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■皆既月食(2018.01.31)
 2018年の正月には、1月の間に2回の満月があります。
 最初の満月、1/2の満月は、いわゆる「スーパームーン」。
 月が地球に近い位置で満月を迎え、何時もより月大きく見える満月でした。
 そして、後の方の満月、1/31の満月は、皆既月食となる満月です。

 1月に2度の満月と贅沢な今年の正月ですが、そのどちらもそれぞれになんだ
 か特別な満月ですから、なんだかとっても得した正月という感じですね。

◇皆既月食の状況
 「当日や前日にいわれても、準備が間に合いません」といわれそうなので、
 本日はちょっとだけ前倒しで1/31の月食の状況をお知らせします。

 半影食始め  19時50分
 欠け始め   20時48分
 皆既食始め  21時51分
 最大食分   22時30分 食分 1.321
 皆既食終わり 23時08分
 欠け終わり   0時11分 (2/1)
 半影食終わり  1時10分 (〃 )

 月食の始めと終わりは半影食ですが、これは正直に言ってよほど注意深く観
 察しないと気が付かないと思われます(カメラの絞り、シャッタースピード
 などを一定にして写すと、案外綺麗に映ったりします。興味があればお試し
 を)。

 一般的に「月食」として認識されるのは「欠け始め」、「欠け終わり」と書
 いた本影食といわれ、はっきりとした地球の影による月食です。
 「欠け始め」が部分月食の始まり、「欠け終わり」が部分月食の終わりです。

 皆既月食の始め終わりは、本影に月全体がすっぽり覆われた状態です。すっ
 ぽり覆われている状態とはいっても、地球の大気の屈折により波長の長い赤
 い光などは影のなかまで入り込むため、完全に月が見えなくなるのでは無く
 暗赤色の月が見えることが多いです。

 ただ、地球上で大規模な火山噴火などが起こって、大気中の塵の量が多い様
 な年には、本当に月が何処にあるかわからないほど暗い月食となることもあ
 り、月食毎に違いが見られるのも皆既月食。
 今年はどんな月食になるでしょうか。楽しみです。

 最後に、「最大食分」とあるところですが、これは月食の度合いを示す食分
 という数値の最大値のことで、時にはその最大値となる瞬間を示すために使
 うこともあるのです(今回も)。この瞬間の時刻とは、まあ月食の中心時刻
 と考えて頂いてよいでしょう。

 ちなみに、食分は「欠け始め、終わり」が0.0、皆既月食の始めと終わりの
 瞬間が 1.0となります。今回の月食は最大食分の数値が1.321ですから、皆
 既月食となってからもしばらくは月はさらに地球の影の奥にまで進んでいく
 ということがわかります。

 ちなみに、この日の月の出は
 札幌 16時26分、東京 16時50分、那覇 17時58分。
 月没は翌日の朝ですから、上記の月食は日本全国何処ででも最初から最後ま
 で見ることが出来ます。
 皆既食の始まりは21時51分ですから、この時刻なら小学生でも無理なく観察
 出来る時間かな? いかがでしょうか。

◇月食にまつわる素朴な疑問
 子供の頃から月食の観察(観測?)等しておりましたので当たり前だと思っ
 ていることでも、特別そんな趣味は持っていないという方にとってはわか
 らないこともあるはず。

 私がよく聞かれる、普通の方々(?)からいただく素朴な質問を2つとりあ
 げてみます。もしかしたら参考になるかも。

・その1 ・・・ 月食現象の時刻って「何処」で見た時刻?
 前述した「欠け始め」や「皆既月食始め」などの時刻は、何処での時刻なん
 でしょうか? 何も書いてないですけれど・・・
 と思われた方が何人かはいらっしゃったのでは?

 答えは、「何処と云うことはありません、月が見えるところなら皆同じ」な
 のです。月食の時刻は「見える時刻」ではなくて、月に地球の影が落ちると
 いう現象の時刻が起こる時刻です。ですから、地球上の何処で見ようと同じ
 瞬間、同じ時刻です。

 ただし、その時刻が何処の標準時を用いたかということで時刻を示す数字に
 差が生じることがありますが、これは単なる「時差」の問題。ちなみに、前
 述した時刻はもちろん、日本標準時による時刻です。

・その2 ・・・ 月食は望遠鏡が無くても見えますか?
 現実に、時々尋ねられる質問です。天文現象は何でも天体望遠鏡が無いと見
 られないものと思い込んでいる人がいるようです(流星群が話題になって、
 望遠鏡が売れるというような不思議な現象が昔からありました)。
 もちろん答えは「否」です。

 月食を見るのに望遠鏡は必要ありません。
 満月が丸く見えて、満月の上になんとなくうさぎが餅つきしている姿が認め
 られるのであれば、肉眼で十分楽しめます。

 もう少し見やすくということであれば、双眼鏡があれば、楽しさは倍増しま
 す。双眼鏡は小型のもので十分。
 望遠鏡があれば、それを使うのももちろん有りですが、それでも倍率は、せ
 いぜい 50〜60倍程度まで。これ以上の倍率だと月全体が見えなくなってし
 まうので月食の観察には適しません。

 あとは、カメラで月食の様子を映すのも面白いです。
 ただ、単純にAUTO撮影などしてしまうと、思ったようにはいかないかもしれ
 ません。この点は御注意を。

 何にせよ、月食の観測は、望遠鏡などが発明される以前からずーっと行われ
 ていたものですから、何の道具が無くとも楽しめるものです。

◇余談
 最後に余談ですが、1/31の皆既月食となる満月ですが、このお月様、スーパ
 ームーンと呼ばれた 1/2の満月に負けず劣らず、かなり大きな満月です。

 1/2 の満月の瞬間の月と地球(の中心)の距離は約356,600km。
 1/31の満月の瞬間の月と地球(の中心)の距離は約360,200km。

 地球と月の平均距離384,400kmと比べるとどちらもぐっと地球に近く、その
 分月は大きく見えます。

 今度の月食は平均的な満月より直径にして約6%余り大きなお月様による皆
 既月食。見応えありそうです。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2018/01/28 号

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