こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■花水木の百年
 一週間前までなら見上げるとまだわずかながら、散り遅れた花が残っていた
 桜も、すっかり葉桜に変わってしまいました。
 花の命は短くて・・・。
 そんな桜の花に替わって、見上げると青空を背にして咲き始めた花がありま
 す。花水木(ハナミズキ)です。

 桜の散った後の晩春の日本を彩る花の一つ。
 花の一つ一つは桜の花よりずっと大きく、四枚の花弁、正しくは花弁ではな
 くて、苞葉(ほうよう)と呼ばれるものらしいですが、をもっています。
 色は、白色または薄紅色。

 一青窈の「ハナミズキ」歌の歌詞では「薄紅色の」となっていますが、今朝
 は薄紅色ではなく、白い花の花水木を見上げてきました。この花が咲きだす
 と 4月も終わり、微かに暑さを感じる日がやってくるころになります。

 このように、今ではすっかり日本に溶け込んでしまっている花水木ですが、
 この花はまた、「アメリカヤマボウシ」という名前も持っています。この名
 が示す通り、その生まれはアメリカ。北米原産の花です。
 この、アメリカヤマボウシが日本にやってきたのは1915年、大正 4年のこと
 です。

 この花は、アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.の「ポトマック河畔
 の桜」として有名な桜が、日米親善の記念として東京市(当時。市長は尾崎
 行雄)から贈られたことの返礼として、日本に届けられたものです。

 これだけだとよい話ですけれど、この時日本に贈られた花水木の原木は、そ
 のほとんどが太平洋戦争中に伐採されてしまい、ほとんど残っていないとの
 こと。親善有効の証として贈られた花水木も、それから30年もしないうちに
 随分と扱いが変わってしまったようです。

 それからさらに歳月は流れて、今年は2017年。
 花水木の日本での歴史は百年を超えています。
 風景に溶け込んでいる花水木の花を見上げると、この花がわずか百年とちょ
 っと前までは日本になかったことが不思議な気がします。
 存外、新参の木だったんですね。

  たった百年か

 と思ってしまいますが、その百年の間に、花水木が見てきた日本や、日本人
 はどんなふうに変ってきたのでしょう。
 花水木の木に、聞いてみたいものですが、今日、その花を見上げた花水木の
 木はまだまだ若い木。私の方がずっと年寄でしょうから、

  そんなこと、若い私に訊かれても・・・

 と戸惑うだけでしょうけれど。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/04/25 号

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