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■十二月十二日の「逆さ札」
 京都や奈良など、関西地方を中心に

  十二月十二日

 と書いた(縦書きね)紙を上下逆さにして、壁に貼る「逆さ札」という風習
 があります。
 貼る位置は基本的に壁の高いところ(天井に近いところ)。

 これを貼ることによって、泥棒やスリなどの被害を免れるという、盗難よけ
 の呪いの一種です。

 なぜ、「十二月十二日」という日付を書いた紙を逆さにして貼ると盗難よけ
 になるのかというと、この日付は天下の大盗賊としてその名を残した石川五
 右衛門が京都の三条の河原で釜茹でされて刑死した日付だからだとか。
 泥棒が家に忍び込もうとしたときに、この日付を見れば、

 「あ、捕まったら俺も釜茹でか!」

 と恐れて盗みをあきらめるからだとか。
 壁の天井に近い場所に逆さにして貼るのは、天井から忍び込もうとしたとき
 に目に入って、すぐに「十二月十二日」と読めるようにということです。

 うーん、それくらいで思いとどまる泥棒ばかりならいいんですけど。それと
 夜暗かったら、気がつかないかも・・・なんて考えちゃいけませんよ。

 この風習が、関西の一部に残っているのは、やはり石川五右衛門が京都一帯
 を荒らし回り、処刑も京都の三条河原だったということで、関西では印象が
 強よかったのでしょうね。

◇石川五右衛門の刑死の日付?
 もっともらしい話を書いてきたのですが、ここで問題が一つ発生しました。
 ウィキペディア(日本語版 2020.12.12現在)で「石川五右衛門」を調べる
 とそこには

 「石川 五右衛門(いしかわ ごえもん、生年不詳 - 文禄3年8月24日
  (1594年10月8日)一説には、12月12日とも)は、安土桃山時代の盗賊
  の首長。文禄3年に捕えられ、京都三条河原で煎り殺された。」
 (https://ja.wikipedia.org/wiki/石川五右衛門)

 あら、「一説には」とあるので一応は大丈夫かなとは思いますが、主流の説
 ではなさそう。そこでもう一つ「もっともらしい説明」が。それは

  十二月十二日は石川五右衛門の誕生日

 というものがそれ。
 誕生日の反対は命日と考え、誕生日を書いてそれを逆さに貼ることで命日を
 連想させるというもの。おっしゃる気持ちは分かりますけど、ちょっと捻り
 すぎという気がしますね。張り紙を見た泥棒がそこまで思い至ってくれなけ
 れば、何の意味も無い(ま、それを言えば十二月十二日が本当に命日だとし
 ても、それを知らない泥棒には効果なしですけどね)。

 個人的には、それ以前に何かの呪い、行事があって、後からそれらしい理由
 付けとして石川五右衛門の話をくっつけたんじゃ無いのかな?
 それに、

  十二月 十二日

 と月と日が重なると覚えやすいですしね(この辺は、五節供の日付の重日思
 想にも通じます)。まあ、この辺でよしとしましょう。

◇「火災よけの日」でもある
 私の出身県、福島県の会津地方の一部には、この逆さ札が火災防止、火除け
 の御札となっています。その理由は、十二月十二日を逆さにして

  日二十月二十 (ヒにとおく ツキにくい)

 と語呂合わせ出来るからだとか。「ヒ(火)にとおく」は分かるんですが、
 「ツキ(点)にくい」とは読めるかな?

 まあ、十二月十二日と書いた紙を逆さに貼るだけで、盗難除けにはなるは、
 火除けにはなるはなら、やってみても損はないかもしれません。

  「信じるか、信じないか、それはあなた次第です」

 と、どこかで聞いたような言葉で本日は締めくくることにいたします。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2020/12/12 号

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