こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■月食を起こす龍頭と龍尾
 本日、 4/4の晩には皆既月食が起こります。
 月食の進行状況については以下の通り(再掲載です)。

  18時00分 半影食の始まり
  19時15分 欠け始め (本影食の始まり)
  20時54分 皆既食の始め
  21時00分 食の最大 (食分 1.005)
  21時06分 皆既食の終わり
  22時45分 食の終わり (本影食の終わり)
  24時01分 半影食の終わり ・・・ *4/5 0時01分

 時刻については、全国共通ですので、ご安心を(?)。

◇龍の頭と尻尾の話
 ギリシャ時代の天文学者は、月食は地球の影によって起こるものだと気づい
 ていたようです(その上、月に落ちる地球の影欠け際がいつも、丸いことと
 から地球が丸いことにも気づいていたようです。大したものだ)。

 さて、ギリシャ時代よりずっと前の人々や、それ以後であっても皆が皆、ギ
 リシャの天文学者先生方のように聡明であったわけではないことを考えると
 誰しもが月食の原理が理解できたわけではありません。

 原理が解らなくとも、何度も何度も月食(や日食)を観察していると、それ
 が特別な場所でだけ起こることは解るようになりました。そこで、考えつか
 れたのが、龍の頭と尻尾だったのです。

 西洋占星術でホロスコープを作って見るとそこに

  ドラゴンヘッド(龍頭、Dragon Head または北節、North Node)
  ドラゴンテール(龍尾、Dragon Tail または南節、South Node)

 というものがあることがわかります。
 これは、月食や日食が起こる特別な場所に、月や太陽を隠して月食や日食を
 引き起こす正体のよくわからない天体があるに違いないと考え、その正体の
 よくわからない天体をドラゴンヘッド(龍頭)、ドラゴンテール(龍尾)と
 呼んだのです。

 この架空の天体が有る場所は何処かというと「黄道と白道の交点」です。
 天文学的に言えば、太陽の通り道である黄道に対する月の通り道である白道
 の交点、つまり月軌道の昇交点と降交点と言うことになります。
 頭が「昇交点」、尻尾が「降交点」。二つ合わせて「昇降点」と呼びます。

 この昇降点に月があり、かつ満月または新月を迎える、月食や日食が起こり
 ます。

 満月は「太陽・地球・月」の順に 3天体が一直線に並ぶ瞬間で、
 新月は「太陽・月・地球」の順に 3天体が一直線に並ぶ瞬間です。

 このとき一直線に並ぶ訳で、新月の例で言えば太陽と地球の間に月が入って、
 太陽を隠すことになり、日食が起こります。
 逆に満月の時は、月の位置に太陽が作る地球の影があって、月はその影の中
 に入ってしまうので、月食が起こります。

 こう考えると新月の度に日食が、満月の度に月食が起ることになりそうです
 が実際にそうはなっていません。その理由は、月と太陽の通り道は約 5.1°
 傾いていて、新月や満月の時に一直線になったように見えて実は「緯度方向」
 ではではずれてしまうことがほとんどだからです。

 日食や月食が起こるには、新月、満月でありかつこの緯度方向のずれが小さ
 いときでないといけません。
 この条件を満たすのが、太陽と月の通り道が交差する月の昇降点付近、つま
 り龍頭、龍尾で新月・満月になるときなのです。

◇龍頭も龍尾も天体では無かったが
 月食や日食が起こる本当の理由がわからず、龍頭や龍尾といった架空の天体
 を想像した昔の人たちの考えは、現代の私達からみればおかしな考えですが
 それを考えた昔の人を笑うことは出来ませんね。

 本当の原理まではたどり着けなかったとしても、それが起こる場所が特別な
 条件の場所であることには気づいていたのですから。私も生きてきて何度も
 月食や日食を見てきましたが、単なる知識としてでは無く、自力でそれが起
 こる場所が月の昇降点付近に限られていることに気づけたとは思えませんか
 ら。

 月食や日食が起こる原理を理解しているとはいっても、それは所詮、巨人の
 肩に乗って遠くまで見えると喜んでいるコビトの知恵なんです。
 月食や日食が龍頭や龍尾といった架空の天体のある特別な場所でだけ起こる
 と想像した人達も、私が乗せてもらっている巨人の一部になっているのでし
 ょうね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2015/04/04 号

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