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■半夏生の鯖・蛸・うどん(2017版)
 本日は半夏生(雑節。七十二候も「半夏生ず」)です。
 半夏生といっても現在はあまりパッとした行事がないのですが、この日に特
 別なもの(?)を食べる地方があるとのことで、本日はこの辺の事柄を書い
 てみます。

◇食べ物の話の前に「半夏生」の時期について
 既に書いたとおり、半夏生は雑節の1つです。
 二十四節気や七十二候は中国で生まれたものが日本に輸入されてきたもので
 す(七十二候に関して日本に適するように作り直されましたけれど)。これ
 に対して雑節は日本の生活において必要なものとして、日本で追加されたも
 のです。雑節としては他に、八十八夜、入梅、二百十日、彼岸などがありま
 す。
 
 他の雑節に比べると、半夏生は影の薄い雑節のようにも感じますが、雑節と
 して採り上げられると云うことは、何か重要な意味があったはずです。
 考えられるのは稲作との関係があります。半夏生と関係する諺に、

  「半夏半作」と「半夏雨」

 という言葉があります。まずは「半夏半作」から。
 これは天候が不順で田植えが遅れても半夏までに田植えを終えれば、例年の
 半分程度の収穫は見込めるという意味です。半夏は田植えを終える目安とし
 ての意味があったのです。現在は稲の品種改良、早生化が進んで、田植えの
 時期も1〜2ヶ月早まっているので、田植えの終わりの目安としての役割は薄
 れてしまっています(この辺が、影の薄い雑節になった理由かな?)。

 もう一つの「半夏雨」は、梅雨の終わり頃に降る、強い雨。時には災害にな
 りかねない大雨が降りやすい時期なので、注意が必要というものです。同じ
 雑節の八十八夜は遅霜への警戒、二百十日が嵐への警戒が必要な時期の目安
 とされていることなのから考えると、大雨に注意時期の目安として半夏生が
 雑節となったと云うことはありそうな話です。

 さてここから先は半夏生にまつわる食べ物の話です。

◇福井県の「半夏生鯖」
 福井県では大野市を中心として半夏生には焼き鯖を食べる慣習があるそうで
 す。これを称して「半夏生鯖(はんげしょうさば)」。

 鯖といえば、庶民派青魚の代表。昔からよく食べられた魚ですが、料理の本
 など開くと、食べ頃は主に脂ののる秋とあります。半夏生の時期ではちょっ
 と時季はずれ?

 半夏生鯖の由来は、昔この地方を治めた大野藩の殿様が田植えが終わった時
 期に農民の労をねぎらうと共に、疲れた身体に滋養をつけるためと鯖を食べ
 ることを奨励した為だとか。
 既に書いたとおり、半夏生は田植えを終える目安でありましたから、この日
 を節目として、こうした行事が生まれたものと思われます。

 昔は、食事に魚がつくなんていうことは滅多にないことで、かなりの贅沢。
 この日ばかりは贅沢してもいいよと云うことなのでしょうか。
 また田植え前は酒や魚肉を断って、物忌みするという風習もありましたから、
 もしかするとこの物忌み明けという区切りの意味もあったのかも(このあた
 りは勝手な推測です)。

◇京都の「蛸の日」
 7/2 は「蛸の日」となっています。これは半夏生の時期には蛸を食べるとい
 う慣習があるということから生まれた記念日です。バレンタインデーのチョ
 コレートのような物でしょうが、残念ながらバレンタインデーのチョコレー
 ト程には全国展開出来ていないようです。

 この日蛸を食べる場所として情報を得ているのは、京都。
 私は京都の北部、海に面した舞鶴に計 4年暮らしたことがあるのですが、そ
 の時には半夏生に蛸を食べるという話を聞いたことがありませんから、京都
 といっても海辺では無くて、内陸での慣習なのでしょうか。

 半夏生と蛸との結び付きは?
 と考えると、これも田植えと関係しそうです。
 蛸は足が沢山ある生き物であり、とても生命力の強い生き物であることから
 田植えを終えた稲が、蛸の足のように沢山の根を出して、元気に育つことを
 願ったものと考えられます。

 もし、稲作との関係から蛸が食べられるのだとしたら、これは京都だけでな
 く日本全国どこで行われても不思議ではありませんね。
 何処か、「半夏生に蛸食べてます」という地方の方がいらっしゃったら、是
 非お知らせ下さい!!

◇香川県では「うどんの日」
 7/2 は「蛸の日」と書きましたがまたこの日は「うどんの日」でもあります。
 この日は、香川県生麺事業協同組合がうどんの消費拡大を狙って制定したも
 の。香川といえば讃岐うどんの本場。うどんの日も納得。
 ただなぜ半夏生に?

 これに関しては、もしかしたらですが麦の収穫時期と関係しているかも知れ
 ません。麦は半夏生の前あたりに収穫されます。関東などでは麦の収穫を畑
 の神様に感謝するために収穫した麦から作った団子を供える行事がありまし
 たから、それから類推すると、新麦から作ったうどんを祝いに食べるといっ
 たことが行われていたのでは。

 こちら、「半夏生のうどん」に関してはその由来は不明。これに関して由来
 情報、半夏生うどんの現状などについて、情報をお寄せ下さい。

 最後に今回取り上げたのは、鯖・蛸・うどんだけでしたが、それ以外につい
 ても、こんなもの食べる慣習がありますといった情報があれば、

  是非、是非、是非!

 お便り下さい。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/07/02 号

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