こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■ハロウィンのランプ
 本日はHalloween(ハロウィン、あるいは ハロウィーン)。
 このメールマガジンを始めた頃はまだ珍しい行事といった感じでしたが、僅
 か十数年ですっかり、年中行事の一つ(商業的にはね)として受け入れられ
 てしまいました。

 今年は、ハロウィン当日が土曜日ということで、昨日の夜とか今日の夜とか
 はところによっては、賑やかな夜になるかもしれませんね。私にはあまり関
 係ありませんけど。

 本人はハロウィンの行事に関わることは何一つ行いませんが、ここまで定着
 した年中行事に言及しないのも、日刊☆こよみのページとしてはどうかと思
 いますので、昨日はハロウィンと節分の鬼の話を、そして本日はハロウィン
 には付きもののランプの話を採り上げてみます。

◇ハロウィンのランプはカボチャのランプ?
 ハロウィンといえばカボチャのランプ。毎年世界的な検索サイトの Google
 のロゴはハロウィンの日には G や O の文字の部分がこのカボチャのランプ
 に置き換わったりするほどです。と書きながら本日のgoogle のページを開
 いてみたら、今回はロゴ全体がおどろおどろしいものになってました。

 ちょっと話がそれてしまいましたが、再びランプの話。
 ハロウィンには付きもののランプの名前を

  ジャック・オ・ランタン (Jack-o'lantern)

 と言います。
 このランタンに名前を残したジャックは、生前は大変な悪戯者だったそうで
 その悪戯の矛先は悪魔にまで向けられ、十字架を使って悪魔を二進も三進も
 行かない状態に追い込んだことがありました。
 その時、その悪戯に困った悪魔はその状況から逃れるために

  「ジャックは悪さをしない。地獄にも落とさない」

 と約束させられてしまいます。
 そんな悪戯者のジャックにもやがて死が訪れるます。死んだジャックは、そ
 の生前の行いから当然、天国へは受け入れてもらえませんでした。天国に入
 れなかったジャックは地獄の門の前に立ちましたが、悪魔は

  「おまえを地獄には落とさないと契約したはずだ」

 と地獄への門を閉ざした。かくしてジャックは天国へも地獄へも行けず、死
 後の世界にも現世にもその身の置き所が無くなり、狭間の暗く冷たい煉獄
 (れんごく)を最後の審判の日まで彷徨うことになりました。

 そんなジャックでしたが、その境遇を哀れんだ悪魔が唯一くれたものが小さ
 な地獄の火で焼かれた炭火。ジャックはその炭火を拾った干からびたカブを
 くりぬいたものの中に入れてランプとし、そのランプで足下を照らしながら
 最後の審判の日を待ちながら彷徨い続けているのだそうです。

 さて、ハロウィンに現世にさまよい出る悪霊というのは、天国へも地獄へも
 いけずこの煉獄を彷徨う霊なのだそうで、その足下を照らすランプがあのジ
 ャック・オ・ランタンです。

 悪魔は「ジャックにだけは悪さをしない」という約束をしてしまっているの
 でジャックのランプがあるところには寄りつきません。こんな訳で、このラ
 ンプの灯には悪霊を遠ざける効用があるということで、悪霊よけとしてハロ
 ウィンの夜にはこのランプを家の周りに飾るのです。
 なるほどなるほど。ん、拾ったカブをくりぬいて作ったランプ?

 そうです。この故事からするとこのランプは本来は「カブ」で作るものよう
 です(イギリスやアメリカにはカブで作る地域もあるそうです)。
 ではなぜカボチャになったのか?
 「ヨーロッパの祝祭日の謎を読み解く」という本を読んでいたら

 「のちのニューイングランドでは、地獄の火で燃える炭を入れたくり抜いた
  カブの提灯の代わりを、カボチャの提灯が務めることになったのである」

 とありましたので、カボチャのランプが一般化したのはハロウィン行事がア
 メリカに渡った後だったようです。

 なぜそうなったのか、経緯は残念ながら書かれていませんでしたので想像す
 るしか無いのですが、南方系の野菜であるカボチャはアイルランドやスコッ
 トランドにはあんまりなさそう(本当かな? 詳しい人教えてください)で
 すが、アメリカの秋には、ありふれた野菜で、どこにでも転がっていて手軽
 だったからじゃ無いかと思います。

 それに、そのサイズや堅さを考えてみると、カブでランタンを作るよりカボ
 チャを使う方が楽だ・・・と不器用ものの私は思いますがいかがでしょう?

 ちなみに、本来のカブのランタンは人間の髑髏をかたどっていたそうで(も
 っと古い時代は本物の髑髏を使ったとも)すので、それだと骨の色に近い白
 いカブの方が適切とも言えますが、そんなことを知ってしまった後、白い髑
 髏の形をしたカブのランタンはちょっと怖すぎるかななんて思ってしまいま
 した。どこかユーモラスな感の漂うカボチャのランタンの方が、有り難いか
 もね。

◇かわうその独り言
 年中行事とはまったく関係の無い話ですが、ジャック・オ・ランタンの話を
 考えると、ジャックとの約束(それも無理強いされた約束)を守る律儀な悪
 魔になんだか好感を持ってしまいます。しかも、煉獄を彷徨うことになるジ
 ャックを哀れんで灯(炭火)を与えたのも天国の門番では無くて悪魔。天国
 の門番より悪魔の方が情け深い? やっぱりいいやつじゃ無いか。

 もっとも、ある意味地獄に落ちるよりつらいジャックの運命を予測して、ジ
 ャックとの約束をしたというのであれば、悪戯者のジャックより、悪魔が一
 枚上手だったのかもしれませんが。

 多分生前の行いから考えて、天国に行くより地獄に落とされる確率の高そう
 な私なので、機会が来たらその辺の真意を悪魔に質問してみたいものです。
 ま、ニヤリと笑うだけで、答えてはくれないと思いますがね。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2020/10/31 号

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