こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■誕生花と花言葉の話
 今日は何の日と言った事柄が書かれた本や、サイトでは日毎の誕生花が載っ
 ていることが多いですね。多いというか「定番」となっていると言っても良
 いでしょう。

 かく言う日刊☆こよみのページにも、また日刊☆こよみのページの大本サイ
 トである「こよみのページ」にもこの「定番」は載っています。
 こよみのページでは、今日は何の日のページと、そこから派生した今日の誕
 生花のページで使っています。

  「今日は何の日」 http://koyomi8.com/cgi/today/today.php
  「今日の誕生花」 http://koyomi8.com/cgi/today/bflower.php

 今日(1/26) の誕生花としては
 ヒアシンス(風信子)<白> 心静かな愛
 マーガレット 心に秘めた愛・誠実

 の 2種類を載せています。
 なんで一つの日に複数の誕生花があるの?

 一つの日に複数の誕生花があるかと思えば、同じ花なのに、違った日に何度
 も登場するものもあります。本日の誕生花として採り上げたヒアシンスとマ
 ーガレットにしても

 ヒアシンス (3/27,12/3) ・・・ 変わらない愛情
 ヒアシンス<ピンク> (3/1)・・ スポーツ・ゲーム
 ヒアシンス<紫> (2/17) ・・・ 悲哀
 ヒアシンス<白> (1/26) ・・・ 心静かな愛

 マーガレット (1/26,2/1,4/4) 心に秘めた愛・誠実
 (※データは、Web こよみのページの「誕生花」データを使用)

 ヒアシンスは色の違いでも複数ありますが、色にこだわらず「ヒアシンス」
 とだけあるものも、3/27,12/3の2日があります。マーガレットは、3日も。
 日付にしても、マーガレットが1/26,2/1,4/4と2ヶ月以上も異なる日がある
 のですが、そもそも誕生花や花言葉って、いったい誰が、どのように決めて
 いるのでしょうか?

◇誕生花の歴史
 誕生花はギリシャ時代から古代ローマ帝国時代あたりにその根元があるそう
 です。ギリシャ神話を読めば解るとおり、ギリシャのには沢山の神々がいま
 す。日本の八百万の神々と同じで太陽や月、水や空気等々の自然の事物を神
 と考えた自然神の世界です。

 いろいろな「もの」はそれぞれそれを司る神が存在するという考えは、さら
 にさまざまな「時」にも同じようにその時を司る神が存在するという考えを
 生み出しました。
 この「いろいろな時」として例えば1月を司る神がいるはずだとか 1/26を司
 る神がいるはずだと言う考えです。

 こうして様々な事物、時に神を考えるとそこで起こる事柄もただ何かがあっ
 たという事実だけではなく、神がそうした事柄に託してメッセージを伝えて
 いるのではという発想も生まれました(ある種の占いと言えなくもないです
 ね)。

 この考えからするとある月や日に咲く花は、その月や日を司る神からのメッ
 セージだと考えるのは自然なことでしょう。人間にとって、誕生というのは
 多分一番大切な記念日ですから、こんな大事な日がただの偶然に決まるとは
 考えたくない。

 そこには何かの意味があってその日に生まれてきたに違いないと誰しも考え
 ます(あるいは、考えたいと考える)。ではなぜその日が選ばれたのか、そ
 れはその人の運命を象徴するような日であるに違いない!
 (ちなみに、様々な誕生日占いが生まれた理由も、根幹にはこの思想がある
 のでしょう)

 では、その人の運命とは? 神様は様々な形できっとメッセージを送ってき
 ているはず。その日咲いている花一つにもきっと意味がある。
 そして誕生花が出来たのです。ただし、そのメッセージは「神秘のベール」
 に包まれたまま。読み取るのはその人一生の仕事というわけでしょう。

◇花言葉の歴史
 花言葉の歴史というと、現在のように使われるものの歴史は意外に浅く19世
 紀のヨーロッパの宮廷での流行がその始まりだと考えられています。ただし、
 「花言葉」という考えは、オスマントルコ帝国のイスタンブール生まれと言
 われます。

 18世紀にイスタンブールに滞在した人物が、このトルコ生まれの概念をヨー
 ロッパに持ち込んだものだと言われます(コンスタンティノプール駐在英国
 大使婦人 Mary Worltey Montaguや、トルコに 4年間滞在した紀行家Aubry de
  La Mottrayeが伝えたと言われています)。

 もっともトルコで生まれた時には、「花言葉」という花に限られたものでは
 なくて、ある物の名前から、同じ韻を踏む言葉を連想させることで、物にあ
 る意味を託すというものだったようです。
 日本でも、

  鯛は、『目出度い』に通じる縁起物

 なんて言いますが、そんなところ。もちろんそうした連想のはたらくものの
 中に花も含まれたでしょうけれど、花に限っていたわけではありません。
 花言葉とヨーロッパに伝えたとされる前述の大使婦人の書簡にもバラや水仙
 等以外にも、石鹸や石炭といった物の名前が並んでいたそうです。

 それなのに、いつの間にやら石鹸や石炭は消えて、花の名前ばかりがもては
 やされるようになっていきました。
 ま、愛する人への告白に抱えきれないほどのバラを贈るといえば絵になりま
 すが、抱えている物が石炭や石鹸では・・・。気持ちは分かりますね。

  閑話休題

 花言葉は外国の洒落た風習として、まず宮廷や社交界で使われるようになっ
 たようです。ことにフランスのシャルロット・ド・ラトゥール(Charlotte de
 Latour)が『Le Langage des Fleurs』(「花の言葉」)を1819年に出版した
 後、広く受け入れられるようになったようです。

  直接言葉で思いを伝えるのではなく、花を贈ることで思いを伝える。

 こう書くと、何ともロマンチックな雰囲気。
 花言葉のこのロマンチックな雰囲気が社交界で人気となって広がったようで
 す。そのためか花言葉には恋愛や人間関係、人物評という社交界の話題の中
 心を成す言葉が多いです。

 また全体に園芸種(ことにヨーロッパの)には多様な言葉がついているのに
 よく見かける花でも野生の花(ことに、日本にはあってもヨーロッパには無
 さそうなものや、見た目がぱっとしない植物)には花言葉が見あたらないこ
 とが多いのも、花言葉のこうした歴史の故でしょう。

 ※日本での新しい花言葉について
  日本花普及センターが花の愛好と普及の目的で親しみやすく佳いイメージ
  の花言葉を選んでいるそうです。
  もちろん、日本花普及センター以外が、花言葉を選んではいけないという
  ことではありありません。

◇沢山の誕生花・いろいろな花言葉
 日刊☆こよみのページの誕生花をごらん頂ければ解るとおり、 1日に何種類
 もの誕生花があります。また、花言葉も沢山(中には相反するようなものも)
 ありますが、なぜでしょう。その理由は

  だって、沢山あるんだもの

 と言うしかありません。
 ある日に咲く花といったって 1/26には咲くけれど 1/27には咲かないなんて
 いう花はありません。そうした意味で誕生花選定の段階で既に曖昧さがあり
 ます。

 またヨーロッパでは一般的でも日本では咲かない花であったり、なじみの薄
 い花だったりしますから、何処で生まれた言葉かによっても変化する余地が
 あります。こうして考えて行くと最終的には、

  誕生花は選ぶ人によって変化する

 と言うことになってしまいます。
 同様に花言葉も花自身が「私の花言葉は・・・」と語ってくれるわけでない
 ので、

  花言葉は、誰かの創作である

 ということになります。
 創作ですから人によって様々なのはあたり前。創作者の発想は当然その人
 の生まれ育った国の歴史や伝統に大きく影響を受けますし、その人の好みも
 ありますから、一つの花に違った言葉がついてしまうのも致し方ない。
 こうして

  沢山の誕生花・いろいろな花言葉

 が出来てしまったというわけです。
 誕生花を載せるようになってから、「誕生花」といった文字がタイトルに入
 った本を目にすると購入してくるようになり、その手の本だけでも十冊以上
 となってしまいましたが、並べてみると見事にまちまちです。

 希に、良く一致する本もあるのですが、これは逆に「共通の種本」があるっ
 てことなんでしょう。

◇最後に、こよみのページでは?
 私の場合は、誕生花が 1年分入っている本 3冊を基本にして拾い出し、過不
 足を他の本を参考として追加修正しています。
 どの本もまちまちなので、選んでいて結構「混乱」しました。正直思いの外
 大変な作業でした(今も、時々追加修正しています)。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2019/01/26 号

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