こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■日本国憲法と祝日
 今日(5/3) は憲法記念日です。
 憲法記念日の意味は、

 「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。」

 というものです(国民の祝日に関する法律 第二条)。
 法律にはその法律が示された公布日とその法律が実際に効力を持つようにな
 る施行日とがありますが、祝日法の憲法記念日の説明によれば、本日はその
 うちの施行された日を祝う祝日でした。
 現在の日本国憲法はの公布日と施行日の関係は次の通りです。

  昭和21.11.03 ・・・ 公布日
  昭和22.05.03 ・・・ 施行日

 憲法記念日については、憲法の施行日じゃなくて、公布日でもよかったので
 はないかな? とも考えられますが、ご心配には及びません。ちゃんと公布
 日も祝日となっていますから。

◇憲法の公布日と祝日
 ご存じのとおり、現在の憲法の公布日である11/3は、「文化の日」という祝
 日となっています。前述の国民の祝日に関する法律によれば「文化の日」の
 意味は

  自由と平和を愛し、文化をすすめる。

 とあるだけで、憲法の公布日との関係は明示されていません。ですが文化の
 日の意味の前半、「自由と平和を愛し」は、まさに日本国憲法の理念を表す
 言葉です。このあたりに暗黙裏に憲法との関係が示されているようです。

 しかしここでちょっと疑問が。
 日本国憲法は公布されてから半年間の準備期間(法律の内容の浸透、種々の
 関連法律等の整備に必要な期間)を経て施行されることになっていたわけで
 すから、公布が為された時点で自動的に施行日は定まるわけで、そう考える
 と、「憲法記念日」はその施行日より公布日の方が相応しいのではないでし
 ょうか。11/3を憲法記念日としなかったことには、なにやら思惑があるよう
 です。

 現在の日本国憲法の前にあった、大日本帝国憲法の公布日は2/11でした。
 2/11は、現在は建国記念の日という祝日ですが、以前も「紀元節」という祝
 日で、両者は基本的には同じ、伝説上の日本という国の成立を記念した日で
 した。

 あらゆる法律の基となる大切な憲法を国民に知らせる公布日には、やはり目
 出度い日を選びたい。そんな考えから、大日本帝国憲法の公布日には、紀元
 節という佳日が選ばれました。
 日本国憲法の公布についても、おそらくはこの前例にならい、佳日を選んで
 公布することが考えられたようです。そうして選ばれたのが、11/3。

 では、11/3という日はどんな日かというと、これは「明治節」と呼ばれた祝
 日だったのです。

 明治節は昭和 2年から祝日とされたもので、明治天皇の誕生日です。つまり
 明治時代の天皇誕生日(当時は「天長節」といいました)だったわけです。
 明治天皇は多難な明治という時代を乗り切り、日本を近代国家に育てた偉大
 な天皇として国民の尊敬を集めていた方ですので、異例ですが二代あとの昭
 和の時代にも祝日として残りました。

 どうやら、日本国憲法の公布日は適当に選ばれたものではなく、それまでも
 祝日として祝われていた目出度い日として明治節の日付、11/3が選ばれたよ
 うです。

 明治節は新祝日法制定に当たって行われた国民アンケート結果でも高位を占
 める国民に人気のあった祝日ですが、GHQ 統治下ではおおっぴらに祝日化す
 ることは難しかったでしょうけれど、憲法公布記念日という大義名分が、こ
 の日を祝日として残すことに一役買う事になりました。

◇日本国憲法も満70歳
 憲法記念日の話のはずが、なんだか文化の日の話になってしまいました。
 いけないいけない。最後くらいは憲法記念日の話に戻さないと。

 昭和22年の今日施行された日本国憲法。憲法としての効力を発揮してから今
 日で満70歳。結構な年齢です。

 一週間で書き上げられたマッカーサー草案をまた、突貫工事で和訳して作ら
 れたという点(異説もありますが)で、押しつけられた憲法といった批判も
 有りながら、それでも長らく日本の平和と繁栄の元となってきた憲法。
 有り難いものです。

 ですが70年も経てば、世の中も大きく変化し、この憲法が作られた時代とは
 世界の状況も変わっています。これまでは憲法解釈によって、変化する情勢
 になんとか対応してきてはいますが、これも行きすぎればかえって憲法をな
 いがしろにしてしまうと言うことにもなりそうです。

 憲法記念日とは「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」日です。

 これまでの国の成長と、これからのさらなる成長のためには憲法はどうある
 べきか、何があっても一言一句変えないという硬直した態度ではなく、変え
 てはならない点は何処か、変えるべき点は何処かといったことを真剣に考え
 てみる時期ではないでしょうか。考えた上で、変えないという選択もあるで
 しょうけれど。
 折角の「憲法記念日」ですから、

  日本国憲法の条文て、どうなっていたかな?

 なんて、読み直してみるのもよいかも。
 まだまだ連休は続きますからね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/05/03 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック