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■九星と三元にまつわる残念な小話
 今日の主な暦注を見てゆくと「日家九星 九紫火星」と有ります。これは九
 星占いでは本日という日は「九紫火星」だと言うこと。
 頭に着いた「日家」は、日付に対する九星だという意味。他にも年・月・時
 にも九星が配置されています。

   年 : 年家九星(ねんかきゅうせい)
   月 : 月家九星(げっかきゅうせい)
   日 : 日家九星(にっかきゅうせい)
   時刻: 時家九星(じかきゅうせい)

 というのがこれです。

   一白水星・二黒土星・三碧木星・四碧木星・五黄土星
   六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星

 というものですね。
 「九星」なんていうので天体と関係が有るように誤解されがちですが、実際
 に見える星とは全く関係有りません。
 では何かというと・・・数の遊びです。
 少々見づらいですが次をご覧下さい。

   (A)  (B)  (C)
   四九二  一六八  七三五
   三五七  九二四  六八一
   八一六  五七三  二四九

 A・B・Cはそれぞれ九つの数で正方形が作られていますが、それぞれ縦横
 そして斜めに足してみましょう。

  (A)の例
   縦: 4+3+8 = 15 , 9+5+1 = 15 , 2+7+6 = 15
   横: 4+9+2 = 15 , 3+5+7 = 15 , 8+1+6 = 15
   斜: 4+5+6 = 15 , 2+5+8 = 15

 ごらんになって判るとおり、縦横斜いずれの和も15になります。こうした縦
 横斜めの行の和が全て同じ数となるような組み合わせを「魔方陣(まほうじ
 ん)」といいます。九星はこうした魔方陣の中でも単純な「3×3」の魔方陣
 です。ちなみに魔方陣にはもっと複雑な「4×4」「5×5」などもあります。

 Aは完全ですが、Bの例は残念ながら魔方陣としては不完全で、斜めの行が

  1+2+3 = 6

 となってしまいます。この場合は

  1+2+3+(9) = 15

 という具合に 9を加えたり引いたりすると、一応同じ和になります。Bの例
 は魔方陣としては失格ですが、九星としてはセーフ。

 昔中国の誰かが、この「不思議な組み合わせ」を見つけて、これには何かの
 意味が有るに違いないと考えて占いに仕立てたのが九星。

 伝説によれば、禹(「う」。中国古代の伝説上の王。夏王朝の祖)が黄河の
 治水工事をしているときに、黄河が支流の川、洛水から現れた亀の甲羅にこ
 の「不思議な数」が描かれていたものだとされます。
 この書物は、亀の甲羅に書かれていたことから、「亀書(きしょ)」、洛水
 からあらわれたので「洛書(らくしょ)」などと呼ばれます。

 「ほんの数字遊びです」では占いとしての説得力が無いので権威付に作られ
 た伝説なんじゃないの? と私は思いますが。ま、何かの偶然でそれらしい
 模様や傷が甲羅にある亀がいたのかもしれませんがね(我が家で暮らす2匹
 の亀の甲羅にはないな)。

 原理も簡単ではめ込まれた数字を一定の順序で順送りに変えてゆけばいいだ
 けで、そう判ってしまえば何てこともないものなのですが、不思議なもので
 こんなものでも、信じてしまえば「今日はいい日か悪い日か」の判断基準に
 なることもあるようです。占いって不思議なものですよね・・・。

◇本命星・月命星
 日々の暦注を見ていて、へそ曲がりなかわうそが先ず首を傾げてしまうのは
 例えば六曜の大安のように、

  その日が万人にとって目出度い日

 などということがあるのかということです(六曜を暦注の一つに数えること
 には、いささか抵抗がありますが、ま、最もなじみのあるだろうものとして
 採り上げました。お許しを)。それはないでしょう。

 と、そこで一工夫したのでしょうか、九星占いには、ある日の占いの結果が
 万人皆同じにならない仕組みがあります。それが本命星・月命星という生ま
 れの年・月によって異なるものによって、日の吉凶を人ごとに変える方式を
 です。この工夫の導入によって、同じ日でも人によって吉凶がかわるという
 もっともらしさを醸し出しています。

 本命星はその人の生まれた年、月命星はその人の生まれた月の九星です。
 ただここで気を付けなければいけないのは、この「年月」が普通の暦の年月
 では無くて、節切りの年・月だという事です。

 年は、立春から翌年の節分までの1年。月は二十四節気の節気で区切った月
 です。この点は気を付けて。

◇年家九星はどうやって決める?
 九星は、一つずつ順送りに移動しますから 9年で一巡りします。
 また暦の年月日にはそれぞれ六十干支が割り振られていて、これも循環して
 います。

  9と60の周期で循環する二つの周期が完全に一致する周期は 9と60の最小公
 倍数である 180。つまり九星が20回、六十干支が 3回循環するとまた九星と
 六十干支の組み合わせは、元の状態に戻ります。
 年家九星において、この 180年を三元(さんげん)と呼びます。三元の初め
 の60年間を「上元」、次を「中元」、最後を「下元」と呼びます。

 三元の始点は六十干支の「甲子」の年。そしてこの年を「一白水星」とし、
 「上元甲子」といいます。
 年家九星はこの上元甲子がいつであるか判れば後は循環するだけですから、
 その年の九星が何かはすぐにわかります。おっと、だたし年家九星の巡りは、

  一白 → 九紫 → 八白 → 七赤 ・・・・

 という逆回(陰遁(いんとん)といいます)りですのでご注意を。

◇上元甲子の年
 最初の上元甲子は、隋の文帝仁寿四年( 604年)とされていますから、ここか
 らたどると、

  604 , 784 , 964 , 1144 , 1324 , 1504 , 1684 , 1864 , 2044 , ・・・

 となり、最近では 1864年がその年にあたります。
 とすると、2007年はこの上元甲子から 158年目、六白金星の年ということに
 なります。これが判れば、来年も再来年も、「○○運勢暦」など購入しなく
 ても自分で、年家九星を求めることができますね。

   2021年 六白金星
   2022年 五黄土星
   2023年 四碧木星
   2024年 三碧木星
    ・
    ・

 という具合に。

◇最後に残念な「上元・中元・下元」
 占いをなさる皆さんは、三元を大層重視しているようで世の盛衰すらもこの
 三元の循環に一致していると考えていらっしゃるようです。この三元と九星
 による運勢の巡りを「三元六甲の法」などというようです。

 面白い(?)のは、生まれが上・中・下元の何れであるかによって、その人
 の品性まで違っているというのです。
 なんでも、上元生まれの人は品性が良く、中元生まれならほどほど、下元生
 まれなら下品だそうです。なんだかとっても判りやすくていいですね。

 ちなみに私は「中元」の期間の生まれですから、品性は「ほどほど」。
 1984年(昭和59年)以後に生まれた方々は、下元の生まれということになる
 ので、皆さん下品だということになります。かわいそうに。
 (私がいっているわけではないので「下品」といわれても怒りのメールは送
 らないで下さい)。
 
◇九星占い、大丈夫?
 九星の最初の上元甲子は 604年で、あとは 180年ごとに三元が循環するとい
 いましたが、どこでどう間違えたのか、日本の九星暦家は貞享元年(1684年
 上元甲子の年)を下元甲子の年と長いこと思いこんでいたようです。

 この年、中国から輸入した暦を見たら「上元甲子」だというじゃありません
 か。みんなこの年が下元甲子だと思って、それにもとづいて占いたてていた
 のに。下品だと思ってたら実は上品だって・・・。
 どこで間違えたの? 60年。

 で、こんな間違いに気がついてしまってどうした狩って?
 簡単です、何事もなかったように「中国の暦に従った」のでした。
 うーむ、「そんな占い、本当にあたるの?」と私は思うのですが。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2021/02/20 号

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