こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■雨の匂い
 あ、傘持ったかな?
 玄関を出た途端に傘の所在が気になる、そんなことがあります。

 なぜ急に傘が気になったのかな、と自分の思考過程を遡り、切っ掛けをさが
 すと、それが雨の匂いであると云うことがあります。
 目に見えず、触ることも出来ないものなので、切っ掛けになったこと二も気
 づかずに終わることもありますが、この「匂い」というやつは、案外に人の
 行動を支配しているようです(私だけ??)。

◇雨の匂い
 「雨の匂い」を感じることがありますが、なぜ雨に匂いがあるのかなと不思
 議に思います。
 雨の匂いとは云いますが、ずっと雨が降り続いているときにはそれはあまり
 感じることがありませんから、どうも雨そのものの匂いでは無さそうです。
 だって、雨そのものの香りなら、雨が降り続くほどその香りが強くなるはず
 ですから。

 どうも、晴れた日が続いたあと、久しぶりに雨が降る、そんなときに雨の前
 触れのようにこの「雨の匂い」がするようです。
 長年疑問に思っていたのですが、ある本(※)を拾い読みしていたら、そこ
 にこの「雨の匂い」の正体についての記述を見つけました。
 (※この本は、「季節と暮らす 365日」 日本気象協会編)

 その説明によれば、雨の匂いは植物に由来するペトリコールと土中の細菌に
 由来するジオスミンと云うものだそうです。

 ペトリコールは、日照りが続き、植物の発芽生育に過酷な状況の時に植物が
 発生する一種の油だそうです。この油は種子の発芽を遅らせるはたらきがあ
 るそうです。植物が種子に、今はまだ芽を出してはいけないよと知らせるた
 めのサインなのです。

 その雨が降ると土や岩に吸着したその成分が解き放され、雨の匂いとして感
 じられるようです。

  あ、雨の匂いだ

 と私が感じたのは、どこか近くで雨が降り始めペトリコールが大気中に放出
 されているからなのでしょう。
 私にとっての「雨の匂い」は、地に落ちた植物の種子にとっては、発芽を抑
 制していた物質が洗い流された証ですから

  雨が降ったから、もう芽を出しても大丈夫

 というサインでもあるわけです。
 「雨の匂い」のもう一つのジオスミンの方は、地中の細菌が発する匂いで、
 一種のカビ臭。少量ならば「大地の匂い」ともいえそうですが、大量になる
 とちょっと辛いかも。

 こちらは、雨が近づき湿度が上がるとそれに反応して土中の細菌が発生させ
 るのだとか。また、雨降り前だけでなく雨上がりの土からも匂って来ます。

 そういえば、雨が上がり、土か乾きだしたばかりの時に這いつくばって巣穴
 に出入りする蟻を眺めていた時(昔々のはなしですよ)に嗅いだ「土の匂い」
 が、あれだったようです。

 さてさて、「傘持ったかな?」と私に雨の到来を知らせてくれた雨の匂いは
 ペトリコールの香り? それともジオスミンの臭い?
 どっちだったんでしょうね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2014/06/28 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック