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■二十八宿と二十七宿が丸々一致?
 「『今日の日干支と主な暦注』の二十八宿と二十七宿が
  同じになっています。間違ってませんか?」

 と言う御指摘がありました。
 どれどれ・・・あ、本当だ。

 日刊☆こよみのページの暦のデータから、今日(2019/10/19)と明日の二十八
 宿、二十七宿を抜き出して並べてみると

 ・2019/10/19
 二十八宿 柳   [りゅう] 造作に凶.葬儀を行えば不幸が重なる
 二十七宿 柳   [りゅう] 造作に凶.葬儀を行えば不幸が重なる

 ・2019/10/20
 二十八宿 星   [せい] 療養の始め,馬乗りなどに吉.婚礼,葬儀は凶
 二十七宿 星   [せい] 療養の始め,馬乗りなどに吉.婚礼,葬儀は凶

 あら、本当だ。

 「何ですか? これ。
  ボーット仕事してるんですね。
  チコちゃんの決め台詞ではありませんが、
  『ボーっと仕事してんじゃねぇよ!!ぼけ!!』」

 というメールが届いちゃうかも知れませんね。
 これはまずい・・・かというと、そうでもないんです。
 これ、間違いじゃないから。。

 こんな偶然は今日、明日だけかというと、これは違います。昨日も一昨日も
 同じになっています。
 気になる方はこの、日刊☆こよみのページのバックナンバーをたどってみて
 ください。しばらく前から同じになっているはずです。

 ずっと遡って確かめて頂くのは大変なのでいつから同じ並びになったかと申
 しますとこれは10/5。
 この日、二十八宿も二十七宿も「女」となっています。

 ついでにもう一日遡って10/4を見ると、二十八宿は「牛」で二十七宿は
 「斗」。違っています。

◇二十八宿と二十七宿の関係
 二十八宿と二十七宿、名前からしてよく似たこの二つは元はといえば同じも
 のです。生まれたところは古代中国。
 本来は月がどの星座にあるかを知ることで季節の動きを知るという天文学的
 暦学的な意味のあるものだったのです。

 この中国生まれの二十八宿がインドに渡り、一部が改変されて出来たものが
 二十七宿です。元は天文学だった二十八宿ですが、このインド旅行の間に占
 いの要素をたっぷり身につけて、インドから中国に逆輸入されました。
 なお、このインド旅行の途中に「牛」がどこかに逃亡してしまって、二十八
 宿が一つ少ない二十七宿になりました。

 今ではすっかり天文学的・暦学的な意味は失われてしまって、もっぱら占い
 だけに用いられるものになってしまいました。

 ちなみに日本では二十七宿の方を「古法」と呼ぶことがあるのですが、既に
 説明したとおり、二十八宿と二十七宿をその発生にまで遡れば二十八宿の方
 が古いものです。それを考えると二十七宿を古法と呼ぶのはおかしいのです
 が、これは平安時代から 823年の長きにわたって使用された宣明暦が二十七
 宿を採用していたためです。宣明暦の後の貞享暦(天地明察で有名になった
 渋川春海の作った暦)以降の暦は二十八宿に戻りますが、

  宣明暦(二十七宿) → 貞享暦(二十八宿)

 という流れだけを捉えてこう呼ばれるようになったものと思われます。
 好んで二十七宿を「古法」と呼ぶ方々は二十七宿の方がより古く、それだけ
 正統なものなのだと強調したいようですが、「暦」の歴史から考えれば、本
 当の古法は二十八宿ということになります。

◇それぞれの撰日(せんじつ)法
 ある日の暦注をどうやって計算するかという方法をその暦注の撰日法と言い
 ます。撰日法の主な系統には暦月切り、節月切り、不断というものがあって
 ほとんどの暦注はこの何れかの方法によって求められています。

 本日の話題の二十八宿は「不断」、二十七宿は「暦月切り」という撰日法に
 属しています。
 不断とか暦月切りというと難しそうな響きですが、内容はというとこれは簡
 単。不断は一定の周期でぐるぐると回り続けて、その周期が全く変化しない
 もの。暦月切りは、暦の上の一月ごと(この場合の「月」は旧暦の月)に並
 び方が決まっています。

◇二十八宿と二十七宿が同じになる期間は?
 撰日法は違うのですが、元は同じものなので、並んでいる順番は同じですか
 ら、どこかで同じ日に二つの「宿」が一致することがあると、そこから先は
 ほぼ一月にわたって同じになってしまうことがあります。この一致する期間
 というのは、二十八宿にはあって二十七宿にはない「牛宿」の部分と旧暦の
 月替わりの箇所で区切れます。

 今回の一致期間を見ると、2019/10/5〜10/31の間。一致は「女宿」から始ま
 り「斗宿」で終わります。二十八宿と二十七宿はその一部分だけが一致する
 ことが多いのですが、今回は27の宿が丸々一致しています。

 普通であれば、こうした一致は旧暦月の切り替わるところで二十七宿の順番
 が変わるのですが、今回は旧暦の暦月が切り替わる日(2019/10/28)が、旧
 暦の十月一日で、二十七宿の撰日法では旧暦十月の初めの宿が「心宿」とな
 っていたことで、この日も二十八宿と一致したため、上手い具合に繋がった
 のでした。

 というわけで、2019/10/31まで二十八宿と二十七宿が同じになってしまいま
 すが、決して間違いじゃありません。ですから

  「ぼけっとしてるんじゃねぇ!」

 とかの怒りのメールは送らないで下さいね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2019/10/19 号

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