こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■黄昏の長さ
 先日、「日没の時刻が一番早い頃」の話を書いたところ、

  日が沈んでから真っ暗になるまで、どれくらいですか?

 という御質問を頂きましたので、本日はその話です。

◇「黄昏時」と「かわたれ時」
 日が沈み、夜のとばりがあたりを覆うまでの間の時間を「黄昏時(たそがれ
 どき)」といいます。では夕方の黄昏時に対して夜明け前の薄明かりの時は
 何かというと、こちらは「かわたれ時」といいます。
 「黄昏時」と「かわたれ時」という言葉は

  誰ぞ彼 (たれぞかれ) → たそがれ → 黄昏時
  彼は誰ぞ(かわたれぞ) → かわたれ → かわたれ時

 つまり「あの人は誰?」と人の顔がハッキリとわからない程の明るさの時間
 帯を差す言葉です。
 元々は明け方でも夕方でも使えた言葉のようですが、今は

  黄昏時  ・・・ 夕方
  かわたれ時・・・ 明方

 と使い分けるようです。

◇薄明(はくめい)
 黄昏時、かわたれ時のぼんやりした明るさのことを薄明(はくめい)といい
 ます。日は沈み(または、昇る前)ですが空が明るく、その空の明かりで地
 上もぼんやり明るい状態、それが薄明です。
 薄明を明方と夕方で区別する場合は

  払暁(ふつぎょう) ・・・ 明方
  薄暮(はくぼ)   ・・・ 夕方

 と使い分けることがあります。
 薄明がみられる理由ですが、日没後の空を見上げるとあたりは暗いのに高い
 雲だけが光っていることがあることを思い浮かべてもらうと解りやすいと思
 います。これは地球が丸いために、地上には太陽の光が届かない状態でも高
 いところには日の光が届いているために見られる現象です。

 「薄明」地帯では太陽は地平線下にあって直接太陽の姿を見ることは有りま
 せんが頭上を眺めてみれば、空の高い部分の大気には太陽の光が当たってい
 ますから、太陽の光は地球大気によって散乱(レイリー散乱)されます。

 散乱された光は四方八方に向かいますから、その一部が地上へも降り注ぎ、
 このため薄らと明るい状態が続きます。これが薄明です。

◇薄明の時間
 薄明、最初から最後まで同じ明るさではありません。夕方のの薄明なら日没
 から徐々に明るさが失われ、やがて真っ暗な夜を迎えます。
 薄明は、この明るさの違いによって3つの区分に分けることがあります。
 その区分は次のように定義されています。

 ・常用薄明(市民薄明)
   日出没〜太陽の地平高度が-6°までの間
   明るい	戸外での活動に支障の無い明るさ

 ・航海薄明
   太陽の地平高度が-6°〜-12°の間
   やや暗く、1〜2等星が見え、地平線や水平線も識別できる。

 ・天文薄明
   太陽の地平高度が-12°〜-18°の間
   かなり暗い	星座を形作る星の大部分が見える。
   空にはかすかな明るさが残るのみ。

 そして天文薄明が終わると「夜」となるわけです。
 薄明の区分は本来はその明るさによって行われたものです。ですから当日の
 天候によっては早かったり遅かったりということになりますが、それではそ
 のときになってみないと解らないことになって不便きわまりないので、現在
 は目安として太陽の地平高度で区切っています。

 太陽の高度で区切るとなればこれは計算で求められます。
 では早速。北緯35°付近で冬至・春分(秋分)・夏至の頃の日没から常用薄
 明、航海薄明、天文薄明の終わるまでの時間を計算すると次のようになりま
 す。

  冬至 常用薄明 27.8分 航海薄明 59.5分 天文薄明  90.4分
  春分 常用薄明 24.9分 航海薄明 54.3分 天文薄明  83.9分
  夏至 常用薄明 29.3分 航海薄明 66.1分 天文薄明 106.7分

 長いような、短いような?
 その感覚は人それぞれでしょうね。
 あなたの感覚に合う「薄明」はどれでしょうね。
 それぞれに考えてみて下さい。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2018/12/09 号

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