動的に「マイ新月」となります(あ、「マイ新月」の旧暦の日付が30日
 になっていたら、どうしよう? 毎月じゃ無くなっちゃうな? この問題は
 さらに知らべてみることにします)。

 こう解ってしまうと、「こよみのページでマイ新月の日を調べることは出来
 ませんか」と質問されたとしたら

  「新暦と旧暦」のページで調べることが出来ます!

 と胸を張って答えることが出来そうです。
 それにしても、手を替え品を替え、いろいろな発明をして下さいますね、占
 いの世界の方々は。

 占い師さん達が「新たに物事を考え出す」という発明をするのはもちろん勝
 手ですけれど、どうか賢明な日刊☆こよみのページのみなさんには、発明と
 は「物事の正しい道理を知り、明らかにすること」でもあることを思い出し
 て、「マイ新月」のようなおかしな新発明に対処して頂きたいと思う、かわ
 うそでした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2014/01/12 号

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