こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■星座占いと二十四節気
 「あなたは何座生まれ?」

 こんなことを聞かれたことはないでしょうか?
 近頃は、少々減ったとはいいながら、毎朝のTV番組で、

  今日、一番ラッキーなのは おひつじ座生まれの人

 なんていう星座占いが行われることは多いし、雑誌などで採り上げられるこ
 ともおおい(全然やってないという方が少数派かと思われるくらい)。
 ということで、改めてたずねてみましょう。

  アタなた何座生まれ?

◇生まれた星座の区切りの日付
 さて、星座占いの星座の区切りの日付は、一般的には次のようになります。
(ウィキペディア 「星座占い」より抜粋
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E5%BA%A7%E5%8D%A0%E3%81%84)

     3月21日 -  4月19日: 白羊宮(おひつじ座・牡羊座)
     4月20日 -  5月20日: 金牛宮(おうし座・牡牛座)
     5月21日 -  6月21日: 双児宮(ふたご座・双子座)
     6月22日 -  7月22日: 巨蟹宮(かに座・蟹座)
     7月23日 -  8月22日: 獅子宮(しし座・獅子座)
     8月23日 -  9月22日: 処女宮(おとめ座・乙女座)
     9月23日 - 10月23日: 天秤宮(てんびん座・天秤座)
    10月24日 - 11月21日: 天蝎宮(さそり座・蠍座)
    11月22日 - 12月22日: 人馬宮(いて座・射手座)
    12月23日 -  1月19日: 磨羯宮(やぎ座・山羊座)
     1月20日 -  2月18日: 宝瓶宮(みずがめ座・水瓶座)
     2月19日 -  3月20日: 双魚宮(うお座・魚座)
 なお、占いによっては期間が1日ほどずれる場合がある。
 -------------- ウィキペディア 引用 ここまで -------------

 ウィキペディアの抜粋記事の最後に注意書きされているように、1日程度の
 違いが生じる場合がありますが、まあ、こんなところでしょうか。
 さて、この区分ではあなたは何座? かわうそは・・・似つかわしくもなく
 可愛らしい星座です。

 ま、それはさておき、この区切りはどんな風になされているのか?
 基本的な考え方は、その時に太陽が何処(普通は黄道座標の経度、つまり黄
 経の値)にあるかで決められています。
 であれば、この日付けのときに太陽が何処にあったか調べれば区切り方がわ
 かるはずです。
 では早速、確かめてみましょう。3/21といっても 0〜24時までありますから
 とりあえずその真ん中、12時(正午)の値を計算してみます(日本時で)。
 すると結果は次のようになります。
 (Web こよみのページ 「太陽と月の黄経・黄緯の計算」
  http://koyomi8.com/sub/sunmoon_long.htm の計算結果)

  2017/ 3/21 12h0m 視黄経= 0.684°
  2017/ 4/20 12h0m 視黄経= 30.226°
  2017/ 5/21 12h0m 視黄経= 60.260°
  2017/ 6/22 12h0m 視黄経= 90.899°
  2017/ 7/23 12h0m 視黄経=120.467°
  2017/ 8/23 12h0m 視黄経=150.187°
  2017/ 9/23 12h0m 視黄経=180.284°
  2017/10/24 12h0m 視黄経=210.895°
  2017/11/22 12h0m 視黄経=239.997°
  2017/12/23 12h0m 視黄経=271.466°
  2018/ 1/20 12h0m 視黄経=299.993°
  2018/ 2/19 12h0m 視黄経=330.407°

 小数点以下は無視すると、はっきりと規則性がわかりますね。
 黄経30°毎に区切られているのです。
 ということは、例えば、3/21〜4/19のおひつじ座生まれの人が生まれた時に
 は、太陽はおひつじ座にあるんですね。なるほど・・・といいたいのですが
 おひつじ座生まれの区切りである、黄経0〜30°に現在ある星座はというと、
 おひつじ座ではなくて、そのお隣のみずがめ座です。あれれ?

◇生まれ星座は変わる?
 おひつじ座生まれといわれる期間、3/21〜4/19に太陽がある星座が水瓶座で
 ある理由は、ある日(ある季節といってもよい?)の太陽と星座の位置関係
 は、時とともに変化するからなのです。

 ただ、変化するといっても、その変化は比較的ゆっくり。 1°変化するのに
 およそ70年ほど、つまり普通の人の一生分くらいかかります。ですが、こん
 なゆっくりした変化でも長い時間をかけると、星座一つ分(30°ほど)も動
 いてしまうのです。これは、「歳差(さいさ)」と呼ばれる現象で、地球の
 自転軸の向きが空間(星座を形作る恒星の位置に対してといってもよいでし
 ょう)に対して変化する現象を主たる原因とするものです。

 この歳差の影響で、星座一つ分、30°もずれるためにはどれくらいの時間が
 かかるのかというと、ざっと2200年。現在の誕生星座占いの星座と実際の星
 座のずれを考えると、誕生星座占い形が固まったのは、歳差によって星座一
 つ分動くほど昔だったのだろうと推測出来ます。

 2000年以上も前に誕生星座占いなどを思いついた人達は、まさか太陽と星座
 の位置関係が変わるものだなんて、想像もしなかったんでしょうね(ただし
 歳差を発見したとされるのは、紀元前 150年頃の天文学者、ヒッパルコスだ
 とされていますから、2000年前でも、気がつく人はいたというわけです。ヒ
 ッパルコス、すごい!)。

 さて、さすがに星座一つ分も違うと、目立ってしまいますから、星座占いで
 は、星座占いで使う星座(十二宮)と実際の星空の星座は異なると説明して
 いるようです。また、一方では、現在の星座(正しくは、区切りに使う黄経
 の30°毎の区切り、サイン)に合わせて、区切りの日付を変えて対処しよう
 とする考え方もあり前者を「トロピカル方式」後者を「サイデリアル方式」
 といいます。

 解りと思いますが、サイデリアル方式だと、何十年か毎に区切りの日付を変
 える必要があります。これからは生まれた日だけじゃなくて年も考えないと
 誕生星座が求められないと言うことになるかも?(幸い、現在の主流は、ト
 ロピカル方式のようですけれど)。

※どちらの方式でも、計算は黄経の30°毎の区切り(サイン)で考えるので、
 空に見える星座そのものとはいえません。当たり前のはなしですが、星座の
 星は人間の都合に合わせて30°きっちりで区切れるはずはないからです。

◇星座占いの日付と二十四節気の関係
 さて、本日はなぜか「星座占い入門」みたいな話となってしまった、暦のこ
 ぼれ話ですが、最後くらいは暦の話につなげてみましょう。
 星座占いの星座の区切りが太陽の黄経で決まるということ、暦の上で重要な
 何かとよく似ていませんか?

 思い浮かびましたね、そう、二十四節気の区切りと同じ考え方です。
 現在使われている定気法の二十四節気は太陽の通り道である黄道を黄経15°
 毎に区切った期間で分けます。区切りの幅が30°と15°という違いはありま
 すがやっていることは同じ。二十四節気の 2つの節気を合わせて考えれば、
 まったく同じじゃないですか。では、並べてみましょう。
 
 春分 2017年  3月 20日 ( 3月21日 おひつじ座)
 穀雨 2017年  4月 20日 ( 4月20日 おうし座)
 小満 2017年  5月 21日 ( 5月21日 ふたご座)
 夏至 2017年  6月 21日 ( 6月22日 かに座)
 大暑 2017年  7月 23日 ( 7月23日 しし座)
 処暑 2017年  8月 23日 ( 8月23日 おとめ座)
 秋分 2017年  9月 23日 ( 9月23日 てんびん座)
 霜降 2017年 10月 23日 (10月24日 さそり座)
 小雪 2017年 11月 22日 (11月22日 いて座)
 冬至 2017年 12月 22日 (12月23日 やぎ座)
 大寒 2018年  1月 20日 ( 1月20日 みずがめ座)
 雨水 2018年  2月 19日 ( 2月19日 うお座)

 例として求めた二十四節気は、2017〜2018年のものです。()は、前述した
 トロピカル方式の一般的な誕生星座の始まりの日付です。どうです?
 日の区切り時刻の問題があって、 1日違って見えるところもありますが、こ
 れを見る限り、星座占いは、二十四節気占いと言っても間違いじゃない?

 今は「占いのもの」とだけとらえられている星座占いの十二星座(十二宮の
 元)ですけれど、その始まりは星座と太陽の位置関係から、季節を読み取る
 という「暦」としての顔をもったものだったのでした。

 ね、一応「暦のこぼれ話」だったでしょう?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2017/11/25 号

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