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■「時」の博覧会と時の記念日
 今日は6/10は「時の記念日」です。
 時の記念日の日付は、「漏刻(ろうこく)」と呼ばれる時計によって時刻を
 人々に知らせることが始められたことを記念するもので、日本書紀によれば、

  天智天皇の十年四月二十五日 (グレゴリウス暦で表すと AD671/6/10)

 となることから定められました・・・って、いつ誰が定めたの?

◇「時」博覧会
 時代は大正時代。
 明治時代に怒濤のように流れ込んできた西洋文明も、大分日本に定着し、そ
 れまでの日本の文化とも混じり合って、生活の中に溶け込んで、落ち着き始
 めた時代です。

 この頃になると、今で言うところの社会教育、当時の言葉では「通俗教育」
 の大切さが叫ばれるようになり、これに応えるように国立科学博物館の前身
 である、東京教育博物館などでは、

  通俗展覧会

 と呼ばれる、市民の科学知識啓蒙と生活改善を目的とした博覧会が開かれる
 ようになりました。これは今もあちこちの博物館などが行う、

  ○○特別展覧会

 のはしりのようです。
 この通俗展覧会には「コレラ病予防通俗展覧会」とか「生活改善展覧会」と
 言ったものがあり、そうした展覧会の一つに

  「時」展覧会

 も有りました。開催されたのは、1920/5/16〜7/4の7週間。
 今から、99年前の出来事でした。

 時展覧会は「時間を正確に守ること」の重要性を訴える目的で開かれたもの
 で、正確な時刻の元となる観測を行う装置や暦、、江戸時代に作られた精密
 な和時計(有名な、「からくり儀右衛門」こと田中久重作の万年時計など)
 等が展示されていました。また、現在からするとちょっと変わった感じのす
 る展示物としては、女性の一生における化粧に要する時間、結髪に要する時
 間などを女性の年齢毎に年表風にまとめたもの等もありました。

 この「時」展覧会は、通俗博覧会の中でも大ヒットしたものらしく、来場者
 数は222,845人。
 それまでの通俗博覧会の中で最高の来場者数だったそうです。人気が高かっ
 たため会期が延長されたとか。

◇「時の記念日」と「時」博覧会
 さて、この大人気だった「時」展覧会の会期中に、時間尊重の宣伝を行うた
 めのセレモニー実施が提案され、天智天皇が漏刻を用いて日本最初の時報を
 行ったという故事を記念し、6/10を「時の記念日」として「時」博覧会の無
 形の展示物として、大々的に啓蒙することとなり、こうして「時の記念日」
 が生まれました。

◇「時の記念日」は、来年で100周年
 「時の記念日」が1920年の「時」展覧会から生まれたことを考えると「時の
 記念日」は来年で目出度く100周年を迎えることになります。

 どうやら、「時」展覧会を開いた東京教育博物館の後身、国立博物館や1960
 年の時の記念日に開館した日本の標準経度 135°に位置する明石の天文科学
 館などでは、来年は「時」博覧会から100年目を記念した特別展が開かれる
 らしい。

 この100年で、「時」というもののとらえ方がどのように変わったか、確か
 めてみるよいチャンスが訪れそうです。

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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2019/06/10 号

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