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■旧暦月の大小のならびの話
 10/19 に書いた「新暦の方が複雑? 月の日数の話」に意外に反応があって
 旧暦の暦月の日数は、あらかじめ決まっている(何らかの規則性がある)と
 思っている方が、この日刊☆こよみのページの読者の方の中にも、結構いら
 っしゃることがわかりましたので、本日は旧暦の月の大小について少し詳し
 く書いてみることにします。

◇旧暦の月の大小
 旧暦の月の大小は初めに月の大小が決まるのではなくて、月の初めの日付が
 まず決って(新月を含むが一日となる)、月の初めの日が決まった結果とし
 て月の大小が決まります。
 旧暦2017年の一部を例としてあげれば、

   旧暦日付 (新暦日付)
    5月 1日 ( 5/26)小の月
  閏 5月 1日 ( 6/24)小の月
    6月 1日 ( 7/23)大の月
    7月 1日 ( 8/22)小の月
    8月 1日 ( 9/20)大の月
    9月 1日 (10/20)小の月
   10月 1日 (11/18)大の月

 とそれぞれの月の最初の日が決まります。旧暦 9月の期間は上の例では、新
 暦の10/20〜11/17(旧暦10月 1日の前日)となりますから、この日数を数え
 ると29日となるので、この月は小の月となります。

 同様に 1日から翌月の 1日の前日までの日数を数えると旧暦月の 7月は29日
 で小の月、 8月は30日で大の月という具合に月の大小が決まります。

◇将来の旧暦の月の大小
 上で説明したとおり、旧暦の場合何月が大の月か小の月かを知るためには、
 まずその月とその翌月の 1日がいつになるかを知る必要があります。旧暦の
  1日は「新月となる日」ですから、この作業は新月がいつになるかを計算し
 て決める作業と云えます。

 来年のカレンダーなど、新暦では小学生でも簡単に作ることが出来ますが、
 月の大小の並びすらも、まず新月となる日付を計算しなければならない旧暦
 にあっては、来年のカレンダーを作るなどと云うことは、一部の専門家でな
 ければとても出来ることではありませんでした(現在なら、「Web こよみの
 ページ」で必要な資料はみんなそろいますけれど・・・宣伝でした)。

 暦は日常生活に無くてはならないものでありながら、旧暦が正式な暦として
 日常生活に使われていた時代は、その月の日数すらも暦で確認しないことに
 はわからなかったので、暦は毎年大ベストセラーでした(江戸末期の暦は、
  450万部も頒布されたと言われます)。
 うーん、現在もこんな状態なら、かわうそ@暦も大儲け出来ましたね、きっ
 と(さもしい妄想でした。失礼)。

◇最近の旧暦の月の大小の並び
 この推測に沿って考えてみましょう。
 手始めには2016〜2020の旧暦の月の大小の並びを調べてみます。

 旧暦月  1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 閏月
 2016年:大 小 大 小 小 大 小 大 大 小 大 大
 2017年:小 大 小 大 小 大 小 大 小 大 大 大 閏 5月小
 2018年:小 大 小 大 小 小 大 小 大 小 大 大
 2019年:大 小 大 小 大 小 小 大 小 大 小 大
 2020年:大 小 大 大 大 小 小 大 小 大 小 大 閏 4月小

 2017, 2020年には閏月が挿入されていますので、閏月だけは最後にくっつけ
 ています。みんな、ばらばらです。
 毎年毎年、月の大小を覚えるのも大変。
 暦がベストセラーになるのももっともです。

◇おまけ。江戸時代の「西向く士」
 毎年月の大小の並びが変化するということは、昔も「西向く士」がいたので
 はないか、そんなことを思った方がいらっしゃるのでは?
 そんな方のために、江戸時代の暦月の大小をせっせと調べ、大小の月の並び
 を見てゆくと、やっぱりいました「西向く士」が。
 それも一人じゃなくて三人も。
 その三人のお侍様は、

  一人目 慶安 四年(1651年)
  二人目 寛政十三年(1801年)
  三人目 天保 八年(1837年)

 三人もいたとは・・・とはいいながら江戸時代約 270年の間に 3人ですから、
 そんなに多いと言うほどではないでしょうか。

 昔の暦は年が変わる前の十一月に入ると売り出される決まりでした。江戸の
 人々は十一月になれば、来年の暦と睨めっこして、月の大小の並びをせっせ
 と覚えたのでしょうか。それとも、毎月暦を見て確認したのか。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/10/22 号

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