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■花水木、百年の春
 春は花の季節。
 東京では、桜の花は散ってしまいましたが、春には桜以外にも沢山の花が咲
 き、まだまだ花の季節は続いています。

 桜の花が散った後に、桜の後の花の季節を彩る花の一つに、花水木(はなみ
 づき)があります。
 花水木は、街路樹にも多く植えられる木で、春から初夏にかけて白色、ある
 いは淡紅色の花を咲かせます。

 今ではすっかり日本の春の花の一つとなった花水木ですが、この花は元々は
 日本には無かった花だと、ご存じでしたか?

◇花水木の移入から百年
 元々は日本にはなくて、人の手によって日本に移入された花の木はなにも花
 水木ばかりではありません。

 例えば早春に他の花に先駆けて花を咲かせる梅の木も、人の手によって日本
 に移入してきた樹です。
 桜と並ぶ春の花と云える梅は、梅の実を得る目的で日本に持ち込まれた樹で
 す。とはいえ、梅の伝来は奈良時代かそれ以前。日本に伝わってから千数百
 年が経過して、すっかり日本の季節と文化に溶け込んでいます。

 一方、花水木はというと、その渡来は大正 4年(1915年)のことです。
 明治45年(1912年)に東京市長であった尾崎行雄がアメリカに桜を贈ったこ
 とへの返礼として、日本に送られた花で、原産地はアメリカです。

 尾崎行雄が日本から贈った桜は現在もポトマック河畔の桜有名ですが、その
 返礼としアメリカから日本に送られてきた花水木の方の話は、あまり広く知
 られていない気がします。なぜでしょうね?

 ただ、その話自体はあまり知られていなくとも、花水木自体は、広く日本国
 中に広がっていて、あちらこちらの街路樹として春から初夏にかけて日本の
 街を彩ってくれています。

 花水木の日本への渡来が1915年のことですから、今年はちょうど渡来から百
 年。渡来植物の大先輩、梅の千数百年に比べれば、わずかな年数ではありま
 すが、大先輩の梅と同様に、日本の春の風景に溶け込むことに成功していま
 す。街を歩いていて、ふと見上げた花水木の花の向こうに空の青色を見るよ
 うになると、春も終わりが近いなと感じることができます。

 きっと皆さんの住む街でも、白色または淡紅色の花水木の花を見ることが出
 来るのでは無いでしょうか?
 そんなときには、花水木が日本にやって来て百年となるこの春を、心の中で
 祝ってあげて下さいね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2015/04/19 号

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