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■旧正月雑感
 西暦 2017年  1月 28日  [月の] 第4週 第4土曜  [年の] 28日目 残り338日
 旧暦   1月(小)  1日 (先勝)

 同じデータを二度使う・・・セコい使い回しのようにも思えますが、違いま
 す。読者様が前に戻って確認する手間を省くためです(建前発言)。
 さ、使い回しか読者の便を計ってのことかは不明ですが、本日 2度目の暦の
 データによれば、本日は旧暦1月(正月)の1日です。つまり旧暦の元日。今
 では大分影が薄くなってしまっている旧正月です。

 中国ではこの旧暦(中国では「農暦」と呼ばれることが多い)の元日を

   「春節」

 と呼び、祝日としています。
 中国でも公的な暦は現在は日本やその他の多くの国がそうしているようにグ
 レゴリウス暦と呼ばれる太陽暦です。
 中国のグレゴリウス暦への切り替えは1912年。改暦から既に 100年以上が経
 過しています。それまで使われていた時憲暦と呼ばれる太陰太陽暦が日本で
 いうところの「旧暦」となったわけです。

 このように現在では日本も中国も太陽暦を使っており、それ以前に使ってい
 た太陰太陽暦は廃止され、法律から姿を消しました。日本においては、この
 辺は真面目(?)に実施され、公的行事などに旧暦の日付が登場することは
 無くなりましたが、中国はそうでもありません。正面きってということでは
 ありませんが、祝日など見て行くと明らかに旧暦の日付によっているなとい
 うものがあります。

  春節    1/28 (旧 1/ 1)
  端午節   5/30 (旧 5/ 5)
  中秋節  10/ 4 (旧 8/15) ※日付はいずれも2017年のもの

 ご覧の通り。それぞれ何の日かはお解りですね?
 日本風にいえば旧正月、旧暦の端午の節供、中秋の名月です。
 このように、中国の祝日には若干の旧暦の痕跡(?)が見えますので、日本
 と中国の時差等により希に、旧暦の月日が相違するような場合があっても、

  はは〜ぁん、お隣の国では旧暦はこんな風に計算してるな?

 と確認することが出来ます。
 その点では真面目に旧暦を廃した日本では、正しい指標となるこうしたもの
 が無いため、旧暦はある意味、その暦を計算する人間が好き勝手に作るとい
 う状態になっております。
 まあ、御蔭で私のような一個人が旧暦の暦を勝手に計算してこよみのページ
 なんていうWeb サイトを作っていたりするのですが(禁止する法律は無いの
 で、手が後ろに回るようなこともありません)。

 なお、計算については「好き勝手」といいましたが、何でもありというわけ
 ではなく、明治改暦前の天保暦の仕組みにならって作るのが一般的でしょう
 から好き勝手に作ってもほとんどの場合、それぞれが作った物の間で違いが
 無いので問題はありません(たまにとってもレベルの低い間違ったものも無
 いではありませんがね)。

 ただ、近頃頻繁に採り上げられるようになってきた2033〜2034年にかけての
 ようなイレギュラーな年には、中国のような旧暦の痕跡だけでも、あってく
 れたら、例外に対処するための指標として有り難かったのですが。

◇正月とお盆に見る暦と人の暮らし
 「盆と正月」というくらい、日本においては重要な二つの行事があります。
 この二つの現在の姿を見ると、暦と人の暮らしとの関わりの複数の面が見え
 てくる気がします。

 どちらの行事も重要なものなのですが、正月は旧暦の影響を離れ、新暦の日
 付で祝われることがほとんどとなってきました。
 一方の盆はというと、月遅れという旧暦の日付が示す季節と新暦の日付とを
 結び点けた簡易的旧暦というか、新暦と旧暦の折衷的な日付で行われること
 が多くなっています。

 暦は、農耕等を効率的に行うために季節の循環を示す役割と、人間の社会生
 活の営みを円滑に進めるための役割があります。

 正月のような、社会全体の活動と密接に結びついた行事は、社会の仕組みが
 変わってくれば、それに合わせて行くしか無いでしょう。
 いくら「私は旧暦の正月を祝いたい」といっても、会社が学校が、役所やそ
 の他の公的機関が軒並み新暦で休みや各種行事を行うとなると、それを完全
 に無視するのは難しい。となると「社会生活を円滑に営むため」に新暦の日
 付に移行せざるを得ない。

 その点では、盆の行事はまだまだ私的な行事としての性格が強く、社会的な
 制約は緩いため、昔から行われてきた旧暦の日付の季節に近い時期に留まっ
 たと考えられます。ただ、そうはいっても、お盆の日付である七月十五日の
 旧暦の日付を毎年新暦の日付に変換して予定を組むというのは難しい。社会
 的制約は緩いとはいえ、無いわけでは無いですから。そのため、季節と暦面
 の日付(新暦の)との折り合いを考えて、「月遅れの盆」という本来の日付
 である七月十五日を、新暦の 8月15日で代用して行っているというところで
 しょう。

 こんなことを考えると、「旧正月」というものは日本においては段々と忘れ
 られて行くもののように思われます。
 そのうち、「中国からの観光客がどっと押し寄せる時期」くらいになっちゃ
 うかもしれませんね。

 なんだかとりとめのない話になってしまった本日の、暦のこぼれ話。
 「旧正月雑感」という漠然としたタイトルに免じて、漠然とした内容には、
 目を瞑って下さい。
 お粗末様でした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/01/28 号

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