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■満月と十五夜の月の話
 日刊☆こよみのページの姉妹メールマガジン(?)に

  お月様のお知らせメール
  ⇒ http://archive.mag2.com/0001281490/index.html

 というものがあります。
 このメールマガジンは、新月・三日月・上弦の半月・満月・十五夜の月・下
 弦の半月・二十六夜月の日(下弦の半月と二十六夜月は前日)に発行さるメ
 ールマガジンです。

  満月を眺めようと思っていたのに、うっかりしていて見逃しちゃった

 といった自分自身の体験から、特徴のあるお月様の日に、忘れないようにと
 メールで知らせるサービスがあったらと考えて、作ったメールマガジン。
 さて、このメールマガジンの満月と十五夜の月の説明の中に

  『新月から数えて15日目の十五夜の月と満月は同じものと考えられがち
   ですが、十五夜と満月が同じ日になる確率は50%以下。
   案外はずれています。』

 という一文があります。そう、満月の日と十五夜の日って意外なほど、一致
 しないことが多いのです。
 世の中には、まだ「十五夜の月=満月」だと思っている方が、結構いらっし
 ゃるのですが、そうじゃないんです。

◇十五夜と現在の満月
 満月のことを昔は望月(もちづき)といい、また十五夜の月ともいいました。
 望月ということばを辞書で引くと、

 【望月】(もちづき)
 1.陰暦十五夜の満月。俳諧では特に陰暦八月十五夜の名月。秋の季語。
 2.満ち足りたさま、賞美すべきさまの形容。
   《広辞苑・第五版》

 のような説明があります。
 ここにも陰暦十五夜の満月とあるとおり、日本でかつて使われていた太陰太
 陽暦では、十五夜の月といえば満月と相場が決まっていました。
 十五夜の月といえば、旧暦の十五日の夜に昇る月ということ。いつまでかと
 いえば、素直に考えて十六日の明け方に月が沈むまで、丸一晩は十五夜の月
 と呼んでよいと考えられます。

 これが、十五夜の月が伝統的(古典的?)な満月の考え方と思われます。
 では、現在の満月とは?

 現在の満月は、太陽・地球・月の順に一直線に並んだ状態を指す天文学的な
 定義の満月を指します。この状況は地球から見た太陽と月の成す角が 180°
 になった瞬間と言い表すことが出来ます。
 ここで「 180°となった瞬間」と書いたとおり、この現在の満月は定義上、
 一瞬だけなのです。

  今夜は満月です

 という場合、この天文学的な一瞬の満月の瞬間を含んだ日の夜の月という意
 味です。満月の瞬間がその日の0時0分でも23時59分でもその日が満月の日と
 なるので、違和感を覚える場合もあります。
 (※注意 この説明での「23時59分」は「23時59分59.999・・・秒」を省略
  したものとお考えください)

 0時0分が満月の瞬間だったら、「夜」という点で考えると、前日の夕方から
 始まる夜が、満月を含んだ夜なので、満月の日の夜は夜としては一つずれて
 しまいますから。なかなか難しいところです。

◇満月と十五夜は同じ日にならない?
 満月も十五夜も、もともとは同じ月を指す言葉だったはずですが、現在
の使
 い方からすると、両者の示す月の現れる日付が異なる場合が出現します。
 出現するなんて申しましたが、率としては「一致しない」という方が「一致
 する」より高いのでした。日付のずれは最大で二日になります。

 ずれてしまう原因の一つは、新月の瞬間から満月の瞬間までの経過日数が、
 平均 14.76日であることにあります。これは、

  満月の瞬間の月齢の平均は 14.76

 と言い換えることも出来ます。
 これに対して十五夜の月(旧暦十五日の月)の月齢はというと、

  13.0〜15.0 、平均 14.0

 です。十五夜の月の月齢に幅があるのは、新月の日も満月の日と同様に、新
 月の瞬間がその日の中に含まれていればよいことと、月齢は新月の瞬間から
 の経過日数にしか過ぎないからです。
 次のA,B の二つのパターンを考えてください。

 A.新月が新月の日の23時59分であったときの十五夜の日の 0時 0分の月齢
 B.新月が新月の日の 0時 0分であったときの十五夜の日の23時59分の月齢

 A の月齢は、13.0、B の月齢は15.0です。このため十五夜の日の月齢の数
 値は13.0〜15.0と幅を持ったものとなり、平均は14.0となります。

 現在の満月(天文学的な満月)の月齢の平均が 14.76で十五夜の日の月の月
 齢の平均が14.0ですからその差は、0.76。
 現在の満月の瞬間の月齢の平均の方が0.76大きいので、天文学的な満月の日
 は、十五夜の日より平均して0.76日遅れることになります(月の軌道は単純
 でないので、この数値はあくまでも「平均」の話です)。

◇実際の満月の日と十五夜の月の日の日付
 満月の日が十五夜の日とどれくらい一致するか、以前、実際の暦で確かめて
 見たことがあります。そのとき調べたのは2000〜2019年の20年間にある 247
 回の満月とその旧暦の日付についてでした。調べた結果は次の通りでした。

  旧暦十四日   3回 ( 1.2%)
  〃 十五日  90回 (36.4%)
  〃 十六日 116回 (47.0%)
  〃 十七日  38回 (15.4%)

 十五夜の日を基準にすると、満月の日が十五夜の日からどれだけずれている
 かの平均は、上記の 247回の例では、0.77日。先の説明の0.76を裏付ける値
 となっています。

 この結果を見ると、満月の日と十五夜の月の日が一致するのは全体の約 1/3
 程度、つまり 2/3近くは一致しないわけです。満月の日と十五夜の日が異な
 ることの方が多いのです。

◇満月と十五夜の月、とどっちが丸い?
 満月と十五夜の月の日付の話をしてきたところで、ちょっと番外編。
 満月とか十五夜の月というと思い浮かぶのが

  まん丸の月

 という姿です。
 では、この「丸い月」という月の形で比較すると、どのくらい違うのか?
 満月と十五夜の月のどちらが丸いのかということから言えば、軍配は満月に
 上がります。

 なんと言っても、現在の満月の定義が地球から見て月と太陽が 180度離れた
 位置関係にある場合ですから、地球から見た月は真っ正面から太陽に照らさ
 れた状態にあるわけですから。

 もっとも、これは黄道座標と呼ばれる座標での経度方向での角度の話で、厳
 密に考えると、月は黄道座標の緯度の方向にも移動するので、完全に真っ正
 面から太陽に照らされたことにはなりません(完全に真っ正面から・・・と
 なったときには、間に入った地球が邪魔して、月食が起こります)が、この
 影響は小さいので、今回の議論では無視しております。

 では満月の瞬間以外はどれくらい欠けるのかですが、これは案外たいしたこ
 とはありません。地球から見た月と太陽の成す角度は凡そ 29.53日で 360度
 変化するので、一日あたりの変化量は平均すると12.2度ほど。この平均の角
 度の変化を使って月の輝く部分の面積を満月を 100として計算すると

  満月の  瞬間 100.0
  満月前後 0.5日  99.7
  満月前後 1.0日  98.9
  満月前後 1.5日  97.5
  満月前後 2.0日  95.5

 すでに説明した、満月の瞬間と十五夜の月のずれの平均 0.76日で計算すると
 角度の差は 9.2度で面積は「99.4」。
 この程度なら「まん丸な十五夜の月」と言っても、間違いとはいえないでし
 ょうね?

 以上、満月と十五夜の月についての、暦のこぼれ話でした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2016/10/20 号

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