こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■新月だってスーパームーン!
 2012年頃からでしょうか、使われるようになった「スーパームーン」という
 言葉があります。最近は、1年に一度位の割合でこの言葉を耳にするように
 なったのでご存じの方も多いかと思います。

 スーパームーンとは、満月または新月の瞬間と、月がその軌道上で最も地球
 に近づく近地点の通過の瞬間が近接しているとき、月と地球の距離が大変近
 い状態になる、つまり月が大きく見える状態になることをスーパームーンと
 呼ぶようです。

  呼ぶようです

 とは、何ともあやふやだなとお考えになる方もいらっしゃるでしょうが、こ
 んな、あやふやな言い方しか出来ない私をお許しください。だって、そもそ
 も「スーパームーン」という言葉が指す概念がハッキリしないので、あやふ
 やな言い方しか出来ないのです。
 スーパームーンという言葉は、天文学にはありません。強いて言えば、

  近地点付近での満月または新月

 となりますか。こうした満月や新月は確かに大きく見えます(新月は見えま
 せんけど)けれど、「だから何?」と言うだけで、特別な意味のあるもので
 はありませんので、スーパームーンの天文学的な定義なんて作られていませ
 ん。ちなみにこの「スーパームーン」なる言葉、天文学ではなく、占星術か
 ら来た言葉のようです(ウィキペディアの「スーパームーン」参照)。

 まあ、軌道上で地球に月が近づく近地点付近で満月や新月の時(太陽・地球
 ・月が一直線に並ぶ位置関係になるとき)はいつも以上に地球と月の距離が
 小さく(近く)なるのは事実なので、「まったく意味が無い」とは言い
 ませんがね(「ほとんど意味は無い」とはいえるかな)。

◇新月や満月は地球に近い?
 話のついでに書いておくと、満月や新月の時の地球と月の距離は、それ以外
 の場合にくらべて、若干近い距離になります。比較のためにそれ以外の時の
 代表として、半月(上弦、下弦の両方の半月)の時と比較してみると

 新月・満月(2474回)の距離 平均  99.2%  最短 92.7% 最長 105.8%
 上弦・下弦(2473回)の距離 平均 100.5%  最短 96.2% 最長 105.2%

 ※計算は2000/1/1 0時〜2100/1/1 0時までの100年間。
  ()内はその間の満月・新月、上弦・下弦の月の回数。
  距離は地球・月の平均距離を100%とした値で表した。

 平均の距離で見ると、満月・新月の時は平均距離より0.8%ほど地球に近く、
 半月の時には逆に0.5%ほど遠いことが判りますが、その差はちょっと。
 しかし、最短の距離で見ると

  新月・満月の時 92.7% , 上弦・下弦の月の時 96.2%

 と差が広がります。
 スーパームーンは、この地球と月の距離が普段よりかなり近い状態の場合の
 満月・新月を指す言葉となっています(なっているようです)。

 「スーパームーン」という言葉がニュースなどにも登場した頃は、近地点の
 瞬間と満月・新月の瞬間が非常に近い場合のみを「スーパームーン」と呼ん
 でいたようですが、最近はたがが緩んだのか、多少、満月・新月の瞬間と近
 地点通過時刻が異なっていてもスーパームーンと呼ぶようになったらしく、
 数がかなり増えてきている印象です。有難味、薄らいでませんか?

 ちなみに、「スーパームーン」については、既にWeb こよみのページの暦と
 天文の雑学でも採り上げていますので、興味のある方はこちらの記事も併せ
 てお読みください。

  ※Web こよみのページの関連記事
  月の距離とスーパームーン http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0530.htm

◇今日の月だってスーパームーンのはずなんだけどな
 さて、一般的なスーパームーンの説明をしてきたところで、なぜ本日がこの
 話になったかというと、それは

  今日の月だってスーパームーンだったから

 なのです。全然、ニュースにもなりませんがね。
 既に述べてきたとおり「満月・新月の瞬間と近地点通過の時刻が近い場合を
 スーパームーンと呼ぶ」ようなので、本日の新月もこの条件を十分に満たす
 スーパームーンなのです。

 本日(2020/10/17)未明、4時31分に新月の瞬間を迎えましたが、その瞬間の
 地球と月の距離は平均の92.9%。十分にスーパームーンと呼べるくらい近い
 距離にいたのですがね。

 ま、新月だと日食でも起こさない限り、月の存在に気がつきませんから、影
 が薄い新月の「スーパームーン」でした。地球から見て月の影が一番濃いの
 が新月なのに「影が薄い」なんて皮肉ですね。

◇ついでに
 改めてWeb こよみのページのスーパームーンの記事を眺めて、今日計算した
 計算の結果なども追加して、図も1枚増やすか・・・なんて思ってしまいまし
 た。思い立ったら何とやら。作業するか。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2020/10/17 号

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック