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■牡丹花咲く(七十二候の一つ)
 本日から七十二候は「牡丹花咲く」の候。
 立春から始まる七十二候の十八番目の候です。

 七十二候の中には意味が解りにくいものもありますが、この「牡丹花咲く」
 に関しては、考え込む必要のない、わかりやすいものですね。
 そういえば、そろそろ牡丹の大きな花が楽しめる季節です。

◇花の王
 牡丹は、中国原産のボタン科の落葉低木です。
 見事な大輪の花を咲かせる牡丹は古くから花々の王者、「花王」と呼ばれ、
 栽培されてきました。確かにあの見事な花は「花王」と呼ぶに相応しいもの
 です。

 古くから珍重され、栽培されてきた花王、牡丹ですから、それにまつわる伝
 説や逸話がいくつもあります。そうした話を二つ紹介してみます。

◇則天武后の命令に従わなかった牡丹
 中国、等の高宗の皇后であり、やがて自ら即位し、権勢を恣にした則天武后
 (そくてんぶこう、在位AD690〜705)が雪見の宴の最中、一面の雪の原の眺
 めに飽きてしまい、庭の花々に

  直ちに咲け

 と命じたところ、あら不思議。
 雪の中に次々と花が咲き出した。
 ただ、百花の王と呼ばれる牡丹だけはこの命に従わず、花を咲かせなかった
 という話がその一つ。

 無理矢理、命令しなくても、初夏の頃になれば牡丹は機嫌良く咲いてくれま
 すし、人間の世界ではいくら権勢を誇っても、「直ちに咲け」と命じても、
 どんな花も咲かせることなど出来るはずは無いのですが、花王の誇りを際立
 たせるものとしては面白い話です。

◇科挙試験合格者と探花(たんか)
 もう一つは、中国の高級文官試験として有名な科挙と関係する話。
 科挙試験の中でも最難関の進士科は、これに合格すれば高級官僚への道が約
 束されるというもので、それだけに競争は激烈。

  五十歳で合格すれば若い方

 と云われるほどの難関でした。
 この難関の進士試験を突破し、晴れて合格者となったものを祝う宴を探花宴
 呼びます。この探花宴では余興の一つとして牡丹の花を探し出してきて披露
 する探花使という任務を、皇帝が合格者の一人に与えるようになりました。

 この任務には当初はその年の最年少合格者がついていましたがやがてその年
 の第三位合格者が命じられることが通例となり、以後進士科の第三位合格者
 のことを「探花」と呼ぶようになりました(ちなみに一位は状元、二位は榜
 眼。探花を含めた三人を「三魁」と称します)。
 探花使を命じられたものは、広い宮城の中を、牡丹を探して歩き回ったこと
 でしょう。

◇現代の探花使?
  5月の始めといえば、牡丹の咲く季節。
 難関試験の第三位合格者でもなければ、皇帝からの命令もありませんが、暖
 かい晩春〜初夏の陽射しの下で私設の「探花使」になるのは勝手。
 折角の連休ですし、天気もよい(本日の東京は快晴)ことですし、勝手に私
 設の探花使となって、牡丹の花を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。

 もし百花の王の牡丹に巡り会えなくても、それ以外の百花の数々に巡り会え
 ることは出来るでしょう。
 それはそれで、私設の探花使の楽しみですね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2016/04/30 号

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