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■「孟・仲・季」と「初・仲・晩」
 少し前(8/11 http://urx2.nu/LA9B )に、暦のこぼれ話に採り上げた

  孟・仲・季、季節の三兄弟

 について、読者の方から次のような御質問を頂きました。

--------------- 以下 一斗# さんのメール -------------------
 孟・仲・季、季節の三兄弟の回を見て、
 一つ質問ができました。
 もしもご存知でしたら教えてくださいますか。

 メールを拝見して、
 中国の孟・仲・季に対応するのは、日本では初・仲・晩かと思いました。
 例えば、初春・仲春・晩春、初夏・仲夏・晩夏というのがありますよね。
 ただ、以前から「仲」が「中」でないのが気になっていました。
 「仲」は、仲がよいとか、犬猿の仲というふうに使われているため、
 これに習うと、「仲春・仲夏」よりも「中春・中夏」の方が適切ではない
 か、とおもっていたのです。
 「仲春・仲夏」というように「仲」を使うのは
 中国の孟・仲・季の「仲」から来ているのでしょうか?

 専門の分野とは少し離れしまうと思いますので、
 ご存知なければ結構です。
------------- 一斗# さんのメール ここまで ---------------

 最後に、「ご存知なければ結構です」という救いの言葉がありましたので、
 ホッとしました。分かりません・・・。

 分からないにもかかわらず本日採り上げたのは、私も予てから同じ疑問を持
 っていたので、この機に皆様のお知恵を拝借して、理由を考えてみたいと思
 ったからです。

◇中春×、中夏△、中秋△、中冬×
 言葉の話なので、毎度お世話になる広辞苑に頼ってみました。既に第七版が
 出ているのに、申し訳無いが手持ちの六版で調べた結果ですが、

  中春× 中夏△ 中秋△ 中冬×

 となりました。「×」はその項目が無かったもの。「△」は項目はあったけ
 れど、語釈をみるとそれらしい説明では無かったものということです。
 残念ながら広辞苑には、季節の真ん中の月の異称として「中」が使われたも
 のは見つかりませんでした。「△」とした中夏、中秋は

 ・中夏 夏のなかば
 ・中秋 陰暦8月15日の称 《いずれも広辞苑・第六版・抜粋》

 確かに項目はありましたが、それぞれ季節の真ん中の月の異称という扱いで
 はありません。これに対して「仲」の文字を使ったものは、春夏秋冬の四季
 全てに項目があり、語釈も

 ・仲夏 (夏の3カ月の真ん中の意)陰暦5月の異称。《広辞苑第六版・抜粋》

 のように、求める意味どおりの語釈があります。どうやら、やはり一般的に
 は季節の真ん中の暦月を表す場合には、「中」ではなくて「仲」を使うよう
 です。

◇初仲晩?
 ここからは推測でしか無いのですが、真ん中という量を表す言葉と、順番を
 表す言葉の差では無いかと漠然と考えています。

「初」は始め、「晩」は遅くとか末という意味がありますから、初夏と言えば
 夏の始めだから、夏の期間の最初に来る暦月もこの言葉で表してもおかしく
 はない。晩についても同じで「晩夏」と言えば、夏の末の暦月の異称ともな
 ります。なら、「中夏」が夏の真ん中の暦月の異称でもよさそうですが、暦
 月を数える場合、季節の真ん中の暦月はその季節の「二番目の月」という意
 味もまた同時に表すので、順番を表す「仲」(兄弟の順番で次男にあたる)の
 方がよかったのではないか?

 「中」では、季節が三暦月だけなら問題無いですけれど、四暦月のようにな
 ると、ちょっとまずい。中国由来の伝統的太陰太陽暦では、三年に一度くら
 いの割合で、閏月が出来ますから、一つの季節が四暦月になることがありま
 すから。こうなっても順番を表す「仲」なら大丈夫・・・。

 とはいいながら、それ程自信があるわけではありません。かなりこじつけの
 説明だなと私自身、感じます。

 さて、自信は無いながらひとまず暦月の異称に用いるには「中」より「仲」
 の方がよさそうだと言うことにして、もう一つの謎に移ります。それは、

  「孟・仲・季」が「初・仲・晩」に変わったわけ

 です。こちらについては、何となく分かります。それは、日本では兄弟の順
 番を「孟・仲・季」という言葉で表すような慣習が無かったので孟仲季で順
 番を表すという中国風の異称は定着しなかった。そこで、季節の最初の月は
 「初」の文字を用い、終わりの月には「晩」を用いて表すようになった(中
 国でも、この方式の暦月の異称がありましたので日本独自の発明ではありま
 せん)のでは。

 ただ、「中」では順番を表すという使い方にはそぐわないことと中夏や中秋
 という言葉が、暦月の異称ではない別の意味を持つ言葉で存在していたこと
 もあってここだけは「仲」が残って

  初・仲・晩

 となったのでは。
 私はこんな風に考えているのですが、お便りを下さった 一斗#さんがお書き
 下さったとおり、ちょっと分野が違う話で、自信を持って「こうです!」と
 は言い切れません。

 どなたか、この問題について詳しい方がいらっしゃいましたら、是非この機
 会にご教示いただければ幸いです。
 よろしくお願いします(と最後は、読者頼み)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2018/08/20 号

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