こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■8/11は更待月か居待月か?
 お盆の話が続き、ちょっと食傷気味でしょうから本日は少し違った話を書い
 てみます。その話題はお月様の呼び名についてです。

 いつものごとくですが、こんな質問のメールが Webこよみのページに届きま
 した。以下は、いただいたメールの本文の抜粋です。

  『月の呼び名について質問なのですが、今日8月11日はページでは更待月
   となっていますが、居待月と紹介するカレンダーもあります。
   どちらが正しいのでしょうか?』

 というものです。
 メールをいただいた日付は2017/08/11ですから、その日の月の呼び名につい
 ての疑問だったとわかります。

◇お月様の呼び名
 伝統的な月の(満ち欠けの)呼び名に、三日月、十五夜月、十六夜月などが
 あります。特に十五夜月の後には、

  十五夜月、十六夜月、立待月、居待月、寝待月、更待月

 と続きます。
 十五夜月は、ほぼ満月の月なので日没とほぼ同時刻に月が昇ってきます。
 翌日の十六夜はというと、月の出は1時間弱遅くなりますので、「進むよう
 で進まない」という意味の古い言葉である「いざよう」が名前となり、十六
 夜月と書いて「いざよいづき」と読むようになりました。

 この調子で、月の出は1日ごとに1時間弱づつ遅れてくるので、月の出を待つ
 時間が長くなるに従い、

  立待月(十七夜) ・・・ 立って待つほどの時間の月
  居待月(十八夜) ・・・ 座って待つほどの時間の月
  寝待月(十九夜) ・・・ 横になって待つほどの時間の月
  更待月(二十夜) ・・・ 夜更けまで待つ月

 と呼ばれるようになりました。
 十五夜月や十六夜月に「○○夜」と数字が入っていることでわかるとおり、
 こうした呼び名は、月の満ち欠け(朔望)に連動して暦が作られていた時代
 の日付の月の呼び名として定着したものです。

 なお、居待月くらいまではまず違いはありませんが、寝待月とは言わず、更
 待月ということもあるようです。寝てまで待つくらいだと夜更けまで待つ月
 と同じだともいえますから、この辺になると多少のブレはできます。

◇居待月か更待月か?
 2017/08/11は旧暦では六月二十日に当たるので、前述の説明に従えば更待月
 となります。こよみのページの月齢カレンダーなどでの表示はこの旧暦日に
 連動した方式によっておりますから、メールにあったとおり、「更待月」と
 なっていたはずです。

 では、もう一方の「居待月」となっていたカレンダーは、どんなふうにして
 居待月としたのか? 残念ながら、「居待月と紹介するカレンダー」が何な
 のかについて書かれていないので確認のしようがないので、ここからは推測
 するしかありません。皆さんもちょっと考えていただけませんか?

   ・・・ちょっと、考える時間・・・

 さ、いかがでしたか?
 皆さんのお考えの結果も伺いたいところですが、この瞬間にそれを伺うのは
 無理なので、私の考えを紹介することにいたします。

 私の考えでは、おそらく問題のカレンダーは十六夜月以下を満月からの経過
 日数で示したものだろうということです。
 2017/08 の満月(天文学的な意味の)は 8/8でした。その翌日を十六夜月、
 翌々日を立待月とすれば8/11は居待月となります。

 だとすると、居待月と更待月の2日の違いは? この遅配は満月の日と十五
 夜の日付が2日違っていたことに起因するものでしょう。
 2017/08 の十五夜にあたる日は、 8/6。この十五夜の日から十六夜月・・・
 と数えてくれば、8/11は更待月ですから。

 メールにあった疑問の始まりは、この点にあるのだと推測したのですが、皆
 さんのお考えは?

◇どちらが正しい?
 メールには、「どちらが正しいのでしょうか?」とありましたが、何と答え
 るべきでしょうね?

 私の推測が正しいとすれば、今回の問題は十五夜の日と満月の日が一致しな
 いことによって生まれたものです。また、

  十五夜月は(天文学的な)満月と一致する

 という、誤った常識(?)のためだと思います。
 私としては、今回問題となった居待月や更待月といった呼び名は、十五夜月
 や十六夜月という旧暦日に由来した月の呼び名の仲間だと考えますので、旧
 暦の日付に沿った解釈をしています。8/8 が満月だとしても、旧暦では六月
 十七日にあたるこの日の月を「十五夜の月」とはいわないだろうと考えるの
 です。

 一方、居待月や更待月という月の名は、満月からの経過日数で考えるべきだ
 という考えであれば、その考えが間違いだとも言えません。現在は、旧暦の
 日付は日常生活では意識することがないものだと考えると、旧暦の十七日の
 日の月を満月という意味で「十五夜の月」と呼ぶ人がいたとしても、それが
 間違いだとは言い切れません。

 ただ、「こよみのページ」を作るものとしては、そうした使い方はしないで
 すけれど。
 考え方、物事のとらえ方の問題なので、どちらが正しく、どちらが間違いと
 は言えない問題です。

◇最後の難問
 メールをくださった方には、どんな回答を書いたらいいの?
 あるいは、どう書いたら納得してもらえるの?
 これが、最後の、そして最大の難問ですね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/08/14 号

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