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■草木萌え動く季節
 本日(2015/3/1)は七十二候の一つ、「草木萌え動く」の期間(3/1〜5)の
 始まりです。

 七十二候は中国から暦が輸入されて始めていた頃から既に存在していたもの
 ですが、日本の気候風土に合わせて作り直されてきています。

 日本の気候風土に合わせて作り直された七十二候は本朝七十二候などとも呼
 ばれます。「草木萌え動く」もそうした日本風に作り直されたものの中にあ
 りますが、実は中国から暦が輸入されていた時代から変わらずに使われ続け
 たものです(「草木萠動」が中国で使われていた文字)。

 同じ時期の中国(大陸の内陸部、黄河中流域)と日本とでは気温などを見る
 と随分ちがうのですが、春になり、草木の生長が目に見えるようになる時期
 は、大体同じだったということでしょう。寒冷な中国内陸部には、それだけ
 寒冷な地に適した植物があると考えれば、解らないではありません。

 平均気温の違いはあるにせよ、寒い冬の時期を脱し、春に向かって季節が動
 き始めたことが明確になる時期には変わりがなかったのでしょう。

◇草木の成長する月
 七十二候の「草木萌え動く」の始まりの日が、今年は3月の始まりの日でも
 ありました。
 3月の和風月名は「弥生」。弥生の語源説には

 1.クサキイヤオヒツキ(草木弥生月)の略。イヤオイ(弥生)の義。
 2.ヤヤオヒ(漸々成長)の約。ヤヤオヒヅキ(漸生月)の義。
 3.桜梅の盛りであるところから、ヤウバイの反ヤヒの転か。
   《日本語源大辞典より、抜粋》

 和風月名は文字として記録が残る以前から言い習わされてきた言葉がその元
 になっていると考えられます。ですから、和風月名はその語源がはっきりせ
 ず、様々な異説があるのが普通なのですが、この「弥生」に関しては、異説
 は少なく、いっても、いずれも植物が生長する様を表した言葉という点で一
 致しています。

 冬の間、寒さに耐えていた植物が、春になって一斉に動き出す様は異説が入
 り込む隙がないほど印象的なものだったようです。

◇「弥生」と「草木萌え動く」の偶然の一致?
 弥生は長く3月の異称として使われて使われてきています。旧暦時代も3月
 (「三月」と書くべきか)、新暦の時代になっても3月を「弥生」といいま
 すので、「弥生」は旧暦時代と新暦時代とでは季節としてはおよそ1ヶ月程
 ずれているはずです。

 本来の「弥生」は晩春に草木が盛んに生長する様を現した言葉です。若い芽
 が育つ様子というよりは、芽が生長し青々とした葉となって生い茂って行く
 様子を表す言葉でした。

 新暦の3月は七十二候の「草木萌え動く」時期。こちらは、草木の芽吹く時
 期ということですが、その段階は違いますが草木が生長する様子を表す言葉
 として「弥生」をとらえると、旧暦から新暦へと暦が変わっても、

  3月は弥生

 に違和感を感じません(私が鈍感なのかも・・・)。
 これは「弥生」と「草木萌え動く」の偶然の一致がなせる技でしょうか。

 さてさて、まだ寒い日が多い3月始めではありますが、動き始めた草木の様
 子はどのようなものか、折角の日曜日でもありますので、確かめるために散
 歩でもしてこようと思います。
 もちろん、コートを着て、襟巻きをししてですがね。

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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2015/03/01 号

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