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■ハロウィン(Halloween)ってなに? 2016
 間もなく10/31。10/31 はハロウィン。
 なんだか街のあちこちに、カボチャのランタンや、お化けの飾りつけが目立
 つ今日この頃です。
 本来の日付けは、10/31 ですが、今年(2016)の10/31 は月曜日。

  楽しければ、謂れなんてどうでもいいの

 という雰囲気の昨今ですから。本来の日付けではなくて、今日から日曜日に
 かけてのこの週末辺りが、「日本のハロウィン」となりそうな気がするので
 今のうちにハロウィンの話を取り上げることにしました。

◇日本のハロウィンはどうやって拡がった?
 ハロウィンと言えば子供たちの仮装とか、カボチャで作ったランタンのイメ
 ージくらいが私の脳裏に浮かんでくるものですが、昨今は大の大人(といっ
 ても、一般に「若者」と呼ばれるくらいの年齢までかな)も、仮装して街を
 練り歩く(?)ようになってきています。

 10〜20年も遡れば、日本ではハロウィン行事というのは、まだまだ珍しくて
 海外ドラマ(多くは米国の)の中のものという感じだったと思うのですが、
 最近は随分広がってきて、年中行事の中でも一大イベントの感を呈するよう
 になってきました(とはいえ、そこまで来たのは都市部だけかな?)。皆さん
 の周りの「ハロウィンの現状」はいかがでしょうか。

 最近なぜハロウィン行事が広がってきたのかと考えると、まず最初に幼稚園
 などでイベントとして採り上げられるようになり、年が経ってかつて幼稚園
 児の時代にこれを体験した子供たちが、「大の大人」の年齢になってきたた
 め、徐々にハロウィン行事に加わる人の年齢層が上がってきたのではないか
 と思われます。

 それ以前時代に育った私などからすれば、奇異な行事ですが、子供のころか
 ら、行ってきた当人たちからすれば違和感のないものなのかもしれません。

 さて、今では日本でも一大イベントに育ってきた感のあるハロウィンですが
 これが一体何の行事なのかというと、「仮想して楽しむ行事」くらいの認識
 しかないのではないでしょうか?
 本日は、何となく広がってきているような気がしますが、その割には意味が
 よく知られていないように思える、ハロウィンの話です。

◇ハロウィンてなに?
 ハロウィンは元々アイルランドやスコットランドに住むケルト人が信仰した
 ドルイド教の行事でした。
 ケルトの人々は11/1を新年のはじめの日と考え、その前日にサムハイン祭
 (「夏の終わりの日の祭り」と言う意味だそうです)を行っていました。
 ちなみに、この日に終わりとされる「夏」ですがその始まりはいつかという
 と11/1の半年前の 5/1、メイ・デーがそのに当たります。

 さて、11/1が新年ですからその前日 10/31は大晦日のようなもの。
 年の狭間にあたる大晦日には神々の世界が垣間見えるとケルトの人々は考え
 ました。そしてこの日は神が人間に様々な悪戯を仕掛けるとか、悪霊が地上
 に姿を現し跳梁跋扈すると考えられました。

 人々は供え物をして神やこの悪霊の悪戯を鎮め、夜はかがり火を焚いてこれ
 が村に近づかないようにしたといいます(かがり火は、夏が終わって力の衰
 える太陽を助けるためのものという考えもあるようです)。

 ハロウィンというと
  トリック・オア・トリート(Trick or Treat, お菓子をくれないといたず
 らするよ!)と子供たちが仮装をして家々を巡るイメージがありますが、こ
 の仮装はハロウィンの日に現れる悪霊の姿を、お菓子は人々の供え物をそれ
 ぞれ表しているわけです。

 ちなみに、このおなじみのフレーズですが、そんなに古いものではないらし
 く、ある本(※)を読んでいると、英語辞書の最高峰といわれるオックスフ
 ォード英語辞典(OED) に初めてこの言葉が載ったのは1939年のことだと書い
 てありました。なお、この時の辞書の説明には、ここでの「いたずら」とは

  「逆立ちするぞ」 とか 「なぞなぞ出すぞ」

 といった程度のものだったとか。うーん、勝手に逆立ちして!

  ※ある本
  「ヨーロッパ祝祭日の謎を解く」 アンソニー・F・ヴェニ著 創元社刊

◇カボチャのランプ、ほんとうはカブのランプ?
 ハロウィンといえばカボチャのランプ。毎年世界的な検索サイトの Google
 のロゴはハロウィンの日には G や O の文字の部分がこのカボチャのランプ
 に置き換わったりするほどです。
 このランプの名前を

  ジャック・オ・ランタン (Jack-o'lantern)

 と云います。
 このランタンに名前を残したジャックは、生前は大変な悪戯者だったそうで、
 そのいたずらの矛先は悪魔にまで向けられました。
 悪戯に困った悪魔はそれから逃れるために、「今後はジャックにだけは悪さ
 をしない」と約束させられてしまいます。

 ジャックに死が訪れると、その生前の悪戯のために天国には入れず、悪魔も
 地獄への門を閉ざしたため、ジャックは天国と地獄の狭間の暗く冷たい煉獄
 (れんごく)を最後の審判の日まで彷徨うことになりました。

 そんなジャックに悪魔が唯一くれたものが小さな灯。ジャックはその灯を拾
 ったカブをくりぬいて、ランプにして足下を照らしながら最後の審判の日を
 待ちながら彷徨い続けているのだそうです。

 さて、ハロウィンに現世にさまよい出る悪霊というのは、天国へも地獄へも
 いけずこの煉獄を彷徨う霊なのだそうで、その足下を照らすランプがあのジ
 ャック・オ・ランタンです。

 悪魔は「ジャックにだけは悪さをしない」という約束をしてしまっているの
 でジャックのランプがあるところには寄りつきません。こんな訳で、このラ
 ンプの灯には悪霊を遠ざける効用があるということで、悪霊よけとしてハロ
 ウィンの夜にはこのランプを家の周りに飾るのです。
 なるほどなるほど。ん、拾ったカブをくりぬいて作ったランプ?

 そうです。この故事からするとこのランプは本来は「カブ」で作るものよう
 です(イギリスやアメリカにはカブで作る地域もあるそうです)。
 ではなぜカボチャになったのか?

 その経緯は残念ながら私は知りません。
 ただ、普通のカブでランタン作るのはかなり難しい(大きさ的に)。
 その点、カボチャなら・・・ってことじゃないかなと思っています。
 それと、ハロウィンがアメリカで急速に発展、今風になったことも起因する
 のでしょう。南方系の野菜であるカボチャはアイルランドやスコットランド
 にはあんまりなさそう(本当かな? 詳しい人教えてください)ですが、ア
 メリカの秋には、ありふれた野菜で、どこにでも転がっていて手軽だったん
 じゃないかと。

◇ハロウィンはキリスト教の行事?
 ハロウィンのように欧米から入ってきた行事はキリスト教の行事と思われが
 ちですが、既に書いたとおりこれはドルイド教の行事であって、キリスト教
 とは関係ありませんでした。
 そのため、キリスト教の教会暦にはハロウィンの文字はありません。

 とはいいながら全く無関係かと言えばさにあらず。
 ハロウィンの翌日11/1はカトリックなどでは、

   諸聖人の日 (All Saints'Day)

 となっています。この諸聖人の日の英語の古名は All Hallow's Day だった
 そうで、 10/31はその前日(イブ)と言うことで All Hallows'Eveとなりそ
 の短縮形、Halloween が定着したものだと言われます。

 キリスト教はそれが世界に広がって行く過程で、その土地々々の土着の宗教
 や祭りの要素を取り込んで行きますが、ハロウィンという行事もそうして取
 り込まれていった行事の一つと云えそうです。本来のキリスト教行事ではあ
 りませんでしたが、現在ではその辺の境界線は曖昧化しています。

 少なくとも日本でハロウィンの仮装を楽しんでいるだろう子供たち(&大人
 たち)にとっては、キリスト教の行事だったか否かはどうでもよいことかも
しれませんね。

◇どうやって広がったのか
 日本のハロウィンはアメリカで行われたハロウィンが取り入れられたもので
 す。元々はアイルランドなどで行われていた土着の行事でしたが、「悪戯が
 公認される日」的な祭りであったため、この楽しい行事を懐かしんだアイル
 ランド系の人々がアメリカでもこれを行い、それが広がったものと考えられ
 ます。

 そして多分日本への普及は、幼稚園に通うくらいの小さなお子さんがいらっ
 しゃる家庭から。そして今はかつて幼稚園児だった若者たちのお祭りに?

 わずか、10年か20年で拡大した日本のハロウィン。
 きっと、あと10年もすれば

  ずっと昔から続いていた年中行事

 のように思う人が大半を占めるような時代が来るのでしょうね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2016/10/28 号

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