こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■読者の疑問・「亥の月最初の亥の日」はいつ?
 本日は、読者の方からの疑問メールを採り上げさせて頂きます。
 以下は、隅掘り隊で活躍中のサガさんから頂いたメールの抜粋です

 > Subject:  ちょっと疑問が
 > お暇な時にでもお返事いただけると嬉しいです。
 > 急ぎませんので。

 > 昨日の夜のNHKの天気予報で
 > 「11日10日は亥の月の最初の亥の日なので」と言ってました。
 > あれ、と思ったのは、私は10月29日にカレンダーを見て
 >「あ、今日亥の日か、もう暖房入れちゃえ」
 > とやっていたので。
 > ただ亥の月っていつ、というのはあったんですが(10月ですね)

 > 今年の亥の月の最初の亥の日は10月29日ではないんですか?
 > もしかしたら、月が変わってるから、なのかな?
 > でも、それだと旧暦も新暦もごっちゃにしているわけで。

 > 間違いだったら
 > 「天下のNHKが(皮肉です(^^;)公然と間違ってもいいの?」
 > とも思うので。
 > まあ、二の亥でも、庶民なら正解ですけどね。
 > 確かに「最初」と言ったのであれ、と思ったんですが。
 > 他に誰かに話してもきっとわかってもらえないので。
   (以下略)

 以上です。
 少々長かったですが、疑問に思われた経緯もよくわかりますので引用させて
 頂きました(「暦のこぼれ話」を書くのが面倒で、頂いたメールで文字数を
 稼ごうなんていうさもしい考えはありません。ま、結果として文字数が稼げ
 ましたけど)。

 メールを頂いたのは11/9で、ちょっと遅くなりましたが「急ぎませんので」
 とのお言葉に甘えました。
 最後の「他に誰かに話してもきっとわかってもらえないので」という一文が
 涙を誘います。そう、誰も暦の話なんて・・・

 おっと、つい感傷的になってしまいました。本題に戻ります。

◇「亥の月亥の日」とは
 「亥」は言わずと知れた十二支の亥です。十二支は最近では生まれ年を表す
 ことくらいしか使われなくなりましたが、年だけでなく、暦日や暦月にも十
 二支が割り振られています。十二支の割り振りは極めて簡単。

  子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥

 をこの順番どおりに割り振ります。
 子の年の翌年は丑の年、巳の月の翌月は午の月、戌の日の翌日は亥の日とい
 った具合で悩む必要がありません。
 ただ、この中で若干特殊なのが暦月と十二支の関係。一年は12ヶ月で十二支
 は12ですから、暦月と十二支はいつも同じ組み合わせになります。その組み
 合わせは

 正月:寅 二月:卯 三月:辰 (略) 十月:亥 十一月:子 十二月:丑

 です。正月が「子」ではなくて「寅」と云うことがちょっと奇異な感じです
 けれど、この辺りの事情はまた別の機会に。今回知ってほしいところは、伝
 統的に「亥の月」と言えば十月であると云うことです(旧暦時代の閏月が挿
 入されても、閏月は本月の十二支と同じものを使うので、十二支と月名の関
 係は崩れません)。

 ご覧のとおり、「亥の月」と云えば十月です。
 この辺にはあまり問題がないのですが、問題は

  どの暦の「十月」なのか

 です。現在の日本の話なので考えつくものとしては、

  1.新暦 の10月 (* ×)
  2.月遅れの10月 (1 ○)
  3.旧暦 の10月 (2 ×)
  4.節月 の10月 (1 ○)

 行末に付けた()の中の数字と○×は問題の2019/11/10がそれぞれの暦での十
 月の何番目の亥の日かを表しています。○はNHK が言うとおり最初の亥の日
 となることを、×はそうでないことを表しています。

 これでみると、新暦の11月を月遅れの10月と考える方式か、二十四節気の節
 で区切った節月と考えれば「亥の月の最初の亥の日」と言えます。
 NHK が節切りの月を想定していたとは思いにくいので、NHK の言ったことが
 正しかったとするなら、「月遅れの10月」と考えたと思われます。

 メールを下さったサガさんは、3の旧暦の月と日でお考えになったので、な
 んか変だなと思われたのですね。
 私も、多分同様に感じたと思います(NHK みてなかったけど)。
※参考まで、2019年の節月10月は新暦の日付では11/8〜12/6

◇どっちが正しいのかな?
 サガさんが正しいのか、NHK が正しいのか?
 残念ながら、どちらが正しいとも間違っているとも言えません。
 「11月の亥の日が、亥の月亥の日」と言われると、ちょっとおかしくはあり
 ませんかとは言いたいところですけど、これは「亥の月は10月」と脳内自動
 変換してしまうような私のような者にあってで、

  へー、11月って「亥の月」なんだ

 と違和感なく捉えられる方には、おかしくないのかも。
 ただ、歴史的な経緯も踏まえてもうちょっと誤解の少ない表現をNHK もして
 くれたらよかったのに。

 今では、二月の初午や、十一月の酉の市など暦月と日の干支が結びついた行
 事を新暦の暦月と日の干支の組み合わせで行うことが定着していて、それは
 それで結構だと思うのですが暦月まで「亥の月」とするなら、十二支と暦月
 との関係については、一言ほしかったですね。

 正しく理解した上で、時代の変化に合わせた選択をする。
 そうあって欲しいですね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2019/11/13 号

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