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■「文化の日」余話
 今日、11/3は文化の日です。

 「自由と平和を愛し、文化をすすめる」

 というのが、現在の「国民の祝日に関する法律」(一般には「祝日法」と呼
 ばれます。昭和23年 7月20日発布・即日施行)に書かれている文化の日の意
 味です。解ったような解らないような。「文化をすすめる」ってどんな意味
 なんだろう?

 日本国憲法の公布を記念した日ということでこの日を「憲法記念日」とする
 案もありましたが、憲法記念日はそれが実施される翌年の 5/3に譲って、こ
 ちらの名前は文化の日に落ち着きました。

 Wikipedia の記事(2018/11/3 現在)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E3%81%AE%E6%97%A5
 によると11/3を憲法記念日にする件に関してはGHQから

  「絶対にダメ」

 という主張があって憲法記念日は5/3の施行日となったそうです。
 ほう、そんな経緯が。それにしても、GHQはなぜ11/3を憲法記念日とするこ
 とに難色を示したのでしょう?

◇文化の日は「明治節」
 大日本帝国憲法下の祝祭日と現在の祝日を並べて見ると、昔はここ11/3に、
 「明治節」という祝日があったことが解ります。

 明治節は更に遡れば明治時代は「天長節」。つまり今で言うところの「天皇
 誕生日」でした。
 明治維新からの急激な歴史の流れの中で日本の近代化に舵を切り、現在の日
 本の基礎を築いた明治天皇に対する日本人の思い入れは強く、昭和の時代に
 入って、一旦は祝祭日のリストから消えた明治天皇の誕生日が名前を変えて
 復活したのです。

◇新憲法下の文化の日
 現在の「国民の祝日に関する法律」が制定される前に行われた時事通信社の
 3000名対象のオピニオン調査では、この明治節の祝日への採用希望者は15.1%
 と全体の中の 9位とかなり高い位置に「明治節」が登場しました。

 ただこの時代の日本は占領軍統治下。GHQ が国家神道・天皇崇拝に関連しそ
 うな祭日を認めるはずはないことから、真っ正面から「明治節」ではなくて

  衆議院案 文化祭
  参議院案 憲法記念日

 という名前での祝日案が提出され、調整の結果、現在の「文化の日」と言う
 名前になりました。GHQからすると、新生日本の出発点とも云える新しい憲
 法を記念する「憲法記念日」を明治節の日にすることは認められなかったの
 でしょう。

 ただ、憲法記念日という名前には強く反対する一方でGHQは、「その他の祝
 日ならよい」という譲歩もしたようで、その結果、11/3は「文化の日」とい
 う祝日になったようです。

 こんな経緯を考えると、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」というなん
 だかよくわからない祝日の意味も納得出来てしまいます。明治節の日を祝日
 として残すためには、意味の曖昧な、それでいて反対する人はいないような
 祝日がよかったのでしょう。
 名を捨てて実を取るというところだったのですね。

 「意味がよくわからない」と腐してしまった文化の日の意味ですが、文化の
 日が出来るまでの経緯を考えると、よくわからない文化の日の意味には深い
 意味が隠されていたのかもななんて考えてしまった、「文化の日」のかわう
 そでした。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2018/11/03 号

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