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■「月遅れの旧暦」の話
 お盆は関東など一部を除いては今でも旧暦や擬似的な旧暦とでもいうべき月
 遅れの日付で行われるようです。そのためお盆の本来の日付は7/13〜15(or
 16) の期間ですが、お盆行事は 8月に入ってから行われることがほとんどの
 ようです。そして今日からその 8月。

  ああ、月遅れのお盆の月だな

 と思ったところで、そうだ、本日の話は「月遅れ」にしよう!
 思い立ったところで早々に始まり始まり。

◇旧暦と月遅れの旧暦
 よく「月遅れの盆」と云いますがこれはお盆の本来の日付け7/13〜15を一月
 遅らせた日付で行う盆ということで、こう呼ばれるわけですがなぜわざわざ
 一月遅らせるのかと云えば、その主な理由は

  旧暦の盆の時期に近くてわかりやすい日とするため

 ということになるでしょう。
 古くからの伝統行事を旧暦で行う地方はまだ有りますが、ご存じの通り旧暦
 は一年の日数が新暦の一年の日数とは異なり、また同じ旧暦でも年によって
 日数もまちまちなので新暦と旧暦の日付の関係は年毎に変化して分かりにく
 いものです。例えば今日の 8/1という日付が旧暦では何日に当たるかここ数
 年を例として調べてみると

 ・新暦 8/1の旧暦での日付
  旧暦→ 20017/06/10 ,2018/06/20 ,2019/07/01 ,2020/06/12 ,2021/06/23

 という具合になります。
 2017〜2021の 5年間だけで見ても 8/1という新暦の日付に対応する旧暦の日
 付は 5種類。つまり全部違っているわけです。

 これでは「伝統行事を旧暦で」といっても実生活では新暦を使って暮らして
 いる私たちには大変に分かりにくい。そこで考え出されたのが、月の満ち欠
 けの具合には目を瞑って、旧暦の季節に近づけるために単純化した疑似旧暦
 とでもいうべき「月遅れの旧暦」です。月遅れのお盆も、この月遅れの旧暦
 でのお盆ということです。

 「月遅れの旧暦」何のことはない、旧暦の日付に「プラス1ヶ月した新暦」
 を仮の旧暦と見なすというものです。つまり旧暦 7/15なら、

  旧暦 7/15 + 1ヶ月 → 新暦 8/15 (月遅れの旧暦)

 という具合です。「月遅れの旧暦」なんていっても全く旧暦とは違うもので
 すが分かりやすいこと、新暦での生活と整合させやすいことから現在では広
 く使われている方式です。

 ちなみに、今年(2017年)の旧暦の7/15を新暦に変換すると 9/5。
 うーむ、これでは子供たちの学校の夏休みも終わってしまい、

  お盆には家族そろって田舎に帰省

 なんてことが難しくなってしまいますね。

◇月の満ち欠けには合わないが、季節は近い?
 ご存じのとおり、旧暦は新月の日が暦月の朔日(一日)となる暦で、月の満
 ち欠けと日付けがほぼ一致します。
 お盆の日付けは7/15ですから、その日の月は十五夜の月。
 現在の定義での満月とは完全に一致するわけではありませんが、十五夜の夜
 には、「ほぼ満月」と言えるくらいの丸い月が昇ってくるはずです。

 しかし、月の満ち欠けと無関係となった新暦の日付けを使って作った擬似的
 な旧暦、月遅れの旧暦の日付けでは、月の形はわかりません。
 今年の月遅れのお盆、新暦の8/15の月はというと満月には程遠い下弦の月。
 十五夜の月の下での盆踊りというわけにはいきません。

 こんな月遅れの旧暦ですけれど、季節的に見れば、平均的な旧暦と近いもの
 になります。旧暦は太陰太陽暦ですから、個々の年の日数は、353〜355,383
 〜385日で、現在の私たちの考える新暦1年の日数である365(or 366)日と
 は異なりますが、1年の日数を複数年で平均すると、その日数は新暦の1年
 とほぼ同じになります。

 「平均化すれば」ですが、旧暦の1年も新暦の1年も同じ日数になるのであ
 れば、あとは「年の始まりの日」の違いだけです。旧暦の年の始まりは、こ
 れまた平均して考えると、新暦の 2/4付近がその位置。新暦の1年の始まり
 とは「1月と少し」の差となります。最後の「少し」に目を瞑れば、本来の
 旧暦の日付け+1ヶ月の新暦の日付けである月遅れの旧暦は、季節的には旧
 暦的な雰囲気を醸し出せるというわけです。

 「月の満ち欠けの一致を取るか、季節の一致を取るか」で、季節の一致を選
 んだのが「月遅れの旧暦」ということです。
 まあ、現代なら、お月様の明かりを当てにしなくても「盆踊り」には支障は
 無いでしょうからね?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/08/01 号

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