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■秋社
 本日は雑節の一つ、社日(2015/09/19,年により異なります)。
 社日は春分の頃と秋分の頃の年2回あります。区別する意味で秋の社日のこ
 とを「秋社(あきしゃ)」とも云います(ついでに、春の社日は「春社」と
 もいいます)。
 社日は春分、秋分の日に最も近い戊(つちのえ)の日です。

◇社日とは
 社日とは神事に関係する行事で、暦の上では「雑節(ざっせつ)」の一つと
 されてます。

 社日の「社」は土地の神、「産土神(うぶすながみ)」を祀った神社の意味
 で、産土神お参りして五穀を供えて豊作を祈り(春社)、また秋の初穂を供
 えて収穫に感謝する(秋社)ものです。

 その内容を見ると、なるほどとわかるとおり、土地の神に、その地が豊かな
 実りを産み出してくれることを祈る行事です。
 その始まりは、古代中国。人々が集まって一緒に飲食する習慣があり、それ
 が日本に伝来したものと考えられます。

 社日が「戊(つちのえ)の日」に行われる理由は、十干の戊が五行説では土
 の徳を備えたものとされること(つちのえ:土の兄)から、土の霊力を祭る
 日として選ばれたものと考えられます。

◇田の神様・山の神様
 産土神は元々はその地の守護神ですが、社日に見える産土神は守護神という
 よりその土地の生産力を司る農業神の意味が強いようです。

 日本の農業神としては田の神・山の神信仰があります。
 田の神様はまた同時に山の神様でもあって、春になると山から下りて田の神
 となり、収穫が済んだ秋にには再び山へ帰ってゆくと言う神様です。

 農業が主要な産業であった日本ではこの田の神・山の神を信仰し、これを祀
 る多くの年中行事があります。中国から渡って来た社日は元々が土地の神を
 祀る行事でしたから、土地の生産力を司る田の神の信仰と上手く結びついて
 春社は田の神迎えで、秋社は田の神送りの行事と考えられるようになりまし
 た。それはまた、農作業の始めや終わりの暦の上の目安にもなったのです。

◇社日の日取り
 社日は、春分・秋分の日に最も近い戊の日とすると書きましたが、たまに困
 ったことが起こります。「戊」が十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)の一つで、
 社日は、春分・秋分の日に近い戊の日ですから、

  はは〜、そういうことか

 と気づかれるのではないでしょうか。
 春分・秋分の日が

  癸(みずのと:水の弟)の日

 になってしまったときに、その「はは〜」が起こります。
 日の十干は、連綿と循環する並びですから

  ・・・癸甲乙丙丁戊己庚辛壬癸・・・

 と並べてみるとわかります。もし春分・秋分の日が癸の日であったとすると
 この日の前後の戊の日がどちらも癸の日から数えて 5番目になってしまうの
 で、どちらにするか問題が発生するわけです。

 この辺りに「流派によって日取りが異なる」なんていう問題が生まれるので
 すが、こよみのページの場合は、春分・秋分の瞬間が午前中なら前の戊の日、
 午後なら後の戊の日(日本が独自に作った最初の暦である貞享暦の社日の求
 め方)としています。。

◇社日の禁忌
 社日は元々土地の神様、また農耕を司る「土の神様」の日と考えられますか
 らこの日に土をいじる、掘り起こすなどの行為を忌む風習があります。
 土いじりは神様の歩行を妨げるとか、土掘りは神の頭を掘ることだとか考え
 られたようです。

 最近は「彼岸行事」に呑み込まれてしまって影の薄い社日ですがご近所に神
 社があるなら、立ち寄って土地の守護神にお参りしてみては如何でしょう。
 本日は大型連休の最初の日でも有りますし、たまには散歩がてらに、土地の
 神様に顔を見せておくのもよろしいのでは?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2015/09/19 号

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